責任あるAIポリシー
株式会社 三井住友銀行
株式会社三井住友銀行(以下、「当行」といいます)は、お客さまに、より一層価値あるサービスを提供し、お客さまと共に発展するという経営理念のもと、技術変革と歩みを揃え、私たちのサービスの迅速なアップデートを志向しています。その中で、AIは重要なテクノロジーの一つとして認識しており、AIの積極的な活用を促進していきたいと考えています。一方で、AIが内包する倫理や透明性等の問題に対しても誠実に向き合う必要性があります。
上記の認識のもと、当行は、AI活用の促進と責任あるAI活用の両立を目的に、「責任あるAIポリシー」(以下、「本ポリシー」といいます)を策定します。また、AIを巡る外部環境の目まぐるしい変化の中、本ポリシーを継続的に修正及び改善していきます。
1.倫理的で責任あるAIの利用
- (1)人間中心の原則
AIは人々の可能性を広げ、意思決定を支援し、多種多様な個人が一層活躍できる社会を実現するために活用されるべきであると考えます。当行は、AI活用による人々の幸福実現に向けて、AI活用に際しては人間の尊厳及び個人の自律を尊重し、生命倫理、社会的弱者への配慮をします。AIが生成した偽情報・誤情報・偏向情報が社会を不安定化・混乱させるリスクが高まっていることを認識した上で適切な対策を講じるとともに、社会全体や人々が持続的に豊かになるようライフサイクル全体で地球環境への影響を配慮します。 - (2)公平性・公正性の維持
当行は、総合金融グループとして、公平かつ公正な業務遂行に努めています。AIが内包するバイアスが完全に排除できるものではなく、公平性・公正性に影響を与える可能性があることに留意します。AIの利用が差別につながることがないよう、AIの判断に対するモニタリングの実施や、人が最終的な判断をするなど適切な対策を講じるよう努めます。 - (3)透明性・アカウンタビリティの確保
適正な業務遂行には、根拠をもった合理的な判断が必要と考えます。当行は、責任あるAI活用のため、AIの判断根拠を必要に応じて人が検証できる透明性を確保し、アカウンタビリティを果たしていきます。また、ステークホルダーからの信頼を得るべく、提供するAIシステム・サービスに関連するステークホルダーとの積極的なコミュニケーションを行います。コミュニケーションを通じて、ステークホルダーの積極的な関与を促し、社会的な影響及び安全性に関する様々な意見を収集します。また、本ポリシーにて定めた内容への対応状況についてはステークホルダーに定期的に情報提供及び説明を行います。 - (4)法令順守(コンプライアンス)
当行は、健全な組織文化の更なる浸透と、コンプライアンスの質の向上にグループを挙げて取り組みます。地域毎に法令が異なる場合に留意した上でAIに関する法令を遵守し、指針・ガイドラインを適切に活用し、知的財産権その他のAIを取り巻く様々な権利関係にも配慮し、適切な目的のためにAIを活用します。
2.安全で信頼性の高いAIの提供
- (1)セキュリティ・プライバシーの確保
AIもまたサイバー攻撃の脅威に曝されています。当行は、安全で信頼性の高いAIサービスの提供・利用のため、完全に排除することはできないAIシステム・サービスの脆弱性に対処しつつ、外部からの攻撃に備えセキュリティ対策に取り組みます。また、関連法令を遵守することや個人情報・機密情報等のアクセスを管理・制限することに加え、データの取り扱いの分かりやすさにも配慮することで、ステークホルダーのプライバシー保護に努めます。 - (2)学習機会の提供・リテラシーの向上
当行は、本ポリシーのもと、AIに関わる者は十分なレベルのAIリテラシーを保有し、プロフェッショナルとして高い倫理観を基にAIの活用に臨むべきと考えています。そのために、社内において、適切な教育・リスキリングを実施してまいります。また、AI倫理普及の取組を社外にも展開し、社会全体のAIの発展的な活用に貢献するよう努めてまいります。 - (3)リスクマネジメントの実施
当行は、AIが引き起こす様々なリスクに対して、既存のリスク管理体系と調和したAIガバナンス体制を構築し、これを適切かつ継続的に管理してまいります。
3.AIを通じた社会的価値の創造
- (1)イノベーションの創出
AIは、社会的価値創造に繋がるイノベーションの創出に寄与する大きな可能性を秘めています。当行は、AIが内包するリスクに適切に対処しながらも、AIの可能性に対してグループの知恵と能力を集結し、先進性と独創性を発揮し、失敗を恐れずに挑戦していきます。AI相互接続・相互運用の確保を検討し、国際的な標準や規格等があればそれに準拠することで社会全体へその価値が波及することを志向していきます。また、自らのイノベーションを損なわない範囲で情報の提供を行い、社会全体のイノベーション推進に貢献します。 - (2)公正競争の確保
当行は、AIを活用した新たなビジネス・サービスが創出され、持続的な経済成長の維持及び社会課題の解決策の提示がなされるよう、AIをめぐる公正な競争環境の維持に努めます。経営層のリーダーシップの下、AIシステム・サービスの運用上の課題解決に必要な情報を明確にし、公正競争確保の下で可能かつ合理的な範囲で共有します。
以上