グリーン/ソーシャル/サステナビリティローンプロジェクト紹介

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株式会社IHI

プロジェクト概要

当社グループは、4つの事業領域(「資源・エネルギー・環境」、「社会基盤」、「産業システム・汎用機械」、「航空・宇宙・防衛」)からなる社会インフラのプロフェッショナルとして、地球環境とそこに暮らす人びとが持続可能であるために、自然の脅威から人びとを守り、安心・安全で豊かに暮らすことができる社会−「自然と技術が調和する社会」を創ることを目指しています。

当社グループは、2021年に「IHIグループのESG経営」を公表し、2023年5月には、ESGを価値観の基軸に置いた中期経営計画「グループ経営方針2023」を策定しました。航空エンジン・ロケット分野を成長事業、アンモニアに代表されるクリーンエネルギー分野を育成事業とし、事業ポートフォリオ構築の観点でも2つの事業へ経営資源を配分していき、これまで培ってきた技術を使い、掛け合わせながら進め、事業を変革させていきます。

当社はファイナンスを事業活動と一体と捉えており、今般、「航空機エンジンおよび自動車等の電動化、SAF、事業活動におけるCO2排出削減」の取り組みを推進するための資金を、グリーンローンにより調達いたしました。

プロジェクトの社会的意義

◇航空輸送システムにおける製品の電動化、燃料転換

航空業界は、環境にやさしい航空輸送を実現するためのCO2排出量の削減が課題となっており、国際航空運送協会(IATA)は、2021年10月に、2050年に航空機のCO2排出量を実質ゼロとする目標を採択しました。また、国土交通省は2021年12月に、航空分野におけるCO2排出削減の工程表を発表し、①機材・整備品等への新技術導入、②管制の高度化による運航方式の改善、③SAFの導入促進という3つの分野において具体策を検討する方針を打ち出しました。
IHIグループはこの動きを事業機会と捉え、特に民間向け航空機エンジンの主要パーツを担当して培った実績とバリューチェーンを強みとして、燃費改善や電動化の新技術導入に取り組んでいます。
また、脱炭素への貢献要素の大きいSAFについても、導入に向けた研究開発に取り組んでいます。

◇自動車の電動化

自動車業界では、カーボンニュートラルの実現に向けて、電気自動車や燃料電池車(以下、FCV)への移行が進んでいます。自動車メーカー各社がそれぞれのシナリオで脱炭素のための技術開発を進める中、当社はシナリオごとに想定される技術的な課題解決を通して自動車業界の脱炭素に取り組んでいます。
大型商用車については、航続距離、燃料充填時間、積載量の観点において有利なFCVの開発、提携が活発になっており、今後の生産増が期待されます。それに伴い、FCV向けの電動ターボチャージャーの需要も着実に伸長することが見込まれます。IHIグループは、車両用過給機の技術とバリューチェーンを活かしながら、自動車業界の脱炭素に取り組んでいます。

評価結果

本融資の実行にあたり、IHIは9月にサステナブルファイナンス・フレームワークを策定しました。本フレームワークは、経済産業省の「化学」、「電力」、「ガス」、「自動車」、国土交通省の「海運」、「航空」といった複数の「分野別ロードマップ」に整合していることに加え、国際エネルギー機関(IEA)や国際航空運送協会(IATA)等の国際的なシナリオとも整合しており、株式会社日本格付研究所(JCR)より、「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック(Climate Transition Finance Handbook)2023」等との適合性評価に関する第三者評価を取得しています。評価の詳細は下記URLをご参照ください。

今後の取り組み方について

当社グループは、取り巻く社会環境の変化を踏まえ、長期視点で持続可能な社会の実現に貢献するIHIグループの「ありたい姿」を定義しました。「ありたい姿」の実現に向けた事業戦略とファイナンスを一体ととらえ、変革の取り組みをステークホルダーの方々とともに進めていくべく、サステナブルファイナンス・フレームワークを活用した資金調達を今後も継続して積極的に行なっていきます。また、フレームワークを用いて調達した資金で、社会課題の解決に取り組み、社会価値を創出するとともに、企業価値の向上及び事業の持続的な成長を目指します。