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スイス×チーズフォンデュ
2019.8.21マネーのおいしい関係
インドネシアは、日本と同じく米が食生活の基本。
日本人の1人当たりの年間米消費量は約60kgですが、インドネシアでは約120〜140kgと言われ、倍以上。
生産量をみても、インドネシアは40年以上にわたり、中国、インドに続く、世界第3位の米生産国であり続けています。
島国である点も日本と似ていますが、インドネシアはおよそ490種もの異なる人種が共に暮らす多民族国家です。
人口の60%が集中するジャワ島ひとつみても西部と東部では文化も言語も違い、点在する1万4,000もの島々ではそれぞれ独自の文化をもって生活しています。
そのため料理も、島や地域によって素材や味付けが異なり、インドネシア料理と一口でくくるのが難しいくらい多種多様です。
その中で「ナシゴレン」は、各地域で味付けや盛り付けは違っても、家庭料理としてインドネシア中で共通して愛されているグルメのひとつ。
インドネシア料理の名前は、多くが「食材+調理法」となっていますが、ナシゴレンの場合、「ナシ」(Nasi)はお米、「ゴレン」(goreng)は焼いたという意味で、日本でもおなじみのチャーハンのような料理です。
チャーハンに比べ、にんにくや唐辛子、現地の香辛料などを利用した独特の辛味とコクがあり、その辛さが病みつきになると、日本でもファンが多い料理。
米を豊富に食べるインドネシアならではのグルメです。
インドネシアは、ASEAN(東南アジア諸国連合)設立当初からの加盟国であり、東南アジアの経済発展を牽引してきた国のひとつでもあります。
また、人口1億人以上の主要新興国のなかでも、中国やインドとともに2000年以降、経済成長率が一度もマイナスになっていないなど、堅調に経済成長しています。
インドネシアと世界全体、先進国全体、新興国全体を比較してみると、インドネシアは新興国全体の成長率を上回っており、その安定度の高さがわかります。
この安定成長の背景には、約2億6,000万人という世界第4位の人口大国に支えられた個人消費の大きさが強く影響しています。
モノ・サービスを買う人が多くいることで経済が活性化し、自国の成長につながっているのです。
インドネシアの人口は年々増加しており、2000年に約2億1,500万人、2010年には約2億4,000万人、直近の2017年は約2億6,000万人となっています。
今後も人口増加は続き、2020年に約2億7,000万人、2030年に2億9,500万人になると予測されています。
人口の増加だけではなく、中間所得層(世帯所得5,000〜34,999USドル、グラフ赤色部分)の増加も今後の成長を支える鍵となりそうです。
新興国であるインドネシアでは経済発展に伴い2000年には3.5%であった中間所得層が、2017年には67.1%まで急増しています。
この層の増加により、個人消費が拡大し、消費財を始めとした小売業界に大きな影響を与えています。
自動車や家電などの高価な耐久消費財の消費増加も期待できるでしょう。
インドネシアの人口動態調査を見ると、現在の平均年齢は29歳。
インターネットやスマートフォンに精通した世代が消費の中心世代を担っていくことが予想されます。
米グーグルとシンガポール政府が所有する調査によると、インドネシアの電子商取引(EC)の市場規模は2018年の270億ドル(約2兆9,600億円)から、2025年までに3倍の1,000億ドルに達し、東南アジア最大になるという予測が示されています。
大和総研の調査でも、ASEAN6カ国(インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア)の市場規模は2017年の178億米ドルから2021年には338億米ドルとおよそ2倍に成長すると見込んでいます。
インドネシアは現時点でもインターネット通販(=調査内ではEコマース)の市場規模が主要国内最大の70億米ドルですが、2021年には、145億米ドルと年平均20%の伸びを期待されています。
インドネシア政府も、デジタルエコノミー関連政策に力を入れており、2025年までの中期国家開発計画の中で、IT活用によるコミュニケーションの強化を重要施策としています。
個人消費に支えられてきたインドネシア経済が、EC市場の更なる発展によって今後も堅調に推移していく可能性は非常に高いのではないでしょうか。
インターネット通販などのEC市場が急拡大すると、それに連動して求められるのが、1万4,000を超える島々をつなぐ物流・交通ネットワークの整備です。
現状、もっとも大きな課題を抱えているのは、全国土面積の約7%に人口の約半数が集中している、ジャワ島です。
近年は、政治経済が集中するジャカルタ首都圏での渋滞が深刻化しており、「空港や港湾から工業集積地への物流の改善」「公共交通機関の整備」が急務となっています。
そんな中、2019年4月1日に、同国初の地下鉄「ジャカルタ都市高速鉄道南北線」が営業開始し、多くのジャカルタ市民に利用されています。
これは、ジャコ・ウィドド大統領が積極的に進めてきた開発事業で、複数の日本企業によって推進されました。
こうした支援は、高速道路建設、港湾改修、工業地区の道路改修など、幅広い分野で現在進行中です。
米食文化という類似点を持つインドネシアと日本が、交通ネットワーク推進でも手を携えて、経済協力をしているのです。
個人消費を押し上げるEC市場の発展は、交通ネットワークの整備が不可欠です。
今後、国内のインフラが整うことで、インドネシア全土でも、インターネット通販で購入した商品が即座に家に届けられる日が実現し、さらなるインドネシア経済の成長にもつながっていきます。
インドネシア×ナシゴレンのおいしい関係
インドネシア人に多く消費されている、米。
その米を使った料理ナシゴレンは、インドネシアにとって、まさに活力の源。
今後も増え続けるインドネシアの人口を、ナシゴレンは支え続けていくはずです。
米というシンプルな素材を活かしたナシゴレンのように、インドネシアも世界第4位を誇る人材のパワーで、ASEANのなかでも大きな力をつけていくことでしょう。
これからは、テクノロジー分野やインフラの発達によってさらに個人消費が拡大し、経済成長を支えていくはずです。
これからの動向に目が離せないインドネシアは、中長期的な投資先としても魅力的な国のひとつといえるでしょう。
ご飯 茶碗2杯分(多め)、むきえび 6尾、鶏もも肉 100g、玉ねぎ 1/3個、パプリカ 1/3個、にんにく(みじん切り) 1片、サラダ油 大さじ1
A 醤油 大さじ1、ナンプラー 大さじ1、サンバル 大さじ1/2〜、砂糖 小さじ1、オイスターソース 大さじ1/2、鶏ガラスープ(コンソメでもOK)小さじ1、塩こしょう(適量)
1)鶏肉は1.5cm角に切る。エビは背わたを取って良く洗い、塩水に10分ほどつけ水気を拭く。玉ねぎは粗みじん切りに、パプリカは1cm角に切る。
2)フライパンに、にんにくとサラダ油を入れて火にかけ、香りがたったら玉ねぎを加えてしんなりするまで炒める。鶏肉とパプリカを加えて炒め、鶏肉に火を通す。
3)Aを加えて、一混ぜしたらご飯を加える。炒めながら塩、こしょうで味を整える。
4)3を皿に盛り、ナシゴレンの上に目玉焼きを、好みで付け合わせを添える。