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シンガポール×ラクサ 〜さまざまな国と連携しながら発展する新興国と先進国のハイブリッド〜
2019.11.20マネーのおいしい関係
ドイツは、EU発足時から欧州統合を積極的に推進してきた歴史があり、EUのリーダー的な役割を果たしています。
また、中国、アメリカに次ぐ世界第3位の輸出大国であり、GDPも世界4位、欧州1位(2018年)。
経済面でもEUを牽引しています。
ドイツは連邦制国家であり、16の自治権を持つ州によって構成されています。「ドイツ基本法」により、各州の地方分権が認められているため、16の州それぞれが経済面でも文化面でも独自の歴史を持ち、各州が競いながら共存しているのが、この国の大きな特徴です。
今回紹介する「ソーセージ&ザワークラウト」は、ビールとともにドイツで愛されているグルメ。地方分権が根付くドイツらしく、ソーセージの種類は1,500ものバリエーションがあります。
焼きソーセージの定番「テューリンガー」、ミュンヘンでよく食べられる「白ソーセージ」、ニュルンベルクで食べられるハーブやスパイスが練り込まれた「ニュルンベルガー」など、各州によって個性的です。
ソーセージ&ザワークラウトはいわばドイツの国民食ともいえます。
先ほど紹介したように、ドイツは16に分かれた州がそれぞれ個性あふれた地方分権を進め、競争と共存の基に発展してきました。
英国におけるロンドンや、フランスにおけるパリのような一極集中の都市がなく、人口も産業も各都市に分散していることが、他の国にはない特徴です。
各州の個性が尊重され、独特な地方文化をもたらしています。
たとえば、ソーセージの名前にもなっている都市、フランクフルトがあるヘッセン州は、ドイツ連邦銀行の本拠地であり、金融の中心地。400近くの銀行が拠点を持ち、世界でも最も経済力のある地域のひとつとなっています。
デュッセルドルフを州都とするノルトライン-ヴェストファーレン州は、化学産業やハイテク産業などが盛んで、この州だけでドイツの国内総生産の4分の1が生産されています。
約45万社の中小企業のほかに、多くの大企業が拠点を置いています。
ドイツ最大の面積を誇るのは、バイエルン州。
高度に産業が発達したミュンヘンと、その周辺が代表的な工業地区です。北部にあるニュルンベルク、エアランゲン、フルトの3都市とその近隣地域がメトロポリタン地域として強固なネットワークを組み、一丸となって、未来志向の技術(特に航空宇宙技術)を推進しています。
また、ドイツの先端工業を支えているのが、無数の中小企業群である点も見逃せません。
ドイツには、まだ無名とはいえ、世界市場において当該業種上位3位以内の企業や、またその業界トップシェアを誇り収益は40億ドル程度の「隠れたチャンピオン企業」が群をなしています。
各都市に点在する高い技術力を持つ職人たちが独立し、中小企業として育つことで、ドイツの中小企業は大企業を凌ぐペースで成長。欧州の他国と比べても、ドイツの中小企業の雇用者数は大きく伸びています。
日本の産業も中小企業の技術力に支えられている面は多分にありますが、大手の親会社の下に関連中小企業がつらなるピラミッド型になる傾向があります。
それに対し、ドイツは大企業も中小企業もフラットに競争しています。
日本の全輸出額に占める中小企業の割合が2.8%であるのに対し、ドイツは19.2%(2010年)であることからも、その傾向がうかがえます。
ドイツの基幹産業といえば、やはり自動車関連産業でしょう。2017年の自動車輸出額は1,389億ユーロと、ドイツの輸出全体の11%を占めています。
これは雇用創出面でも大きな役割を果たしており、ドイツの雇用者の7人に1人、約82万人が自動車産業に従事しているといわれています。
ドイツの自動車産業の歴史は古く、世界で初めてガソリンエンジンで走る自動車を発明した国はドイツと考えられています。
世界の中でも確固としたブランドが確立しており、BMW、ポルシェ、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲンなど名だたる企業が並びます。
次世代自動車の開発にも余念がなく、電気自動車や代替燃料技術、デジタル化やコネクティビティ(インターネットにつながった車)、自動運転などの新技術の開発を進めています 。
ユニークなところでは、アウディとフランスの航空機メーカー・エアバスが、ドローンと合体して飛行可能な自動運転車「Pop.Up Next」のプロトタイプ機の飛行と走行試験に成功したというニュースもあります。
自動車産業で常に先端をいく技術力にはゆるぎないものがあるようです。
世界のトップ企業がその強さを維持している裏には、優れた部品業者とそれを支える職人たちの存在があります。
ドイツでは、高い技術力を兼ね備えた専門分野のプロを育成するプログラム「マイスター制度」が確立されています。
「マイスター」とは職人の最高位の称号で、ドイツではさまざまな職業にマイスター資格があります。
専門的な知識や技術を学び、厳しい試験をパスしなければ、マイスターになれず、その資格を得なければ、独立して開業することもできません。
マイスターの地位は大学の学位卒業と同等にみなされることから、ドイツには手に職をつけるという考え方が根付いており、高品質の技術を支える基盤となっているのです。
製造業の強さが目立つドイツですが、2011年には、世界に先駆けて「インダストリー4.0」を提唱しました。日本では「第4次産業革命」と呼ばれている取り組みです。
あらゆるものがネットにつながるIoTを使い、製造業の革新を目指していくもので、消費者のニーズの多様化に合わせ、多品種の製品を少しずつ効率的に作ることに対応した仕組みづくりをめざしています。
ドイツでは政府と経済界が一体となり、「インダストリー4.0」を進めています。人工知能(AI)やビッグデータなどのテクノロジーを用いて、ものづくりやサービスの生産性を高めることを目指しています。
たとえば、スマート工場などが代表例です。これまでは、ある製品を作る時、中小企業の多くが各々一つの工程を担うことが多かったのですが、インダストリー4.0が実現すると、複数の中小企業がテクノロジーの力で連携することができ、まるでひとつの工場のように製品を作ることができます。
2015年4月に出されたボストン・コンサルティング・グループの5〜10年後の予測によると、インダストリー4.0によりドイツ全体で年間約900〜1,500億ユーロ(約12〜20兆円)のコスト削減効果(加工費の約15〜25%)があるという発表がなされています。
各都市に高い技術力を持つ中小企業があるドイツにとっては、インダストリー4.0のシステムが確立によって、企業や州の枠組みを超え、それら各都市に分散した高い技術力を一体化することができます。
これまで以上に生産性をあげ、大きな成長につながる可能性を秘めているのです。
地方分権で各地域がそれぞれ独自の力を持つドイツ。
経済力だけでなく、各州で食べられているソーセージも独自の魅力を放っています。
マイスター制度という技術力の基盤と、革新的なインダストリー4.0というテクノロジーの力によって各地域が結集し合い、生産性がさらに向上すれば、さらなる経済成長をしていくでしょう。
常に技術と革新とともに歩むドイツは、中長期的な投資先としても有望だと考えられます。
ソーセージ(フランクフルト、チューリンガー、ゲルターヴルスト、シュネッケ、ニュールンベルガー)
1)フランクフルトは熱いお湯の中に入れて、煮たてず弱火のまま5分茹でる。
フランクフルト以外は油の馴染んだフライパンまたはテフロン加工のフライパンで時々転がしながら5〜10分、中弱火で全面をじっくり焼く。
キャベツ 1個、塩(キャベツの重量の2%)、ジュニパーベリー 2〜3粒、キャラウェイシード小さじ 1/2、ローリエ 1枚、酢 50ml、砂糖 小さじ1
1)キャベツは外側の葉を除き千切りにする。キャベツに対して2%の塩を準備する。
2)鍋にキャベツと塩、スパイスを入れ5〜10分ほど置き、なじませ、ギュッともんでしんなりさせる。
3)キャベツがしんなりしたら、砂糖を加えて鍋を火にかける。中弱火で7〜10分ほど加熱し、酢を加え火を止める。そのまま冷ます。
※お時間があるときはこちら
キャベツ 1個、塩(キャベツの重量の2%)、ジュニパーベリー 2〜3粒、キャラウェイシード 小さじ 1/2、ローリエ 1枚
1)キャベツは外側の葉を除き、千切りにする。キャべツに対して2%の塩を準備する。
2)ボウルにキャベツと塩、スパイスを入れ5〜10分ほど置き、なじませる。ギュッともんでしんなりさせる。
3)キャベツがしんなりしたら、熱湯で消毒した清潔な保存瓶に入れ、表面をラップで覆う。重石(200〜300g)をして水がしっかり上がるまで数時間寝かせる。
4)水が上がったら、重石を外し、保存瓶のふたをしてバットなどの上に置く(キャベツが発酵するとガスが出て吹きこぼれる可能性があるため)。3〜6日を目安に、直射日光の当たらない常温に置いて発酵させる。
5)発酵が進むとキャベツが緑色から退色してうす茶色になり、水がやや発泡し少し濁った白っぽい色になる。味に酸味が出ていれば食べ頃の目安。