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2020.2.5マネーのおいしい関係
ブラジルは中南米一を誇る経済大国で、名目GDPは約1兆8,680億ドルと、世界第9位です。
国土も中南米一で、面積は世界第5位。南米大陸のおよそ半分を占めています。
人口は約2億900万人で、世界第5位。先住民であるインディオをはじめ、アフリカ系、イタリア系、ポルトガル系、中東系などさまざまな人種が暮らす移民の国です。
日本とも関係性が深く、日本からブラジルへの集団的な移住は、1908年から始まっており、そこから戦前・戦後を合わせて約25万人もの日本人がブラジルに移住しています。
今回紹介する「シュラスコ」は、牛や羊などの肉を串に刺して炭火でじっくりあぶり、焼けたところをナイフで切り取って食べるブラジル式の豪快なBBQ。
ブラジルでは、お祝い事や人々が集まるときには欠かせないメニューで、肉の味をシンプルに楽しむことができます。
ブラジルの主な産業は、農業、鉱業、原油と資源に関連しているのが特徴です。
農業分野では、コーヒー豆の生産量が世界一で、世界の生産量の約1/3を占めています。
そのほか、オレンジの生産量も世界一。大豆、牛肉の生産量も多く、それぞれ世界第2位です。
今後、世界の人口が増えることで食糧への需要増加が長期的に続くことが予想されるため、農業大国ブラジルの成長に期待がかかっています。
鉱業分野では、鉄鉱石(生産量世界2位)やボーキサイト(生産量世界4位)、ニッケル鉱(生産量世界8位)などが主な採取資源です。
鉄鋼大手メーカーのウジミナスや商用ジェット機の生産世界第3位の民間航空機メーカーであるエンブラエルなどの、鉱物を必要とする国内メーカーは、ブラジルの豊富な鉱物資源に支えられているといえるでしょう。
原油の産油量も多く、確認埋蔵量は約134億バレル※と世界15位。生産量は日量約270万バレルと世界10位です。
以上のように食品・鉱物・エネルギーなど各種の資源をバランス良く保有しているのがブラジルの強みです。
輸出の品目別内訳をみると、非食品原材料(鉱物資源)が約29%、食料品および食用動物(食品資源)が全輸出の約22%、鉱物性燃料(原油など)が約9%と、特定の資源だけに依存しているわけではありません。
特定の品目や産業の動きに左右されにくいため、景気の浮き沈みが少ないことがブラジル産業の強みです。
2019年1月に現ボルソナーロ大統領政権が誕生し、混乱していた政治に終止符が打たれました。
ボルソナーロ政権は、市場の役割に重点を置いた「小さな政府(規制緩和等を行い、政府が経済に介入しない)」を志向しているのが大きな特徴で、「年金制度改革」「税制の簡素化」「国営企業の民営化」の3つの改革に取り組んでいます。
特に、「国営企業の民営化」は経営効率化と財政再建を図るために進められており、郵政電信公社やブラジル都市鉄道(CBTU)のほか、国営電力エレトロブラスなどが対象になっています。
上記の改革に加えて、経済成長の足かせとなっている交通インフラ整備も進めています。
民営化により整備が進められましたが、まだ整備が不十分な部分があり、輸送コストが高いことがブラジルの長年の課題でした。
交通インフラ関連企業の民営化が進むと、採算が重視される企業体質になるため、生産性の向上・コストカットなどを目的に、投資が行われます。
そうした投資拡大が景気を刺激するとともに、輸送コストが低下するため、ブラジル企業の国際競争力を高めると期待されています。
2019年1月から米アマゾン・ドット・コム社がブラジルで直販を始めており、こうした海外の民間企業の参入を促進するには、物流コストダウンにつながるインフラ整備は重要です。
国内の課題に対する改革を進めることで、政府は経済の安定化を目指しています。
実は、ブラジルはIT大国です。
FacebookやGoogleの利用者数は世界3位、YouTubeやNetflixなどの動画サービス市場の規模は世界2位。
米国に次ぐ大きな市場になっています。
ブラジルで今後成長が期待されているのが、IT産業です。その理由は大きく以下の3点が挙げられます。
第一に、人口や経済規模が、世界のなかでも上位に位置するため、EC(電子商取引)やシェアリング・エコノミーなどの市場としてかなりの規模が期待できること。
第二に、インターネットの普及率がすでに70%弱と世界的にも高い水準で、新しいITサービスに対応する潜在力があること。
第三に、ITサービスを低コストで提供する企業が増えることにより、富裕層中心だった市場が中間層へと広がり、普及に拍車がかかること。
こうした中で、政府も起業家への支援を進めています。
スタートアップ企業に対して、研究開発奨励金などを提供する支援プログラム「スタートアップ・ブラジル」がその代表例です。
同様に、政府系金融機関であるブラジル社会経済開発銀行も、スタートアップ企業に対し、民間投資家と同額を出資する投資ファンドを創設しました。
また、ユニコーン企業と呼ばれる、未上場ながら評価額(上場企業の株式時価総額に相当する金額)が10億ドル(約1,100億円)に達した急成長企業も登場してきています。
米調査会社CB Insightsによれば、2019年12月時点のブラジルのユニコーン企業数は6社です。世界のユニコーン企業数をランキングにすると、ブラジルはイスラエルと同率7位になっています。
このうちデジタルバンキングの会社NuBank(ヌーバンク)は2018年の「フィンテック250」に選ばれました。
順位 | 国名 | ユニコーン企業数 |
---|---|---|
1位 | アメリカ | 216 |
2位 | 中国 | 101 |
3位 | イギリス | 22 |
4位 | インド | 19 |
5位 | ドイツ | 12 |
6位 | 韓国 | 10 |
7位 | ブラジル | 6 |
7位 | イスラエル | 6 |
9位 | インドネシア | 6 |
9位 | フランス | 5 |
9位 | スイス | 5 |
12位 | オーストラリア | 3 |
12位 | 香港 | 3 |
12位 | 日本 | 3 |
こうしたブラジルのIT力の高さから、日本のソフトバンクは南米諸国でのIT向け投資ファンド(Softbank Innovation Fund)を設立し、拠点の一つをブラジルのサンパウロに設けました。規模は50億米ドルと報じられています。
ブラジルはクレジットカードやローンでの購入が浸透しており、消費意欲が高い国民性だと言われています。
今後、登場してくるITを活用した新サービスに注目が集まれば、IT市場全体が拡大していくことでしょう。
また、農業の生産性をテクノロジーの力で高めることも期待されています。実際に農業×ITの有力なスタートアップ企業も登場しました。
たとえば、アルパック社は、人手や飛行機などでの散布では効率の悪い局所的な農薬散布や益虫散布にドローンを利用するシステムを開発しています。
テクノロジーを活用することで、ブラジルが持つ資源をより活用できるチャンスも広がっているのです。
牛肉はもちろん、羊や鶏肉、ソーセージなど、素材の味を楽しめるシュラスコ。ブラジルも同様に、資源・国土・人口という魅力的な素材が存在しています。
今後は、高いポテンシャルを持つ資源と国土と人口に、テクノロジーの力をかけ合わせることで、ダイナミックな経済成長が期待できるでしょう。
政府の手も加わることで、その成長は大きく加速することも予想されます。
隠れたIT大国ブラジルは、中長期的な投資先として期待できる国のひとつといえます。
牛塊肉(250〜300g)を2〜3個、鶏もも肉2枚(1枚約300g)、ソーセージ適量、塩、こしょう適量
紫玉ねぎ1/3個(みじん切り)、トマト1個(角切り)、ピーマン1/2個(みじん切り)、パプリカ(黄、赤)1/4個(みじん切り)、オリーブオイル大さじ1〜、酢大さじ3〜4、塩小さじ1/2〜、砂糖少々、パセリ5本(みじん切り)
1)牛肉は塩、こしょうをかけ、肉を半分に曲げ竹串(1本に1〜2枚ほど)に刺す。鶏肉は1枚を4等分に切って塩、こしょうをかけ、肉を半分に曲げて串に刺す(1本に3〜4枚分ほど)。
2)フライパンにサラダ油少々(分量外)を熱し強火で鶏肉の表面を焼き、オーブンシートを敷いた天板に取り上げる。
余計な油を拭き取り同様に牛肉の両面に焼き色をつけ、天板に取り上げる。
3)調理した牛肉と鶏肉を200度に予熱したオーブンに同時に入れる。牛肉は7分加熱したら裏返し、さらに7分加熱し取り出す。アルミホイルにかけ10分ほどおき、肉汁が落ち着くのを待つ。鶏肉は、さらに5分加熱し取り出す。粗熱が取れたら、飾り用の串に刺し代える。
4)ソーセージはフライパンで加熱して表面に焼き色がついたら、飾り用の串に刺し代える。
5)牛肉は薄切りにし、モーリョソースをかけて食べる。