次の記事
マイホーム購入費はいくら?
2018.10.31人生のHow Much?
783万 〜 2,300万円程度
子どもの教育費はいくら準備しておけば良いのか。お子さまがいれば当然気になりますよね。子どもの学費は公立か私立によって、また、同じ私立の場合も進学先によって大きく異なります。
文部科学省の「平成29年度学校基本調査」によると、大学・短大への進学率は57.3%。およそ10人に6人が、大学や短大へ進学しています。また、高校卒よりも大学・大学院卒の人の方が、生涯賃金が8,000万円多いというデータがあり※1、大学への進学が、子どもの将来の賃金に影響する可能性があるとも言えます。
大学に進学するかどうか、もちろん優先すべきは子ども自身の意思ですが、お金の準備という意味では、大学進学を視野に入れておくべきでしょう。
下の表は横にスクロールできます
オール私立・ 理系パターン 幼稚園〜大学まで私立、 大学理系の場合 |
高等学校から 私立パターン 幼稚園〜中学校まで公立、 高校私立・大学私立文系の場合 |
オール公立・ 文系パターン 幼稚園〜大学 すべて公立、 大学文系の場合 |
|
---|---|---|---|
幼稚園 | 約144万円 | 約70万円 | 約70万円 |
小学校 | 約916万円 | 約193万円 | 約193万円 |
中学校 | 約398万円 | 約143万円 | 約143万円 |
高等学校 | 約312万円 | 約312万円 | 約135万円 |
大学 | 約530万円 | 約389万円 | 約242万円 |
合計 | 約2,300万円 | 約1,107万円 | 約783万円 |
やや極端な例ですが、幼稚園から大学(理系コース、医学部・薬学部など医療系を除く)まで、すべて私立に通うと約2,300万円。もっとも費用がかかるケースだと考えられます。
ただし、2020年度からは、「高等教育の無償化」により上のシミュレーションより教育費が低く抑えられるかもしれません。詳細は決まっていませんが、所得の低い世帯を対象に、授業料の減免、返済が不要な給付型奨学金の拡充が検討されています。中間所得層も対象になる可能性も。今後の制度を注視しましょう。
学費は総額で考えると大きな金額ですが、一度に支払うわけではありません。ピークは大学の入学時。入学金と1年間の学費が必要になります。子どもが小さいうちから、大学入学時に向けてコツコツ準備しておくと良いでしょう。
国立大学の学費は、4年間で約242万円。単純に0歳から18歳までの18年間で割ると年間約13万円、毎月約1万1000円の預貯金で用意できる計算です。同様に、私立大学の文系なら学費は4年間で約389万円、つまり18年間毎年約21万円(約1万8000円/月)の預貯金が必要です。理系なら学費は4年間で約530万円、同様に18年間なら毎年約29万円(約2万4000円/月)の預貯金が必要となります。
さらに、学費以外にもいろいろな出費があります。教科書代、電車代、習い事や塾などの費用、下宿する場合は別途家賃や生活費がかかります。
そこで、まずおすすめしたいのは「児童手当を使わずにとっておく」という方法。児童手当の給付額は、総額198万円※2で、公立高校の3年間の授業料や、公立大学の入学金・授業料1∼2年分を賄えます。
また、貯めたお金は、納得のいく運用方法があれば、一部を投資に回すという選択肢もあります。株式などへの投資は、預金と違って元本が保証されていないので、心理的な抵抗を感じる人もいるかと思いますが、資産運用には様々な方法があり、どれくらいリスクをとるかをある程度調整することができます。
運用をする際は「つみたてNISA」「NISA」「ジュニアNISA」といった少額投資非課税制度を利用すると、運用で得た利益にかかる20.315%の税金が制度内で非課税に。
10年以上先の教育費を貯める目的であれば、長期間保有できる「つみたてNISA」を。さらに余裕がある人は、子ども名義で開設できる「ジュニアNISA」で積み立てて準備するのも良いでしょう。
ただし、非課税の期間や、投資できる金額には上限が設けられています。また、「つみたてNISA」と「NISA」は併用できませんので専門家に相談したり、パンフレットなどで確認しましょう。
下の表は横にスクロールできます
加入条件 | 非課税期間 | 非課税限度額 | |
---|---|---|---|
つみたてNISA | 20歳以上の人が加入できる | 最大20年 | 40万円/年 |
NISA | 20歳以上の人が加入できる | 最大5年 | 120万円/年 |
ジュニアNISA | 0~19歳の人が加入できる | 最大5年 | 80万円/年 ※18歳まで払い戻しできない (払い出すと課税される) |
子どもの教育費は、未来を見すえてコツコツと準備をしておくことが大切です。確実に預貯金をするポイントは、お給料や児童手当を受け取ったら、使ってしまう前に、すぐに専用の口座などに移すこと。毎月自動で積み立てられる「積立預金」を利用するのも良いですね。"将来の自分や子どもにお金を贈る"というイメージを持って、がんばってください。
ファイナンシャルライター 瀧 健
『PRESIDENT Online』などの経済系Webメディアでも多数の執筆協力経験をもつ。ライフプランや資産運用の提案が得意。自らも株式・債券・投資信託などの運用を行っている。社会保障にも詳しい。