大学進学を視野に入れたマネープランを

幼稚園から大学までの学費

783万 〜 2,300万円程度

子どもの教育費はいくら準備しておけば良いのか。お子さまがいれば当然気になりますよね。子どもの学費は公立か私立によって、また、同じ私立の場合も進学先によって大きく異なります。

文部科学省の「平成29年度学校基本調査」によると、大学・短大への進学率は57.3%。およそ10人に6人が、大学や短大へ進学しています。また、高校卒よりも大学・大学院卒の人の方が、生涯賃金が8,000万円多いというデータがあり※1、大学への進学が、子どもの将来の賃金に影響する可能性があるとも言えます。

大学に進学するかどうか、もちろん優先すべきは子ども自身の意思ですが、お金の準備という意味では、大学進学を視野に入れておくべきでしょう。

  • 「2014年 労働政策研究・研修機構調べ」より男性の場合

●幼稚園から大学卒業までの学費のシミュレーション

下の表は横にスクロールできます

オール私立・
理系パターン

幼稚園〜大学まで私立、
大学理系の場合
高等学校から
私立パターン

幼稚園〜中学校まで公立、
高校私立・大学私立文系の場合
オール公立・
文系パターン

幼稚園〜大学 すべて公立、
大学文系の場合
幼稚園 約144万円 約70万円 約70万円
小学校 約916万円 約193万円 約193万円
中学校 約398万円 約143万円 約143万円
高等学校 約312万円 約312万円 約135万円
大学 約530万円 約389万円 約242万円
合計 約2,300万円 約1,107万円 約783万円

やや極端な例ですが、幼稚園から大学(理系コース、医学部・薬学部など医療系を除く)まで、すべて私立に通うと約2,300万円。もっとも費用がかかるケースだと考えられます。

ただし、2020年度からは、「高等教育の無償化」により上のシミュレーションより教育費が低く抑えられるかもしれません。詳細は決まっていませんが、所得の低い世帯を対象に、授業料の減免、返済が不要な給付型奨学金の拡充が検討されています。中間所得層も対象になる可能性も。今後の制度を注視しましょう。

制度を上手に活用して、子どもが小さいうちからコツコツと

学費は総額で考えると大きな金額ですが、一度に支払うわけではありません。ピークは大学の入学時。入学金と1年間の学費が必要になります。子どもが小さいうちから、大学入学時に向けてコツコツ準備しておくと良いでしょう。

国立大学の学費は、4年間で約242万円。単純に0歳から18歳までの18年間で割ると年間約13万円、毎月約1万1000円の預貯金で用意できる計算です。同様に、私立大学の文系なら学費は4年間で約389万円、つまり18年間毎年約21万円(約1万8000円/月)の預貯金が必要です。理系なら学費は4年間で約530万円、同様に18年間なら毎年約29万円(約2万4000円/月)の預貯金が必要となります。

さらに、学費以外にもいろいろな出費があります。教科書代、電車代、習い事や塾などの費用、下宿する場合は別途家賃や生活費がかかります。

そこで、まずおすすめしたいのは「児童手当を使わずにとっておく」という方法。児童手当の給付額は、総額198万円※2で、公立高校の3年間の授業料や、公立大学の入学金・授業料1∼2年分を賄えます。

また、貯めたお金は、納得のいく運用方法があれば、一部を投資に回すという選択肢もあります。株式などへの投資は、預金と違って元本が保証されていないので、心理的な抵抗を感じる人もいるかと思いますが、資産運用には様々な方法があり、どれくらいリスクをとるかをある程度調整することができます。

運用をする際は「つみたてNISA」「NISA」「ジュニアNISA」といった少額投資非課税制度を利用すると、運用で得た利益にかかる20.315%の税金が制度内で非課税に。
10年以上先の教育費を貯める目的であれば、長期間保有できる「つみたてNISA」を。さらに余裕がある人は、子ども名義で開設できる「ジュニアNISA」で積み立てて準備するのも良いでしょう。

ただし、非課税の期間や、投資できる金額には上限が設けられています。また、「つみたてNISA」と「NISA」は併用できませんので専門家に相談したり、パンフレットなどで確認しましょう。

  • ※2 児童手当には所得制限があります。夫婦どちらかが働き、子どもが2人いる世帯の場合、年収960万円以上の人がいると児童手当が受け取れません。代わりに、特例給付として月額5000円が給付されます。

●NISAの種類

下の表は横にスクロールできます

加入条件 非課税期間 非課税限度額
つみたてNISA 20歳以上の人が加入できる 最大20年 40万円/年
NISA 20歳以上の人が加入できる 最大5年 120万円/年
ジュニアNISA 0~19歳の人が加入できる 最大5年 80万円/年
※18歳まで払い戻しできない
(払い出すと課税される)

子どもの教育費は、未来を見すえてコツコツと準備をしておくことが大切です。確実に預貯金をするポイントは、お給料や児童手当を受け取ったら、使ってしまう前に、すぐに専用の口座などに移すこと。毎月自動で積み立てられる「積立預金」を利用するのも良いですね。"将来の自分や子どもにお金を贈る"というイメージを持って、がんばってください。

  • 2018年10月現在の税制です。今後の税制改正にともない、変更されることもありますのでご留意ください。税金に関しては専門家にご相談ください。

ファイナンシャルライター 瀧 健

『PRESIDENT Online』などの経済系Webメディアでも多数の執筆協力経験をもつ。ライフプランや資産運用の提案が得意。自らも株式・債券・投資信託などの運用を行っている。社会保障にも詳しい。

シリーズの記事一覧を見る

関連記事

NISA,つみたてNISA,共働き,子育て