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2019.4.3人生のHow Much?
約110〜1,130万円
国土交通省の「中古住宅流通 リフォーム市場の現状」によると、持ち家居住者のうち、約半数がリフォーム工事を実施しています。リフォームした箇所は「浴室」「キッチン」「トイレ」「給湯器」「洗面所」などの水まわりが上位を占めており、その動機は「老朽化していた」が約60%、「生活の質を上げたかった」が約35%でした。
また(株)リクルート住まいカンパニーの調査※では、リフォームを実施した人の約60〜70%が、築年数「20年〜40年未満」の家に居住していました。
これらのことから、マイホームの築年数が20年を過ぎると、特に水まわりのリフォームが必要になると考えておいた方が良さそうです。20年というと、まだローン返済中の人もいるでしょう。住宅購入の際は、こうした維持費・修繕費も見込んでおく必要があります。
肝心の費用ですが、どういったリフォームをするかはもちろん、マンションか戸建かによっても大きく異なります。リフォーム会社紹介サイト「ホームプロ」のデータをもとにシミュレーションを行いました。1つの目安として参考にしてください。
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水回り | 部屋改装 | 大規模なリフォーム | |||
---|---|---|---|---|---|
戸建て | マンション | 戸建て | マンション | 戸建て | マンション |
約250∼ 370万円 |
約180∼ 250万円 |
約200∼ 300万円 |
約110∼ 200万円 |
約790∼ 1,130万円 |
約320∼ 500万円※ |
【内訳】 ●キッチン 100〜150万円 ●浴室 100〜120万円 ●トイレ 30〜40万円 ●洗面 20〜30万円 |
【内訳】 ●キッチン 60〜90万円 ●浴室 80〜100万円 ●トイレ 20〜30万円 ●洗面 20〜30万円 |
【内訳】 ●リビング 100〜150万円 ●ダイニング 60〜90万円 ●洋室・和室 40〜60万円 |
【内訳】 ●リビング 50〜100万円 ●ダイニング 30〜60万円 ●洋室・和室 30〜40万円 |
【内訳】 ●キッチン 100〜150万円 ●浴室 100〜120万円 ●トイレ 30〜40万円 ●洗面 20〜30万円 ●リビング 100〜150万円 ●ダイニング 60〜90万円 ●洋室・和室 40〜60万円 ●外壁 100〜150万円 ●屋根 50〜100万円 ●玄関 30〜40万円 ●窓・サッシ 10〜20万円 ●耐震工事 148万3,082円(平均) |
【内訳】 ●キッチン 60〜90万円 ●浴室 80〜100万円 ●トイレ 20〜30万円 ●洗面 20〜30万円 ●リビング 50〜100万円 ●ダイニング 30〜60万円 ●洋室・和室 30〜40万円 ●玄関 10〜20万円 ●窓・サッシ 20〜30万円 |
リフォーム前に決めておきたいことは「どれくらいお金をかけられるか」ということ。つい「あれもこれも...」と追加してしまいがちなので、最初に予算を決めて優先順位の高いものからリフォームすることをおすすめします。
リフォーム業者を選ぶ際は、複数の業者から見積もりをとって相場を把握したうえで、実際に手がけた物件を見に行くのが確実でしょう。費用面だけでなく、担当者の対応、材料や設備のグレードなども考慮して比較したいところです。また、リフォーム予定外の箇所が著しく劣化していた場合には追加工事が発生する可能性もあるので、追加工事に関する取り決めも確認しておくと安心です。
省エネやバリアフリーなどのリフォームを行う場合は、自治体の補助金や減税制度を利用できる可能性があるので、ぜひチェックしておきましょう。例えば、高性能な断熱材、ガラス、窓などを使用して断熱改修を行うと、最大で120万円の補助金が受け取れる場合も。さらに、一定の要件を満たす必要がありますがローンを組むと、年末ローン残高を上限に工事費の2%または1%が5年間、所得税から控除されます(住宅ローン控除との合算はできません)。
ただし、補助金制度は原則、工事着手前に申請する必要があります。申請前に工事をはじめてしまうと利用できませんので注意してください。
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省エネ改修減税 | 断熱改修工事など一定の要件を満たすと、年末ローン残高を上限に工事費の2%または1%が5年間、所得税から控除されます。 |
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バリアフリー改修減税 | 高齢者本人やその同居人が住宅のバリアフリー化の改修工事を行った場合、年末ローン残高を上限に工事費の2%または1%が5年間、所得税から控除されます。 |
三世代同居減税 | 三世代同居のため、キッチン、浴室、トイレ、玄関のうち1つ以上を増設した場合、25万円の控除額を限度に、増設にかかった標準的工事費の10%が所得税から控除されます。 |
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長期優良リフォーム補助金 | 最大250万円 (三世代同居は+最大50万円) |
劣化対策、耐震性、省エネ性など「長期優良住宅」と認定されると受け取れる補助金制度。 |
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省エネ改修(断熱リノベ) | 最大120万円 | 高性能な断熱材、ガラス、窓などを使用して断熱改修を行う場合に適用される補助金制度。 |
介護保険の住宅改修の補助金 | 最大18万円 | 手すりの設置など、介護用のリフォームに対する補助金制度。要支援・要介護の認定を受ける必要あり。 |
各自治体が実施する支援制度 | 各自治体が独自に行っている補助金制度。「一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会」で検索できます。 |
今年2019年10月には、消費税率の引き上げが予定されています。リフォーム工事費用も消費税の対象となりますが、経過措置が設けられており、2019年3月31日までにリフォームの契約を行えば、工事完了が19年10月1日以降になっても消費税率は8%のままになります。それ以降の契約でも、工事が19年9月30日までに完了すれば消費税率は8%のままです。
2019年10月の消費増税後に省エネなどのリフォーム工事を行うときは、商品券などに交換できるポイント制度を利用できる可能性があります。制度の詳細はまだ決まっていませんが、2015年に消費税が8%に増税されたときに景気対策として実施された「住宅エコポイント制度」を参考にした制度が導入される見込みです。2015年の住宅エコポイントでは、一定の省エネ基準を満たした一戸建て住宅やマンションの購入、窓や外壁の断熱改修に対して1ポイントあたり1円相当のポイントを発行する仕組みでした(新築購入:30万ポイント、断熱改修などの改築:上限30万ポイント)。近いうちにリフォームを考えている人は、チェックしておきましょう。
ファイナンシャルライター 瀧 健
『PRESIDENT Online』などの経済系Webメディアでも多数の執筆協力経験をもつ。ライフプランや資産運用の提案が得意。自らも株式・債券・投資信託などの運用を行っている。社会保障にも詳しい。