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終活にかかる費用はいくら?
2022.10.19人生のHow Much?
約1億1,120万円
当たり前かもしれませんが、この先いくらお金が必要になるか、その金額は人それぞれ大きく異なります。
参考までに、国が公表している平均支出・平均寿命から試算してみましょう。
総務省の「家計調査報告」によると、2019年の単身世帯における消費支出の月平均額は<163,781円>。2020年、2021年はコロナ禍の影響で消費が落ち込んだため、2019年の消費支出のデータを1人当たりにかかる費用と設定し、平均寿命までにいくらかかるか計算します。
2021年の日本人女性の平均寿命は<87.57歳>でした。
例えば、現在30歳の人が87歳まで、単身世帯で生きるとすると…
約1億1,120万円のお金を使う計算になります。
ただし、この金額はあくまで平均値であり、必要なお金は、それぞれのライフスタイルや働き方、収支などによって大きく異なります。
そこで、基本となる「生活費」に加え、人生のなかでもまとまったお金が必要となる「結婚式にかかる費用」「子どもの学費」「住宅の購入費用・賃貸にかかる費用」「老後の生活費」についてシミュレーションしました。
自分の現状や今後の希望に沿って、必要となりそうなイベントをセレクトし、費用の総額をざっくりとイメージしてみてください。
大きなイベントはなくても、日々の暮らしには当然お金がかかります。1人当たりにかかる費用を総務省の「家計調査報告」の単身世帯の消費支出をもとに算出した場合、30歳の人が87歳まで57年間生活した場合の生活費は、約9,776万円。住居費は後述するので、ここには含めていません。
結婚情報誌「ゼクシィ」が調査した「結婚トレンド調査2021」によると、挙式、披露宴・披露パーティ総額は292.3万円。また、ご祝儀総額は176.8万円で、実際にカップルが負担した平均費用は143.7万円でした。
2020年以降は、新型コロナウイルスの影響で、披露宴の規模を縮小したり、招待人数を減らしたりする傾向にあるものの、カップルの費用負担そのものはコロナ禍前から大きな変化はありませんでした。
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子どもの学費は、公立、私立、進学する学部などによって、大きく異なります。文部科学省の「令和3年度学校基本調査」によると、大学・短大への進学率は58.9%。およそ10人に6人が、大学や短大へ進学していることから、大学進学まで想定してシミュレーションしました。
下の表は横にスクロールできます
オール私立・ 理系パターン 幼稚園〜大学まで私立、 大学理系の場合 |
高等学校から 私立パターン 幼稚園〜中学校まで公立、 高校私立・大学私立文系の場合 |
オール公立・ 文系パターン 幼稚園〜大学 すべて公立、 大学文系の場合 |
|
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幼稚園 | 約158万円 | 約67万円 | 約67万円 |
小学校 | 約959万円 | 約193万円 | 約193万円 |
中学校 | 約421万円 | 約147万円 | 約147万円 |
高等学校 | 約291万円 | 約291万円 | 約137万円 |
大学 | 約551万円 | 約408万円 | 約237万円 |
合計 | 約2,379万円 | 約1,100万円 | 約776万円 |
もっとも費用がかからないのは、幼稚園から大学(文系)まで、すべて公立に通った場合で約776万円。
もっとも費用がかかるのは、幼稚園∼大学(理系)まですべて私立に通った場合で約2,379万円程度となります(医学部・薬学部など除く)。
当然ながら、子どもの人数が2人になれば2倍かかります。ただし、2020年度から、高等教育の無償化が始まっており、所得によっては上記のシミュレーションより学費は低く抑えられる可能性があります。
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住宅の価格は、立地や広さによって大きく異なります。購入する際は、将来のライフイベントやマネープランを考慮して、きちんとローンを返済できるか、余裕をもって慎重に考えましょう。ローンを組む場合は、できるだけ頭金を多く用意しておくと、利息を含む返済額が少なくなります。
下の表は横にスクロールできます
頭金 | 500万円 |
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利息を含む返済額 | 5,502万円(毎月返済額15.2万円) |
リフォーム資金 | - |
購入時にかかる諸費用※1 | 246.45万円 |
合計 | 約6,628万円 |
夫婦二人で割った場合 | 約3,314万円 |
頭金 | 500万円 |
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利息を含む返済額 | 4,659万円(毎月返済額12.9万円) |
リフォーム資金 | - |
購入時にかかる諸費用※1 | 340万円 |
合計 | 約5,499万円 |
夫婦二人で割った場合 | 約2,749万円 |
頭金 | 500万円 |
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利息を含む返済額 | 3,093万円(毎月返済額8.5万円) |
リフォーム資金 | 201万円※2 |
購入時にかかる諸費用※1 | 239.2万円 |
合計 | 約4,033万円 |
夫婦二人で割った場合 | 約2,016万円 |
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住宅購入と同様に、賃料も立地や広さによって大きく異なります。賃貸は住居費を一生支払い続けることになりますが、転職・転勤、あるいは家族構成の変化にあわせて、住み替えられることが大きなメリットです。修繕費用なども原則所有者が負担します。
家賃 | 11.19万円 |
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合計 | 約7,653万円 |
夫婦二人で割った場合 | 約3,826万円 |
家賃 | 20.57万円 |
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合計 | 約1億4,069万円 |
夫婦二人で割った場合 | 約7,034万円 |
家賃 | 23.89万円 |
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合計 | 約1億6,299万円 |
夫婦二人で割った場合 | 約8,149万円 |
備えておくべき老後資金は、定年後の生活費(支出)と年金の受給額(収入)の差額を目安にするのが一般的です。年金の受給額が多ければ老後資金への備えは少なくてすみ、年金の受給額が少なければ多く準備することになります。
会社員であれば厚生年金や企業年金(企業によって異なります)が受け取れますが、生活費を引くと余剰資金はほぼありません。また、今後、物価上昇などがあれば、準備額は増える可能性があります。旅行や趣味を楽しみたい、リフォームをしたといった希望を叶えるためにも、老後資金の準備をしておきましょう。
一方、自営業者・フリーランスは基本的に国民年金のみ。下記の資産では、iDeCoや国民年金基金などに加入するなどして、自分で老後の資金を準備しておくのがおすすめです。
自分が受け取れる年金受給額については、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で確認しましょう。
国民年金(1年間) | 77万7,800円 |
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厚生年金(1年間) | 112万4,701円 |
年金の受給額合計 (65歳から87歳まで22年間受給した場合) |
4,186万円 |
定年の生活費合計 (60歳でリタイア後87歳まで生活した場合) |
4,109万円 |
老後の生活費の収支 (年金受給額-定年後の生活費) |
約77万円 |
国民年金(1年間) | 77万7,800円 |
---|---|
厚生年金(1年間) | - |
年金の受給額合計 (65歳から87歳まで22年間受給した場合) |
1,711万円 |
定年の生活費合計 (60歳でリタイア後87歳まで生活した場合) |
4,109万円 |
老後の生活費の収支 (年金受給額-定年後の生活費) |
マイナス2,398万円 |
人生100年時代と言われる今、どんなライフスタイルを選択したとしても、かつてより多くのお金が必要になることが予測できます。特に平均寿命が長い女性にとっては、先を見据えてキャリアを形成しながら上手にお金と付き合っていくことが大切です。
お金と上手に付き合うポイントは、「収入」と「支出」のバランスをとること。収入が多くても、それ以上にお金を使ってしまい困っている人や、反対にそれほど収入が多くなくても、たくさんの資産を持っている人もいます。大切なことは「収支」のバランスです。
家計簿アプリなどを使えば毎月の収支が簡単に記録できますので、ぜひチャレンジしてください。
また、余裕があれば月末に支出を確認しましょう。まとめて振り返ると、色々な発見があります。無駄遣いだと感じる支出があれば、翌月からはセーブしましょう。
「結婚の予定がある」「子どもの教育費を準備したい」など、将来大きな出費の予定がある人は、今からコツコツ貯蓄を始めましょう。上のシミュレーションの各イベントの金額から逆算して、毎月の貯蓄額を決めるのも良いですね。
貯蓄の方法は、収入を得た時点で貯蓄する「先取り貯蓄」がおすすめです。手元にお金があると、つい使ってしまうもの。半ば強制的に貯蓄する仕組みを作るのがポイントです。勤務先が「財形貯蓄」を導入している場合は、非課税の優遇が受けられるので利用しましょう。財形貯蓄がない場合は、銀行が提供している「自動積み立て口座」がおすすめです。
しばらく使う予定のないお金がある人は、無理のない範囲で資産運用をはじめるのも良いでしょう。投資は、長期間運用できる人=若い人ほど有利な傾向にあります。
たとえば、毎月3万円ずつ積み立てて、年間の利回りが平均4%だった場合。運用益を元本に加える再投資型の運用をすると、30年後には約2,082万円になります。内訳は、積み立てたお金が約1,080万円で、運用益が約1,000万円。元本と同程度の運用益を得られる計算です。運用で得られた利益が更に運用されることで、利益が増幅していく「複利効果」は、投資期間が長いほど大きくなります。
上記の例では、税金を考慮していませんが(運用益に20.315%の税金がかかります)、実際に非課税で積立投資ができる「つみたてNISA」といった制度があります。「つみたてNISA」は、運用益が非課税で、年間40万円を20年間積み立てることができます。
また、さまざまな公的支援制度も積極的に利用しましょう。ただし、公的な支援は、原則、自分から申請する必要があります。お金が必要なイベントが起こった際は、利用できる制度がないか、まずはインターネットなどで調べてみるのがおすすめです。
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出産のために休業するときは「出産手当金」
産前・産後の休業中、会社から給与が支給されないときに受け取れます。対象となる人は、会社に勤めており、1年以上、勤務先の健康保険に加入している人です。健康保健に加入していれば、正社員、契約社員、アルバイトなど雇用形態は問いません。
支給額は、それぞれの給与をもとにして算出され、おおむね休業前の給与の2/3程度が支給されます。受け取れる期間は、最大で出産日前42日と出産日後56日、あわせて98日間です。
育児のために休業し、会社から給与が支給されないときは「育児休業給付金」が受け取れます。
対象は、雇用保険に加入している人です。もちろん、性別問わず男性も対象です(両親が同時期に受け取ることも可能です)。雇用形態も問いませんが、有期雇用契約の労働者の場合、子どもが1歳6ヵ月になるまで(2歳までの休業の場合は2歳まで)、会社と契約が続く見込みがある人に限られます。
支給額は、育児休業取得開始から180日までは休業前の給与の約67%、181日目以降は約50%が支給されます。期間は、母親の場合は56日後の産後休業終了後から、父親の場合※は出産日から、子どもが1歳になる誕生日の前日まで。ただし、保育所に入れない、離婚、配偶者の死別などの理由があれば、最長2歳の誕生日の前日まで延長できます。
父親、母親の2人が育児休業を取得する場合は、子どもが1歳2ヵ月までの育児休業に対して、それぞれ最長1年間支給されます。
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Money Viva「出産費用はどこまで公的助成があるの?」
病気やケガで4日以上仕事を休み、会社から十分なお給料が支払われないときに「傷病手当金」を受け取ることができます。支給額はお給料の2/3程度(標準報酬日額の2/3)。最長で1年6ヵ月間支給されます。
休業中、会社から給与を受け取っていても傷病手当金よりも少なければ、その差額分が支給されます。
仕事が原因、あるいは仕事中や通勤途中に病気やケガをして休業する場合は、労災保険から「休業補償給付」を受け取ることができます。支給額はお給料の8割程度。治療費も全額が労災保険から支払われます。業務遂行性と起因性を認められる必要がありますが、うつ病などの精神疾患も対象です。
失業給付として「基本手当」が受け取れます。ただし「会社を辞める前の2年間に雇用保険に12ヵ月以上加入していること」「働く意思と能力があること」の条件を満たす必要あり。独立してフリーランスになる、専業主婦・夫になるなどの理由で会社を辞める場合は支給されません。
自分の楽しみのためにお金を使うのはもちろん大切ですが、将来の自分にお金を準備しておくことも大事。お金が全てではありませんが、経済的な余裕はあるにこしたことはありません。
毎月の収支を確認しながら、未来の自分のためにお金の準備をはじめましょう。備えあれば、この先のライフスタイルの選択肢が広がり、充実した日々を送れるはずです。
ファイナンシャルライター 瀧 健
『PRESIDENT Online』などの経済系Webメディアでも多数の執筆協力経験をもつ。ライフプランや資産運用の提案が得意。自らも株式・債券・投資信託などの運用を行っている。社会保障にも詳しい。