夢の金額
約45万円〜/人
- ※出産祝い100,000円/入園・入学時のお祝い 73,000円(保育園または幼稚園・中学校・高校・大学 各10,000円、小学校はランドセル購入)/誕生日祝い 200,000円(毎年10,000円×20年)/成人祝い10,000円/お年玉 68,000円(高校卒業まで)を渡した場合
2019.12.18定年後の夢、How Much?
約45万円〜/人
かわいい孫の成長を見守りたいと思うのが祖父母心。「定年後の暮らしの楽しみ」について聞いたあるアンケートでは、「趣味」に続いて「孫に会うこと」がランクインしていました。
自分の子どもを育てている最中は、家事や仕事に追われ、気持ちにゆとりがなかったかもしれません。しかし、孫となると実際の子育ては父母が行いますし、退職していれば時間の余裕もあり、孫の成長を存分に味わえることでしょう。
そこで、プランAでは、成人までお年玉や誕生日などのイベントごとにお祝いを贈り、孫の成長を見守る場合の予算をシミュレーションしました。
誕生から成人まで、イベントごとに成長を祝った場合
出産祝い | 約100,000円 |
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誕生日祝い | 約200,000円(10,000円 ×20年) |
お年玉 | 約68,000円 幼稚園1,000円×2年 小学校低学年2,000円×3年 小学校高学年4,000円×3年 中学校6,000円×3年 高校10,000円×3年 を渡した場合 |
保育園・幼稚園の入園祝い | 約10,000円 |
小学校の入学祝いにランドセルをプレゼント |
約33,000円
|
中学・高校・大学の入学祝い | 約30,000円(10,000円×3) |
成人祝い | 約10,000円 |
合計 | 約451,000円〜 |
成人式までのイベントを見守るとなると、孫一人あたりに意外とお金がかかることが分かります。お祝いやプレゼントにかけるお金は、ご自身の収入や貯蓄に合わせて、無理のない金額に設定しましょう。
また、先々、孫が増える可能性も考え、1人目にお金をかけ過ぎないようにしたいところです。初孫だけにお金をかけ、その妹や弟、従兄弟に差がついてしまうと不公平を感じる場合もあるでしょう。
お金でなくお祝いの物を贈る場合は、孫本人や両親に相談して、必要かどうか、また好みなどを予め把握しておくとよいでしょう。例えば、ランドセルであれば、色・デザイン・素材について。勉強机であれば、部屋に合ったサイズを確認することがポイントです。
約710万円〜/人
総務省の家計調査※によると、子育て世代である40歳未満の世帯の貯蓄現在高(預金や株式、生命保険などのすべての金融資産の合計)は600万円であるのに対して、ローンや借入などを合計した負債現在高は1,248万円。住宅購入費や教育費などがかさむ子育て世帯の懐事情は厳しいのが現状です。
祖父母から教育費のサポートがあれば助かる世帯も多いのではないでしょうか。
そこで、プランBでは、小学校から大学までの孫の教育費(公立)を全額支援した場合をシミュレーションしました。もちろん、全額負担ではなく、大学の入学金のみを支援するなど一部を支援する方法でも孫への充分な支援になります。あくまでご参考としてご覧ください。
小学校〜大学(文系) 、すべて公立に通う教育費を全額支援した場合
小学校(公立) | 約1,930,000円 |
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中学校(公立) | 約1,430,000円 |
高等学校(公立) | 約1,350,000円 |
大学(公立) | 約2,420,000円 |
合計 | 約7,130,000円 |
小学校〜中学校まで公立、高校〜大学(文系)は私立に通う教育費を全額支援した場合
小学校(公立) | 約1,930,000円 |
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中学校(公立) | 約1,430,000円 |
高等学校(私立) | 約3,120,000円 |
大学(私立) | 約3,890,000円 |
合計 | 約10,370,000円 |
小学校から大学までかかる費用は、およそ713万円から。全て公立の学校に通った場合でも、かなりの金額になりますが、私立を選んだ場合はより高額に。小学校から大学(理系)まで私立に通った場合は、およそ2,150万円かかる計算になります。
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今回シミュレーションした教育費を1度に贈与したい場合は、「教育資金の一括贈与時の非課税制度」を利用すると良いでしょう。
この制度は、祖父母が孫や子に教育目的のお金を一括で贈与する場合、孫(受贈者)1人当たり1,500万円までが非課税となるものです(2021年3月末までの予定)。小学校から大学(理系)まで私立に通った場合の約2,150万円を贈与する場合は、非課税枠をオーバーしてしまうので気をつけてください。
非課税の対象となるのは、幼稚園〜大学の学費はもちろん、大学院、専修学校や各種学校、保育園、学習塾、ピアノ教室のような習い事、スポーツ・文芸活動の指導料、通学定期代、留学の渡航費などが含まれます。
一般社団法人 信託協会が公表しているデータ※によると、2019年3月時点での「教育資金一括贈与の非課税制度」の利用実績は、のべ220,598件、信託財産設定額の累計は15,874兆円とのこと。単純に割って平均を出すと約720万円。公立に通った場合の教育費と同じ程度の金額となりました。
受贈者が30歳に達した時(または死亡した時)に、口座にお金が残っていれば、課税の対象となります。また、受贈者の年収や年齢によって、課税の対象となる費用が出てくる場合もあります。
つまり「教育資金の一括贈与時の非課税制度」を利用する場合は、使い切れる金額を贈与することがポイントです。
一方、都度支払う場合は、原則として贈与税はかかりません。教育費が必要となるタイミングで、その都度支援するのも良いでしょう。
ただし、生活費や教育費に充てる目的に限られているため、貯めておくことはできません。
また、年間110万円以内の贈与であれば、贈与税は発生しません。たとえば、毎年110万円以内の贈与を7年間行えば770万円となり、公立に通った場合の教育費を贈与することも可能です。
どのような方法を選択するにしても、プランA同様、自分の収入・貯蓄と照らし合わせて、無理のない金額で支援を行いましょう。
孫を喜ばせる前に、まず自分の老後資金を確保しておくことは大前提です。納得のいく資産運用方法があれば、貯蓄の一部を投資に回すのも1つの手です。
投資初心者の方は、資産運用をする際は「つみたてNISA」「NISA」「iDeCo」といった少額投資非課税制度がはじめやすいでしょう。運用で得た利益にかかる20.315%の税金が非課税になるなど、メリットがあります。
そして、孫のために非課税で資産運用できる「ジュニアNISA」もあります。両親や祖父母(親権者等)が、子ども・孫(未成年者)のために代理で運用を行う制度で、上と同じく売却益や分配金は非課税になります。1年の非課税枠は年80万円、非課税期間は最長5年間(最大400万円)です。
原則として、名義人(子ども・孫)が18歳になるまで払い出せませんが、最もお金のかかる大学の入学金・授業料などに活用できます。
お得な制度を上手に取り入れながら、無理のない範囲で資産形成をしてみてはいかがでしょう。
そして、「孫を喜ばせる」という夢を叶えるのは、もちろんお金をかけることだけではありません。昔の話をしてあげたり、食事や遊びに出かけたり。一緒に過ごす時間こそが、孫にとっても、そして自分にとってもかけがいのないものになるでしょう。
ファイナンシャルライター 瀧 健
『PRESIDENT Online』などの経済系Webメディアでも多数の執筆協力経験をもつ。ライフプランや資産運用の提案が得意。自らも株式・債券・投資信託などの運用を行っている。社会保障にも詳しい。