iDeCoは掛金を変更できる

ことこさん ことこさん

iDeCoの掛金はいつでも変更できるんですか?

FP FP

iDeCoの掛金は年1回までと決まっています。

iDeCoは途中で掛金を変更することも可能です。ただし、掛金変更は年1回(12月から翌年11月)までと決まっています。

引落し日:1月26日(12月分) 引落し日:12月26日(11月分) 毎年この期間に1回限り掛金額の変更が可能

たとえば、2025年2月に掛金を変更したら、2025年11月までは掛金の変更はできなくなります。2025年12月以降は、また掛金の変更が可能です。

掛金変更のほかに、以下の変更もできます。こちらの変更は、回数の制限はありません。

  • 住所・氏名の変更
  • 種別の変更
  • 勤務先の変更
  • 引落口座の変更
  • 運用商品の種類・配分の変更

次項以降で、iDeCoの掛金変更について詳しく見ていきましょう。

iDeCoの掛金変更方法

ことこさん ことこさん

iDeCoの掛金を変更する場合、まずは何をすればよいですか?

FP FP

まずは掛金額変更届を入手することが一般的です。

では、実際にiDeCoの掛金変更の手続き方法を解説します。

STEP①掛金額変更届を入手する

iDeCoの掛金を変更したい場合、まずは加入先の金融機関などから「加入者掛金額変更届」を入手します。入手の方法は金融機関によって異なりますが、WEBでダウンロードできたり電話で取り寄せたりすることができます。
三井住友銀行では加入者専用サイトおよびコールセンターでお問合せ頂けます。

▼三井住友銀行でiDeCoをご加入頂いている方へ
三井住友銀行のiDeCo(イデコ)ご加入後の各種手続 : 三井住友銀行

ここで注意したいのは、「加入者掛金額変更届」は加入者区分によって種類が違うことです。年金区分に応じて、第1号被保険者用・第2号被保険者用・第3号被保険者用、任意加入被保険者用の4種類があります。

自分の加入区分に応じた書類を入手するように注意しましょう。

なお、iDeCoは毎月定額の掛金を拠出するだけでなく、例えば「偶数月だけ」「6月と12月だけ」など、拠出する月を指定することもできます。掛金額と拠出タイミングをどちらとも変更する場合は、「加入者月別掛金額登録・変更届」を準備しましょう。

STEP②掛金額変更届に記入し提出する

必要な「加入者掛金額変更届」を入手したら、見本を参考に記入していきます。iDeCo公式サイトの 加入者の方へ では、被保険者の区分に応じた見本が提示されていますので、参考にして書類を完成させましょう。

完成させた書類は、指定された送付先に提出します。提出時期によって、掛金変更の時期も変わるため、早めの手続きがおすすめです。

STEP③掛金額が変更される

提出した書類の確認が終わると、iDeCoの掛金額が変更されます。通常、毎月の掛金は登録した銀行口座からの振替によって翌月26日に納付します。ただし、26日が休業日の場合は翌営業日が振替日です。

各金融機関によって、掛金変更のタイミングは異なります。例えば、毎月14日までに「加入者掛金額変更届」を受領した場合、翌月分から変更される金融機関の場合で考えてみましょう。

この場合、4月14日までに金融機関が変更届を受領すると、翌月の5月26日の振替から掛金の変更が適用されます。

変更届の提出のタイミングによっては、掛金変更が翌々月になってしまうケースもあるため、早めに書類を提出するようにしましょう。

iDeCoの掛金変更には3タイプある

iDeCoの掛金の変更方法は3つのタイプがあります。

掛金額を減らす

iDeCoの掛金は最低5,000円からという決まりがありますが、1,000円単位で設定できます。そのため、例えば、これまで月額1万円拠出していたものを7,000円に減らすということが可能です。

支出が増えたときなどは、掛金額を減らすことで家計の一時的な負担軽減につながります。ただし、将来の受取額や節税効果も小さくなる点には注意が必要です。

掛金額を増やす

加入者区分ごとに決められている拠出限度額の範囲内で、掛金額を増やすことが可能です。例えば、企業年金制度がある会社にお勤めの方が、2024年12月の掛金上限額引き上げを機に、これまでの上限額である1万2,000円から新たな上限額である2万円に増やすといったケースが挙げられます。

掛金額を増やすとその分所得控除額が増えるため、節税効果を高められます。また、非課税で運用する資産が増える分、将来の資産形成もより順調に進めやすくなります。一方で、一時的な手取り収入が減るため、家計に無理のかからない程度に設定することが大切です。

月単位から年単位に変更する

通常は毎月掛金を拠出しますが、希望すれば年単位でまとめて拠出する「年単位拠出」に変更できます。これにより、ボーナス時期にまとめて拠出するなど、柔軟な資金管理が可能です。

ただし、年単位拠出では、拠出を忘れてしまうとその年の所得控除が受けられなくなったり、所得控除額が減ったりするデメリットもあるため、注意が必要です。

iDeCoの掛金変更する前に注意したいこと

ことこさん ことこさん

iDeCoの掛金変更をする前に気を付けるべきポイントはありますか?

FP FP

iDeCoの特徴を活かしきれない可能性などがあります。

iDeCoの掛金は変更可能ですが、一方で注意したいポイントもいくつかあります。

掛金には上限がある

iDeCoの掛金は自由に設定できますが、拠出額には上限があることを忘れないようにしましょう。掛金の上限は、加入資格によって異なります。

加入資格 掛金の上限(月額)
第1号被保険者・任意加入被保険者 6万8,000円
第2号被保険者 企業年金制度のない会社員 2万3,000円
  • 企業型DCのみに加入している会社員
  • DBのみに加入している会社員
  • DBと企業型DCに加入している会社員
  • 公務員
2万円
(企業型DC、DB等の掛金との合計で月額5万5,000円が上限)
第3号被保険者 2万3,000円

上記表の上限を超えて、掛金を変更することはできません。

郵送での対応になる

iDeCoの掛金変更の手続きは、郵送での対応となります。WEB上や電話で手続きを完了させることはできません。

必要書類を手元に用意し、記入後金融機関へ送る必要があります。一般的に、書類を送り返す際の返信用封筒が同封されているため、郵送代はかかりません。ただし、返信用封筒をなくしてしまうと封筒や切手を用意しなくてはならないため注意しましょう。

掛金の変更は年1回のみ

掛金の変更ができるのは、年1回のみです。1月から12月ではなく、12月から翌年11月までの1年間である点に注意が必要です。

例えば、2025年5月に掛金を変更すると、12月まで次回の変更を待たなくてはいけません。掛金を変更する前に、しっかり考えてから手続きしましょう。

反映は申請から約1ヵ月半〜2ヵ月半かかる

・お手続きの完了までに1ヵ月半〜2ヵ月半程度かかります。 ・「加入者月別掛金額登録・変更届」がある場合は国民年金基金連合会の登録期間が2ヵ月半以上かかる場合がございます。

掛金額変更を申請すると、金融機関による申請書類の処理や国民年金基金連合会での審査・事務手続きが行われます。そのため、実際に新しい掛金額が適用(変更後の金額での引落し)されるまでには、おおよそ1ヵ月半〜2ヵ月半程度かかります。

メリットを活かしきれなくなる可能性も

iDeCoは分散投資・長期投資・継続投資が特徴です。長期的に運用することで、複利効果やドルコスト平均法といった効果を活かした投資が可能となります。

しかし、頻繁にiDeCoの掛金を変更すると上記の効果や特徴を活かしきれなくなってしまいます。iDeCoの掛金変更を検討する際は、メリット・デメリットを十分考慮することが大切です。

一時的な相場の流れに一喜一憂しない

前述のとおり、iDeCoは長期投資を前提とした制度です。一時的な相場の流れに一喜一憂し、掛金を変更すると、長期投資の効果を十分に得られなくなってしまいます。

相場が気になっても、一時的な上がり下がりはあまり気にせず、長期的な視点を持ち投資していくことが大切です。

iDeCoの掛金変更するタイミングはいつ?

ことこさん ことこさん

iDeCoの掛金変更はいつ検討するとよいのでしょうか?

FP FP

ライフステージや収入の変化があったときに掛金を見直すとよいでしょう。

iDeCoの掛金を変更するタイミングとして、いつが適しているのでしょうか。掛金を見直したいタイミングとあわせて解説します。

ライフステージに変化があったとき

結婚や出産、子どもの進学、マイホームの購入など、ライフステージに変化があったときもiDeCoの掛金変更のタイミングです。

「子どもが独立して手が離れた」あるいは「支出が多くなり掛金の支払いがきつい」といったタイミングで、掛金を増額・減額して調整します。

収入の変化があったとき

ライフステージの変化にも当てはまりますが、転職などで収入の変化があったときもiDeCoの掛金を見直しましょう。

転職して収入が増えたのなら掛金を増やして将来に備え、収入が減ってしまったら負担を減らすために掛金も減額を検討してもよいでしょう。

iDeCoの掛金拠出は停止できる?

ことこさん ことこさん

iDeCoで掛金の支払いが厳しい場合、掛金変更以外で対処法はないのでしょうか……。

FP FP

掛金を停止する方法がありますが、60歳までは引き出せないので注意しましょう。

掛金拠出の一時停止は可能

iDeCoの掛金を支払うのが厳しい場合、一時的に支払いを停止することが可能です。

もしiDeCoの掛金拠出を停止したい場合は、加入先の金融機関などから「加入者資格喪失届」を入手し、必要事項を記入のうえ提出する必要があります。この届出が受理されると、それまで積み立てた掛金はそのまま運用が続けられ、新たな掛金の拠出は不要になります。

しかし、拠出を停止しても、これまで積み立てた掛金は原則60歳まで引き出すことはできません。掛金拠出を停止すると、「加入者」ではなく「運用指図者」として、これまで積み立てた掛金の運用を続けることになります。この間も、引き続き毎月の口座管理手数料は必要で、個人別管理資産から徴収される点に注意しましょう。

なお、iDeCoの掛金拠出を一時停止した場合でも、拠出を再開することは可能です。iDeCoの再開には、あらためて加入申し込みの手続きが必要となります。

中途解約は原則できない

iDeCoは老後資金形成のための制度であり、原則として60歳になるまで中途解約はできません。ただし、加入者の死亡や高度障害になった場合など、法律で定められた特定のやむを得ない理由がある場合限り、例外的に60歳になる前に解約が認められるケースもあります。

【関連記事】
iDeCo(イデコ)は途中で解約できない? 解約できる3ケースを解説! 減額か支払い停止は?

自動的に停止させられる場合もある

実は、iDeCoの掛金を停止したいという意志がなくても、自動的に停止されてしまうこともあります。例えば、以下のケースです。

  • 国民年金の保険料に未納が判明した
  • 加入資格の状況が変化したのに手続きをしなかった

上記に該当する場合、iDeCoの掛金の還付または一時停止となる可能性があります。

まとめ

iDeCoの掛金は、12月から翌年11月までの1年間で1回のみ変更が可能です。掛金額の変更は、減額、増額、そして毎月拠出から年単位拠出に変更する3つのタイプがあります。ただし、iDeCoの最低拠出額は月額5,000円(1,000円単位)であり、被保険者区分ごとに拠出限度額がある点に注意しましょう。

また、iDeCoの特徴である長期投資や分散投資は、掛金の変更によって十分に活かせなくなる可能性があります。掛金変更の際は、よく考えて手続きを進めましょう。

もし掛金の支払いが一時的に難しくなったら、掛金拠出の一時停止も可能です。積み立てた資産は原則60歳まで引き出せませんが、新たな掛金の支払いは止められます。

ただし、掛金拠出を停止すると「運用指図者」となり、それまで積み立てた資産を運用し続けることになりますが、口座管理手数料が引き続き発生します。この手数料は個人別管理資産から毎月徴収されるため、運用の状況によっては資産減少につながる可能性もある点には注意が必要です。再度掛金を拠出する余裕が生まれたら、拠出を再開して老後生活に備えましょう。

iDeCoの掛金変更は、この記事で紹介した注意点をふまえて、必要なタイミングで行 いましょう。

  • 2025年9月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

續恵美子

ファイナンシャルプランナー(CFP®、ファイナンシャル・プランニング技能士)。
生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。
渡仏後は2年間の自己投資期間を取り、地元の大学で経営学修士号を取得。地元企業で約7年半の会社員生活を送ったあと、フリーランスとして念願のファイナンシャルプランナーに。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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