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わかると差が出る「定期預金の特徴」
2018.3.14 資産運用キホンのキ
iDeCoを知るには、まず年金のしくみを理解しておくことが必要です。国民年金にしろ厚生年金にしろ、年金は保険料という形で加入者からお金を預かり、それを各種投資に振り分けて運用益を上げ、給付対象者に支払うというしくみになっています。
iDeCoを扱う金融機関(運営管理機関)には、iDeCo用に多くの金融商品が用意されています。その中からいくつかの商品を選び、どの商品をどれだけ購入するか、その配分を決めていきます。商品の内容は運営管理機関で説明してくれます。
「60歳以上且つiDeCoの加入期間が10年以上」の条件を満たすと、iDeCo年金を受け取ることができます。おもに3つの受取方法を選択できます。
受給権が発生する年齢(60歳)になったら、70歳になるまでに一時金として一括して受け取る。
受給権が発生する年齢(60歳)になったら、5年以上20年以下の期間内で、年金として受け取る。
一部を一時金として、残りを年金として受け取る。
(3)については、運営管理機関によっては扱いのない場合もあります。
iDeCoで購入できる金融商品には、さまざまな種類があります。中心となるのは、株式(国内・海外)と債券(国内・海外)を扱うファンドです。安全で手堅い商品で固めるか、少々のリスクを覚悟で高利回りを狙うのか。方針をきちんと立てて、セレクトすることが大切です。
株式を買うということは、企業への出資となります。企業の収益が上がれば、大きく値上がりすることもありますが、その逆も起こります。株式は常に市場で売買されるため変動が激しく、ハイリスク・ハイリターンになる傾向があります。
債券とは、貸したお金への借用書のようなものです。債券は、購入時に金利が確定していることがほとんどです。株式などよりリスクを低く抑えたいなら、債券を多めの配分にすると良いでしょう。
iDeCoは、まさに「自分で作る年金」といえますが、メリットもデメリットもあります。しっかりと理解しておきましょう。
老後にどれほどのお金が必要になるかは、人それぞれ違います。iDeCoでは、毎月の掛金に加えて金融商品を自由に組み合わせることができますから、自分に合った資産形成が期待できます。
一般的な定期預金や投資信託では、利子や運用益が課税対象となります。ですが、iDeCoの運用益は非課税ですので、そのまま利益として受け取ることができます。さらに、掛金が全額所得控除となることから、働きながら資産形成をする方の「所得税」と「住民税」が軽減されます。一時金あるいは年金として受け取る際にも「退職所得控除」「公的年金等控除」の対象になります。
iDeCoは、原則として定期預金のように途中解約することができず、早くても60歳にならなければ受け取ることができません。資産の将来設計をきちんと行い、その上で始めることが大切です。
購入する金融商品とその値動きによっては損を出すこともあり、それが続くと将来受け取れる年金が少なくなってしまいます。あくまで自己責任での投資ですので、購入した商品の動きには注意しておくようにしましょう。
iDeCoの口座を開設するには2,777円かかります(一部、金融機関分の事務手数料が上乗せされる場合あり)。さらに、毎月の手数料がかかります。手数料は金融機関によって違い、月々数百円ですが、10年20年と重なればけっこうな額になります。事前にしっかり確認しておきましょう。
国民年金に上乗せする年金として、自営業者らが加入できる国民年金基金があります。役割としてiDeCoと似ていますが、この2つには多くの違いがあります。中でも一番大きな違いは「給付額」と「給付方法」です。
iDeCoでは、運用実績によって最終的に受け取れる金額が上下します。運用成績が良ければ額は増えますし、悪ければ減ってしまいます。
ですが、国民年金基金は確定給付年金で、受け取れる額は予め決まっています。
iDeCoは「60歳以上、加入期間10年以上」の条件を満たしたのち、5年以上20年以内に受け取る有期年金です。
一方の国民年金基金は、基本的に終身年金として給付されますので、受給資格を満たせば一生涯受け取ることができます。
余裕のある老後生活のためには、公的年金だけでは十分とはいえないでしょう。iDeCoの活用を検討する上で、メリット・デメリットをしっかりと理解することが大切になります。