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個人型確定拠出年金(iDeCo)の年末調整・確定申告 (税制優遇、所得控除)
2018.4.11 資産運用キホンのキ
個人型確定拠出年金「iDeCo」は、個人で加入できる年金のことで、基本的に20歳以上60歳未満であれば加入できます。毎月、一定の掛金を決めて、用意された金融商品で運用しながら、原則60歳以降に年金を受け取るしくみです。2017年から法律が改正され、ほとんどの会社員や公務員、自営業者、専業主婦も加入できるようになりました。
公的年金だけでは老後が不安という人が増えている今、注目されている制度です。
iDeCoの加入者が民間企業に就職・転職する場合、就職・転職先が「企業型確定拠出年金」を実施しているかどうかで手続きが異なります。企業型確定拠出年金とは、その名のとおり企業が拠出する年金です。企業が掛金を払って、掛け金を運用することで、会社員が退職したときに年金として受け取ることができる制度になります。
iDeCo加入者が就職・転職時にどのような対応をしなければならないのか、それぞれのケースについて確認していきましょう。
就職・転職先が企業型確定拠出年金を導入していない場合は、iDeCoをそのまま継続できます。転職先にiDeCo加入者であることを伝えて、必要書類を提出しましょう。
iDeCo加入者の就職・転職先が企業型確定拠出年金を導入している場合は、多くの場合iDeCoから企業型確定拠出年金に資産を移す必要があります。
ここで疑問が浮かぶと思います。iDeCoは20歳以上60歳未満であれば、原則としてだれでも加入できる制度です。それなのに、就職・転職先に企業型確定拠出年金が導入されていたらiDeCoを継続できないのです。これは、企業型確定拠出年金の制度上、全社員に適用されるものであり、入社したら自動的に加入することになるからです。併用を許可している企業もありますが、それほど多くないのが現状です。
また、iDeCoから企業型確定拠出金への移行にはデメリットが少ないといえます。
iDeCoの資産はそのまま移せますし、その後は基本的に、会社が掛金を負担してくれることになります。ただし、運用手段として選べる商品のラインナップが異なる場合があります。
就職・転職先にiDeCo加入者であることを伝えて、企業型確定拠出年金に加入するための必要書類を提出しましょう。
企業型確定拠出年金の加入者で、同年金のない民間企業に転職したとき、企業型の年金をiDeCoに移すことができます。その際は、企業型確定拠出年金の喪失手続きを行い、企業型確定拠出年金に積み立ててきた資産をiDeCoに移します。
6ヵ月以内に手続きを行なわない場合は、「自動移換」されることになります。自動移換とは、これまで積み立てられた資産が売却されて現金化され、さらに手数料が引かれてから、その資産は「国民年金基金連合会」に移されます。自動移換のデメリット・注意事項を確認しておきましょう。
自動移換には、さまざまな手数料がかかります。国民年金基金連合会に現金が移された時点で、手数料4,269円が引かれることになります。また、国民年金基金連合会に現金がある間は、月51円の手数料がかかります。そして、もう一度iDeCoあるいは企業型確定拠出年金に戻す際にも手数料が発生します。
資産が現金化されて国民年金基金連合会に移ってしまうので、定期預金や投資信託などの一切の運用ができなくなります。
国民年金基金連合会に自動移換されているあいだは、確定拠出年金の加入期間にカウントされません。確定拠出金は原則として10年以上加入していないと60歳で受け取ることができません。加入期間が10年未満で転職して、自動移換となってしまうと、受給開始年齢が遅くなる可能性があります。
iDeCoや企業型確定拠出年金は、転職した企業の制度や規約によって、さまざまな手続きが発生します。
適切な手続きを行い、トラブルが起こらないようにしましょう。