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2018.5.9 資産運用キホンのキ
外貨預金でよく耳にする「TTS」と「TTB」。これらは外貨預金をはじめ、外貨建ての金融商品を扱うときに知っておくべき用語となります。
今回は、少々まぎらわしいこの2つの用語について解説していきます。
TTSとは「Telegraphic Transfer Selling rate」の略で、銀行が顧客に外貨を販売するときの「売りレート」を表します。つまり、日本円で外貨を買うときに適用される、為替手数料を含めた交換レートのことです。
例えば、米ドルの基準値が「1ドル=100円」で、為替手数料が「1ドル=1円」の場合を考えてみましょう。TTSは、「基準値プラス為替手数料」の101円。日本円を100ドルに交換するなら、10,100円の支払いが必要になります。
TTBは「Telegraphic Transfer Buying rate」の略で、銀行が顧客から外貨を買い取るときの「買いレート」を表します。つまり、米ドルを日本円に換えたいときに、適用される為替手数料を含めた交換レートのことです。
例えば、米ドルの基準値が「1ドル=100円」で、為替手数料が「1ドル=1円」の場合、TTBは99円になります。また、同条件で100ドルを日本円に換えると、9,900円になります。
レートの基準値となるのが「TTM」です。TTMとは「Telegraphic Transfer Middle rate」の略で、金融用語では「仲値」と呼ばれます。これは、ある時点での円と外貨の交換レートの基準となる数値で、TTSとTTBの中間値になります。
ニュースでよく耳にする「1ドル○○○円」というのは、日本円と米ドルの為替レートですが、TTMはこの為替レートを参考にして、各金融機関が独自に設定しています。TTMは、毎営業日の午前10時頃に発表され、原則としてリアルタイムの為替レートと連動せず、その日1日適用されます。
ただし、為替レートが大きく動いたときには、TTMも適宜見直され、修正されるしくみになっています。為替レートは、常に小刻みな上下動を繰り返しており、大きく変動することもあります。例えば、午前中に米ドルのTTMを100円に設定したものの、その後に為替相場が大きく動き、1ドル=103円になったとします。この状態でTTMが100円のままでは、実際よりも安い価格で外貨を売買することになってしまうため、TTMが見直されることがあるのです。
外貨建ての金融商品を扱うときには、常にTTSとTTBを意識しておくことが大切です。意識しないでいると、知らないうちに損をしてしまうことにもなりかねません。
例えば、「1ドル100円、為替手数料1円」の場合、TTSは101円、TTBは99円となります。その差は、1ドルあたり2円です。このときに米ドルを購入し、その後再び日本円に換えたとすると、1ドルあたり2円の損失が出る計算です。つまり、ドル購入時よりも2円以上円安にならないと、損失が出てしまうというわけです。
外貨預金では、外貨を購入して預け入れた時点でのTTSが基準となります。このTTSよりも、引き出すときのTTBが高ければ、日本円での利益(為替差益)が出て、プラス運用になります。逆に低ければ、マイナス運用になり、為替差損と呼ばれる損を出してしまいます。
外貨預金の場合、頻繁な取引を行うわけではなく、ある程度の期間にわたって資金を預け、じっくり運用していくスタイルがおすすめです。その場合、刻々と変化する為替レートを気にしすぎることはありません。
売買する際は、TTSとTTBの差に注意しましょう。