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わかると差が出る「流動性リスクとは?」
2018.5.23 資産運用キホンのキ
カントリーリスクとは、投資している国や地域の金融危機や政情不安などが起こることで、価格が大きく変動するリスクのことを指します。
カントリーリスクが発生するのは、その国における急激なインフレや通貨・株価などの急落、国債の債務不履行(デフォルト)といった経済情勢の変化など、さまざまな要因が挙げられます。また、政権交代などの政治情勢の変化も影響することがありますし、紛争や内乱、テロが起こった場合も、カントリーリスクにつながります。さらに、地震や津波、噴火といった大規模災害などの発生がカントリーリスクと判断され、その国に投資していた資金が引き上げられることもあります。
カントリーリスクは、すべての国に存在しますが、一般的に中南米やアフリカ、アジア、中東の新興国において、カントリーリスクが起こりやすいといわれます。確かに経済が不安定だったり、政治情勢が不安定だったりする国の場合は、注意が必要でしょう。
ただし、予測できない事態はどの国にも起こりえます。経済危機に陥った国は、これまでいくつか例があります。2008年9月に米リーマン・ブラザーズの経営破綻が引き金となった金融危機「リーマンショック」も、さまざまな国に大きな影響を与えました。自然災害も予測は難く、どの国が安全だとはいえないのです。
格付会社や調査会社が、カントリーリスク調査を行っています。調査項目としては、財政状況や国民所得、外貨準備高、対外債務、国際収支といった金融情報をはじめ、政治や社会の安定度などを考慮し、総合的にカントリーリスクがあるかどうかを判断します。
格付会社は、国や企業の信用リスクを評価して、各社それぞれアルファベットや数字で示します。
例えば、大手格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)は、「AAA」が最上位となり、「AA」「A」といったように続き、最下位の「D」まで細かくランク付けされます。同じく、大手格付け会社であるムーディーズでは、「Aaa」「Aa1」「Aa2」といったように続き、最下位が「C」となります。
その数値や各国のカントリーリスクの危険度は公表されており、投資をする際の判断材料として利用可能です。
外貨預金とは、日本円を海外の国の通貨へと両替して預金するというもので、日本円で銀行預金をするよりも金利が高い傾向があります。
ただし、その国の政治情勢や経済情勢が、直接、その国の通貨の価値に反映されますので、カントリーリスクが生じます。
投資信託は、国内外の株式や債券、不動産などを組み合わせた金融商品です。投資信託にはさまざまな種類が存在しますが、海外の国債を組み入れた投資信託や、海外の株式を組み入れた投資信託には、カントリーリスクが生じます。
カントリーリスクは、国家単位のことなので、その影響度は計り知れません。
カントリーリスクは予測が難しいものの、投資を行う際は、国際情勢にも目を配るようにしましょう。