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2018.4.25 くらしのマネー辞典
賃貸がトクか、はたまた持ち家がトクかは、永遠のテーマ...。トータルコストはもちろん、それ以外のメリット&デメリットに目を向けることも大切です。上手に自分らしい選択をするヒントを学んでいきましょう。
仮に、月10万円の賃貸(1K/都内)に30歳から90歳までの60年間住んだら、単純計算で合計7,200万円です(更新料や敷金・礼金等は含めない) 。
では、購入した場合で考えてみましょう。同じく都内で毎月の住宅ローン返済額10万円程度になるように、賃貸物件に似た条件の分譲マンションを3,800万円(頭金500万円、住宅ローン35年返済、全期間固定金利1.5%で、借入額3,300万円)で購入した場合、利息を含むトータル返済額は約4,200万円。そこに諸経費や60年分の固定資産税等、管理費や修繕積立、リフォーム代などがかかってくるため、総額で見ると7,000万円程度になることが考えられます。
住宅ローンの返済期間、金利、ボーナス払いの有無などの借り入れ条件によって金額は変わってきますので、上記はあくまでも一例ですが、賃貸の場合も、購入した場合もトータルコストでみると、ケースバイケースでどちらがおトクと言い切れないことがわかります。
賃貸と持ち家を検討するに当たっては、コスト以外のメリット、デメリットを検討しておくのが重要です。ここでは、それぞれの代表的なメリット、デメリットを見てみましょう。
賃貸のメリットは、大きく二つあります。まずは『流動性』。転勤や、住んでいる土地や物件などに飽きた場合に転居しようと思えばいつでもできる点です。
もうひとつは『費用面』。住宅ローン(=借金)を抱えなくてすむうえに、初期費用があまりかかりません。敷金・礼金と引越し代程度を準備すれば、ひとまず住むことができますよね。
デメリットは、老後に年金生活になっても、ずっと家賃を払い続ける必要がある点。また、どれだけ長く住んでも自分の資産にならない、内装などに自由がききにくいという面もあります。さらに高齢になってからの転居は受入が厳しい可能性もありますね。
一方、持ち家には、賃貸と比べて間取りが広く、作りがしっかりとしている物件が多いというメリットがあります。また、ローン完済後、将来的には資産になり、賃貸に出すことで家賃収入を得られる可能性もありますね。
そして、住宅ローンを組む際に加入する『団体信用生命保険』があるため、借主に万一のことがあった場合に、遺族は住宅費の負担軽減ができる点もメリットのひとつです。
デメリットとしては、やはり大きな金額の借金を抱えることでしょうか。また、転勤やご近所トラブルがあっても、転居しづらいという面もあります。さらに、売却したくても、買い手がすぐにつくかどうかわかりません。『流動性』が低く、購入時よりも価格が下がる可能性もあります。修繕費などもかかりますね。
私も、周りの友人から相談されることが多い今回のテーマ。「こっちがおトク!」 「こっちが正しい!」という結論はありません。メリット&デメリットをふまえ、ご自身やご家族がどうしたいかを大切にしてほしいと思います。
今どんな暮らしをしたいか。そして、将来的には、家族は何人で、どんな地域で、どんな暮らしがしたいのか。老後はご自身やパートナーの生まれ故郷で暮らしたいというご夫婦の場合は、もしかしたら購入はしないでいた方がベターかもしれません。
ちなみに私の例をあげると、現在は分譲タイプの賃貸マンションに住んでおり、今後も自宅を購入する予定はありません(投資用は検討しています!)。
賃貸 | 持ち家 | |
---|---|---|
生涯コスト | ケースバイケース | |
初期コスト | 〇 | ▲ |
流動性(引越しやすさ) | 〇 | ▲ |
資産性 | × | 〇 |
内装や設備の充実 | ▲ | 〇(有利なケースが多い) |
万一の保障※ | × | 〇 |
水野 綾香(みずの あやか)
「女性のためのマネーセミナー講師」としてこれまで全国で6,000人以上の方に講演。むずかしく思われがちなお金の情報を、楽しくわかりやすく伝えることがモットー。FPとして、各メディアでのマネーコラム執筆も多数。ライフミッションは、精神・経済・キャリアにおいて自立していて、自分の人生を自分で選択できる女性をもっともっと増やすこと。