パート収入の「4つの壁」とは?
- 出典:東京都産業労働局「平成29年度 パートタイマーに関する実態調査」
パートタイムで働く方がいるご家庭では、税金や扶養の制度が働き方に影響を与えていることも多いと思います。配偶者だけでなく、アルバイトをしているお子さまも同様です。
たとえば、ご夫婦で、夫が会社員で妻がパートで働いている場合、4つの壁があるとされています。
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パートの 年間収入 |
@ 住民税 | A 所得税 | B 社会保険料(*1) | C 配偶者控除・ 配偶者特別控除 (*2) |
---|---|---|---|---|
100万円以下 | ○支払わない | ○支払わない | ○支払わない | ○配偶者控除 適用(定額) |
100万円超∼ 103万円以下 |
×支払う | |||
103万円超∼ 130万円未満 |
×支払う | ○配偶者特別 控除適用(定額) |
||
130万円∼ 150万円以下 |
×支払う | |||
150万円超∼ 201万6,000円未満 |
△配偶者特別 控除適用 (段階的に減額) |
|||
201万6,000円 ∼ | ×控除適用なし |
- *1:従業員501名以上(2022年からは101人以上)の企業のパートの場合は、年間収入106万円以上で支払う。
- *2:納税者である夫の収入に応じて金額は変動する。
1つ目は、住民税の壁。妻の年収が100万円を超えると、所得に応じて支払う必要があります。
2つ目は、所得税の壁。こちらは妻の年収が103万円を超えると、支払う必要があります。
3つ目は、社会保険料の壁。こちらは妻の年収が130万円(従業員501人以上※の企業で働くパートタイム労働者の場合は106万円)以上になると、夫の社会保険の扶養から外れ、妻自身で加入する必要が出てくるため、負担が増えます。
- ※2022年10月以降は101人以上
4つ目が、2018年に新しくなった配偶者控除・配偶者特別控除の壁です。これは、妻の所得が一定額を超えると、最大38万円の配偶者控除・配偶者特別控除が適用されなくなり、夫の納税額が増えるというものです。
ただし、控除額は夫の合計所得によって段階的に減少し、900万円以下の場合は38万円、900万円超950万円以下は26万円、950万円超1,000万円以下は13万円、1,000万超では0円となります。
この4つ目の壁の「配偶者控除・配偶者特別控除」は、上の調査でも、就業調整をされている方の約2割が意識されているようです。2018年の改正は、昨今の人口減少により今後働き手が減っていくことなどを受けて実施されたものですが、具体的にはどのように変更されたのでしょうか?
次から、夫が会社員で妻がパートで働いているケースに沿って説明していきます。
2020年の給与所得控除の改正に伴い、配偶者控除・配偶者特別控除が適用となる「給与年収」も変更になっていますので、確認しておきましょう。