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2022.11.9 くらしのマネー辞典
応援したい自治体に寄附を行った場合、寄附額のうち2,000円を超える部分について所得税・住民税の控除が受けられる「ふるさと納税」。返礼品が受け取れる場合も多いというメリットもあります。
そこで今回は、ふるさと納税の仕組みや、控除を受けられる寄附の上限額など、ふるさと納税を上手に活用するポイントをご紹介します。
2022年の控除対象となるのは、受領証明書に記載されている受領日(入金日)が2022年12月31日までの寄附です。控除の上限額などに注意しつつ、早めに申し込みましょう。
ふるさと納税は「納税」という名前がついていますが、実際は、各自治体への「寄附」のことを指します。ふるさとはもちろん、応援したい地方自治体への寄附を通して、活性化支援を目的としてつくられた仕組みです。
自治体に寄附をすると、寄附金のうち自己負担額の2,000円を引いた金額について、所得税の還付・住民税の控除が受けられる「寄附金控除」という制度が利用できます※1。
1月〜12月に納めた所得税が還付されたり、翌年の住民税が控除されたりすることで、税金が安くなるというイメージです。
また、多くの場合、ふるさと納税をすると、寄附先の自治体から返礼品が贈られる場合が多いという点も人気の理由。ふるさと納税をする人は増え続けており、2021年度には約4,447万件の利用がありました。
返礼品には、各地の特産品や地産品、旅館の宿泊券などさまざまなものがあります。つまり、寄付金額が自分の控除額の上限額を超えなければ、実質2,000円でこれらの返礼品をもらえることになります。
注意しておきたいのは、ふるさと納税で控除を受けられる寄附の上限額が、年収や扶養する人数などによって異なること。自分がいくらまで控除されるか、事前に確認しておきましょう。
これまでふるさと納税を利用したことがある方も、今年の年収で上限額を再確認しておきましょう。
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ふるさと納税で控除される金額の目安は、以下の通りです。家族に専業主婦・主夫や高校生の子どもなど、扶養している人がいる場合は、すでに受けている別の控除があるため、寄附金控除の上限額が少なくなります。
たとえば、ふるさと納税をした本人の給与収入が500万円で、家族構成が共働きの夫婦・高校生の子どもが1人という世帯の場合、上限額は49,000円。ここから2,000円を除いた額が控除されます。
ただし、この「給与収入」は、今年1年分の数字であることに注意が必要です。たとえば、昨年の年収が500万円だった人(共働きの夫婦・高校生の子どもが1人)がその数字をもとに、ふるさと納税の上限額目安を見ると49,000円となります。その上限を想定して寄附をし、仮に結果的に年収が400万円に減ってしまった場合、上限目安は33,000円まで下がります。差額の16,000円分に関しては、所得税の還付や、来年度の住民税の控除が受けられないことになります。
総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」では、ふるさと納税額の目安一覧と、収入と家族構成・寄附金額を入力して、寄附金控除額をシミュレーションできる表計算のシートが掲載されています。収入減のリスクがある人は、想定される減少幅に応じた上限目安を試算しておくと良いでしょう。
もちろん、寄附金控除の上限額を超えて寄附することも可能です。自分なりの地域貢献を考えても良いかもしれません。
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ふるさと納税を利用する際、寄附したい自治体が決まっていれば、その自治体のWebサイトにアクセスし、プロジェクトや返礼品を選ぶとスムーズです。
各自治体の返礼品を調べて比較したい場合は、民間のふるさと納税のポータルサイトが便利。返礼品をジャンルや金額ごとに検索でき、そのまま申し込むことも可能です。
寄附先が決まれば、申し込みをして寄附金を送金します。決済方法は自治体によって異なりますが、銀行振込やクレジットカード、電子マネーなどで支払うことができます。
寄附金の控除を受けるには、会社員の方は、「確定申告」か「ワンストップ特例」のいずれかを行う必要があります。控除される金額は変わりませんので、どちらを選んでもOKです。
確定申告の場合は、確定申告書で寄附金額を申請することで、所得税の還付と住民税の軽減を組み合わせで減税されます。
寄附ごとに各自治体が発行する「寄附金の受領書」を用意する、あるいは国税庁が指定した特定のふるさと納税のサイト※2から寄附を行うと、その事業所が発行する「寄附金控除に関する証明書」だけで手続きが可能です(複数の自治体に寄附をした場合でも、1枚の証明書の添付で手続きできます)。
一方、ワンストップ特例の場合は、事前に申請書を提出することで、確定申告が不要に。控除は住民税の軽減のみとなります。
「ワンストップ特例」は手続きが少ないため便利ですが、以下の3つの条件を満たす必要があります。
@他に確定申告をする必要がないこと。医療費控除や住宅ローン控除(1年目のみ)をする会社員の人は利用できない。また、確定申告をすると、ワンストップ特例を選んだ寄附も無効になるため、すべてを申請する必要がある。
A1年間に寄附した自治体数が5ヵ所以下であること(同じ自治体に2回寄附しても、1ヵ所とカウントする)。
B寄附した自治体に「ワンストップ特例制度の申請書」を提出すること。この申請書は自治体から送られてくるもので、1ヵ所でも送り忘れると全自治体分の確定申告が必要となるので注意が必要。
確定申告をする場合は、返礼品とは別に自治体から送られる「寄附金受領証名書」が必要となります。届いたら保管しておきましょう。
ふるさと納税を利用するときは、控除額を調べるために改めて収入を確認した人も多いのではないでしょうか。もし収入が減っていた場合は、支出を見直す良い機会かもしれません。
支出の見直しは、いわゆる「固定費」から行いましょう。「通信費」と「水道光熱費」は、安価な料金プランが登場しています。最近見直していない人は、比較サイトなどでチェックしてみましょう。
民間の保険に加入している人は、必要以上の補償をかけていないか考え直すのも良いかもしれません。保険料は、年払いにすると割引を受けられる場合もあります。
いくら使ったか把握しづらいのが、旅費、服飾費、趣味などにかかるお金です。こうした支出は、あらかじめ「予算」を決める方法がおすすめ。まず予算を決めてメモしておき、予定が終わったら、実際に使った金額も記入します。その際、予算をオーバーしてもOK。それを認識することが大切で、「使いすぎたから、今月は買い物を控えよう」と大きな視点から支出を考えやすくなります。
そして、地方を応援しながら返礼品も受け取れる「ふるさと納税」の税制優遇も、ぜひ上手に活用してください。寄附する自治体や寄附金の使用用途、返礼品を調べることで、その地方の特産品はもちろん、社会への取り組みを知る良いきっかけにもなるはずです。
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ファイナンシャルライター 瀧 健
『PRESIDENT Online』などの経済系Webメディアでも多数の執筆協力経験をもつ。ライフプランや資産運用の提案が得意。自らも株式・債券・投資信託などの運用を行っている。社会保障にも詳しい。