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2022年は値上げラッシュ! 家計への影響は? 今後のさらなる値上げでどうなる?
2022.10.12 くらしのマネー辞典
「円安」「円高」という言葉は、日ごろニュースで見聞きすることも多いと思います。異なる国の通貨の交換比率のことを(外国)為替レートと言い、ある外国通貨に対して、円の価値が高まれば「円高」、円の価値が低くなれば「円安」です。米ドル(アメリカ合衆国ドル)を例に、詳しくみてみましょう。
1米ドル=110円で交換できたものが、1米ドル=130円になったら、同じ1米ドルを手に入れるのにこれまでより20円多くお金を出さないと交換できなくなります。
米ドルの価値が上がって円の価値が下がるため、「(米ドルに対して)円安が進んだ」という言い方をします。
逆に、1米ドル=130円だったものが1米ドル=110円になった場合は、同じ1米ドルを手に入れるのに20円少ない金額で交換できます。
米ドルの価値が下がって円の価値が上がり、「(米ドルに対して)円高が進んだ」という言い方をします。
為替レートは、需要と供給の関係で変動します。円を売って米ドルを買う人が多いと米ドルの価値が上がって円安になり、米ドルを売って円を買う人が多いと米ドルの価値が下がり、円高になるというわけです。
これは、米ドルだけでなく、ユーロやポンド、豪ドル、スイスフランをはじめ、それぞれの通貨に対しても同じことが言えます。
円高のときは日本人が海外旅行をするのに有利となり、逆に円安のときは、外国人が日本に海外旅行をするのに有利となります。
企業からの視点なら、円安では輸出産業が有利になり、輸入産業は不利になります。円高になると逆に、輸出産業は不利になるものの、輸入産業は有利になります。
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2022年に入り、為替相場は大きく変動し、1月時点で1米ドル=115円台だったものが、9月に入って1米ドル=140円台に突入しました。
その後、さらなる円の急落を阻止しようと、政府・日銀は、9月22日に24年ぶりとなる「米ドル売り・円買い」となる為替介入※を行いました。
2020年のコロナ・ショックの際に、米国は金融緩和政策とゼロ金利政策を行ったことで、米国経済はいち早く回復し、2022年1月には米国の代表的な株価指数である「S&P500」も最高値を更新しました。
しかし、ロシアによるウクライナ侵攻が起き、エネルギー価格の高騰に端を発したインフレが深刻化。これを解消するため、米国では5月以降、複数回の利上げ(政策金利の引き上げ)を行っています。
一方、日本は2022年9月現在、金融緩和政策の継続を打ち出し続けており、米国との金利差が開いたことが、急激な米ドル高円安を招いた要因の1つと言えます。金利差があると、より金利が高い国の国債を買ったり、預金をしたりする投資家が増えると考えられます。つまり、米ドルを買う人が増えることで、米ドルが高くなり、反対に円が安くなるというわけです。
円安が進むことで資産価値が高まる投資商品にはどのようなものがあるでしょうか。
円安が進む局面では、円建ての金融商品よりも、外貨建ての金融商品の方が資産価値が高まります※。そのため、円以外の資産を組み入れることが、1つの選択肢となります。
また、円建てであっても、投資対象に海外資産(株や債券、不動産ほか)が含まれていれば、円安による資産増につながります。
円安が今後もまだ続くと考える場合は、円以外の資産を増やすか、あるいは円建てであっても海外資産に投資することで円安の恩恵を受けることができます。
具体的には、以下のような商品です。
海外不動産や金などの実物資産も円安により資産額(含み益)がアップします。
歴史的とも言える急激な円安を経験して、資産の中に、外貨建て資産を組み込むことや、円建てでも投資対象に海外資産を含む投資を行うことの重要性を感じた方も少なくないでしょう。円安が進むと、円建て資産や国内資産だけを保有している場合には、相対的に資産価値が下がっていることにもなります。
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為替変動の要因としては、金利差や貿易収支、物価変動、地域紛争・戦争などさまざまあり、為替の動きを正確に読むのは困難です。
しかし、日米の金利差だけで見るなら、米国の金利上昇が止まり、日本が現行の金融緩和策をやめて利上げに踏み切る動きが出てくれば、円高に切り替わる可能性は十分あると考えられます。
円安が進んだ段階で外貨建ての金融商品を購入した場合、「円高トレンドに切り替わったときに裏目に出る可能性もあるのでは?」と疑問を抱く人もいることでしょう。
しかし、つみたてNISAのように、長期的なスタンスで積立投資をするのであれば、為替の変動に一喜一憂しないことが重要です。
理由としては、2点挙げられます。
前述のように、海外を投資対象とする投資信託に投資をすることは、円安に強い資産形成にもつながります。つみたてNISAで海外に投資する投資信託(為替ヘッジのないタイプ)を組み込んで積立投資を続けることは、実は円安対策でもあるのです。国際分散投資型でも同じです。
為替の影響を受ける投資信託は、円高になったときに基準価格が下がるかもしれませんが、そのときは安く買うことができるということです。その後再び円安になったときに得られる利益が大きくなります。
円高ドル安が進んでドル資産の価値が下がったときには、相対的に国内資産の価値が上がることになります。つみたてNISAに、国内株式型や、日本を含む国際分散投資ができる投資信託を組み込んで積立を続けることで、円高が進んだときにも強い資産形成をすることができます。
これらの理由から、長期投資を前提にするなら、つみたてNISAを始めるタイミングはいつでもOKです。「円安(または円高)だから待った方がいい」といったことはありません。
コロナショックやロシアによるウクライナ侵攻の影響などがあるとはいえ、世界経済は2022年で3.2%、2023年も2.9%の成長が見込まれています※。
絶対にプラスになり続ける金融商品はありません。為替の動きに関係なく、つみたてNISAでコツコツと積立投資を続けることが、リスクを分散するための基本と言えます。そして、複利効果を存分に得るためにも、10年、15年、20年と長期で続けるようにしましょう。
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豊田 眞弓(とよだ まゆみ)
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相談診断士。FPラウンジ代表。マネー誌ライター等を経て、94年より独立系FP。現在は、個人相談のほか、講演や研修講師、マネーコラムの寄稿などを行う。6カ月かけて家計を見直す「家計ブートキャンプ」も好評。亜細亜大学等で非常勤講師も務める。「50代・家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」。
Webサイト:https://happy-fp.com/