今年は東京2020オリンピックが開催される年。どれだけ経済効果が大きなものになるのか気になるところですが、他にも私たちの暮らしに影響を与える話題がたくさんあります。2020年のマネートピックスを確認しましょう。
2020年1月1日〜
基礎控除と給与所得控除の見直しで、年収850万円超の人は増税に!
2020年1月1日から基礎控除と給与所得控除の金額が改定されます。
これまでの基礎控除額は所得額に関わらず一律で38万円でしたが、今回の改定で2,400万円以下の所得者は48万円に引き上げられます。
ただし、2,400万円超の高所得者は段階的に基礎控除額が引き下げられ、2,500万円超の所得者の基礎控除額は0円になります。
給与所得控除額は、最低額が65万円から55万円、最高額も220万円から195万円へ引き下げられます。※
改正前は最高額の控除額が適用されるのは、「給与収入1,000万円超」でしたが、改正後は「850万円超」が対象になります。
つまり、給与収入850万円までは給与所得控除額が10万円減額され、850万円超の所得者の給与所得控除額は一律195万円となります。※
基礎控除額の上昇と給与所得控除の改正を合わせて考えると、今回の改正により、給与収入が850万円超の人は税負担が増え、可処分所得(収入から税金・社会保険料を引いた額)が減ることになります。※
- ※給与収入が850万円超の場合でも、23歳未満の者を扶養する世帯や、特別障害者である扶養親族等を有する世帯等は、改正後も税負担は変わらないような調整(所得金額調整控除)があります。
2020年4月1日〜
非正規雇用社員は給料アップ!? 「同一労働同一賃金」がスタート
2019年4月に施行された「働き方改革関連法」のうち、「同一労働同一賃金」が2020年4月からスタートします(中小企業は2021年4月から)。
「同一労働同一賃金」は正規雇用労働者と非正規雇用労働者間の待遇差をなくす狙いで設けられる制度です。
同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。
非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など自身の待遇について事業主に説明を求めることができるようになります。
また、行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR※)も整備されます。
- ※事業主と労働者との間の紛争を、裁判をせずに解決する手続き
これまで正社員と同等の仕事を低い給料でこなしていた非正規社員にとっては、正社員と同じ賃金をもらえることになるので、給与アップが期待できます。
2020年4月1日〜
民法改正で未払い賃金などの時効が5年間に!
民法のうち債権に関する項目が改正され、2020年4月から施行されます。中でも影響が大きいのが、期限後一定年数の経過により貸金や未回収代金などの請求権利が消滅する「消滅時効」についてです。
これまで、飲食店やホテルの飲食料・宿泊料などは1年間、商品の未回収代金などは2年間、診療費や工務店の設計工事費などは3年間など、契約の種類によって消滅時効は定められていました。
しかし施行後は、施行後の契約に基づく債権については、原則、支払いの確定期限から5年間に統一されます。
契約ではありませんが、故意や過失による加害行為(不法行為)で生命・身体の損害を受けた場合の賠償請求権も、損害および加害者を知ってから原則5年間に延長されます。
ただし、特別法に基づく例外もあり、例えば保険金請求は、保険法に基づき消滅時効までの期間は3年間とされています。
一般の方が債権者の立場となる、損害賠償、保険金、年金請求などは権利を放置せずに、適時行動するようにしましょう。
2020年7月24日〜
経済効果は約32兆円! 「東京2020オリンピック」開催
日本の経済はオリンピック開催までは特需によって経済が上向きになるものの、開催後に反動で経済が落ち込む可能性が指摘されています。
前回の東京1964オリンピック後も、実質経済成長率は1964年11.2%⇒1965年5.7%に落ち込みました。
しかし、2017年に東京都が発表した試算では、東京2020オリンピック招致が決まった2013年から開催10年後の2030年の18年間で、全国の経済効果は約32兆円になると予想されています。
東京都の試算では、経済効果は大会開催の直接投資や支出で生じる「直接的効果」と、大会後のレガシー(遺産)で生じる「レガシー効果」に分けて算出しています。
「直接的効果」とは、競技会場の整備費、警備や輸送を含む大会運営費、大会観戦者らの支出、企業のマーケティング活動費などのことで、約5兆2,000億円。
「レガシー効果」とは、交通インフラ整備、バリアフリー対策、訪日観光客数の増加、競技会場の活用、スポーツ人口やイベントの拡大のことで、約27兆1,000億円とそれぞれ推計されています。
また、日本銀行も建設投資や訪日観光客の増加などにより2014〜2020年の実質国内総生産(GDP)を累計で25〜30兆円押し上げると試算しています。
東京2020オリンピックは「観光先進国」への飛躍を目指す日本にとって、海外に日本をPRし、国内観光・インバウンド消費を拡大するチャンスでもあり、長期的な経済効果がどれだけ大きくなるのか注目です。
2020年秋〜実施予定
マイナンバーカードを活用した消費活性化策
マイナンバーカードとは、氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバー(個人番号)と本人の顔写真等が表示されるプラスチック製のICチップ付きカードです。
本人確認のための身分証明書として利用できるほか、自治体サービス、e-Tax等の電子証明書を利用した電子申請等、様々なサービスに利用できます。
2020年9〜10月に開始する予定のマイナンバーカードを活用した消費活性化策は、一定額を前払い等した人に「マイナポイント」を国で付与するといものです。
消費税率引き上げに伴う景気対策の一環として政府が推進しています。
現在、普及率15%に満たないマイナンバーカードの交付率を向上させる目的もあります。
現状の消費活性化策のイメージは2つあります。
- マイナポイント申込みページで、利用するICカードを選び、申込みます。
ICカードにマイナポイントをチャージすることで、一定額のプレミアム分のポイントが付与されます。
- 利用者が希望するQR決済アプリから、マイナポイントを申込みます。
その後、QR決済アプリを使って買い物をすると、一定額のプレミアム分ポイントが付与されます。
ポイントの購入条件や購入対象者、プレミアム率、ポイントの利用環境や使いみち、有効期限など、具体的な内容については現在、政府が検討中です。
いずれにしても、マイナポイントをオトクに活用した買い物ができる予定です。
マイナンバーカードは、パソコン・スマートフォン・郵送・まちなかの証明写真機から無料で申請できます。
申請をすると、住んでいる市区町村から交付通知書が送付され、指定された市区町村窓口へ交付通知書と通知カード、本人確認書類を持参することでマイナンバーカードを受け取ることができます。
消費活性化策開始時期が近付くと、マイナンバーカードの交付申請が混み合い、交付まで通常(約1ヶ月)よりも時間を要することが予想されています。早めに申請するのがおすすめです。