「新学習指導要領」に「金融教育」が加わる
「学習指導要領」とは、文部科学省が定めるカリキュラムの基準。
社会を取り巻く状況や、子どもたちが今後生きていくために必要な資質・能力を踏まえ、約10年ごとに改訂されているものです。
これに基づいて、幼稚園、小学校、中学校、高等学校におけるカリキュラムは編成され、教科書も改訂されます。
今回の改訂は、文部科学省に設置された機関・中央教育審議会で審議された内容に基づいて行われました。
新学習指導要領のテーマは「生きる力 学びの、その先へ」。
学校で学んだことが将来につながるよう、次のような学びが充実されることになりました。
- 言語能力の育成(レポートやディベート)
- 外国語教育(英会話)
- プログラミング教育
- 消費者教育
- 起業に関する教育
- 金融教育……等
新たな学びとして話題になったものの1つが、「金融教育」です。
金融広報中央委員会『金融教育プログラム』には、
「金融教育とは、お金や金融の様々な働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育」
と解説されています。
高等学校の新学習指導要領では、下記のように規定されました。
高等学校学習指導要領解説 家庭編
〇経済計画
各ライフステージの特徴と課題、家族構成や収入・支出の変化、生涯の賃金や働き方、社会保障制度などと関連付けながら考えることができるようにする。また、将来を見通して、事故や病気、失業、災害などの不可避的なリスクや、年金生活へのリスクに備えた経済的準備としての資金計画を具体的な事例を通して考察できるようにする。
〇金融商品、資産形成
預貯金、民間保険、株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット、デメリット)、資産形成の視点にも触れるようにする。
新学習指導要領が実施される2022年4月から、家庭科の授業で生涯を見通したリスク管理の考え方や金融商品のメリット・デメリット、資産形成などについても学びます。
家庭科の教員が高等学校の金融教育・投資教育の授業を行うことになるのです。
授業を通して教員が資産形成を始めるきっかけに
家庭科の教員が、生徒に対してより現実に即した金融教育の授業を行うためには、教員自身も「資産形成」や「投資」になじむ必要があります。
金融庁は、金融教育を担う家庭科の教員をサポートする取り組みの一環として、2019年12月26日には、教員や職員を対象としたシンポジウム「つみたてNISA Meetup for Teachers」を金融庁内で開催しました。
「つみたてNISA」(積立型の少額投資非課税制度)や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の税優遇制度について紹介し、「長期」「分散」「積立」による投資の効果について意見交換が行われました。
このほか、金融庁ではこれまでも職員が講師となって学生へ向けて老後資金のプランや投資について教える「出張授業」に力を入れてきました。
こうした「出張授業」は今後も予定されています。