株価の下落を受け、投資信託をはじめる人が増えている!?

2020年3月、いくつかの証券会社で積立型の投資信託の利用が増えているというニュースが伝えられました。
ある証券会社では月額の積立額が1年前と比べて倍増。また、ほかの証券会社では3ヵ月で130%増になっているとのことでした。

ちょうど、経済活動の縮小により世界経済が落ち込むという懸念から株価が大きく下落したとニュースでも連日報じられていた時期。
「投資は怖い」「やはり投資をしなくてよかった」と思った人も多いのではないでしょうか。

一方で、その下落をチャンスととらえて、投資をはじめた人もいました。
2~3月は証券や投資信託の新規口座開設が急増。3月9日、10日は取引数が一気に増え、一時アクセスしづらい証券会社や銀行のWebサイトもあったようです。

三井住友銀行が2020年4月下旬に行った「コロナ禍の私生活の影響調査」でも、2~4月の運用方針について、株やFXは「運用額を減らす方針」の人が多いのに対し、投資信託、債券、NISAは「運用額を増やす方針」と答えた人が多い結果となりました。

コロナ禍の私生活の影響調査
  • 出典:三井住友銀行「コロナ禍の私生活の影響調査(2020年4月27日・28日実施)」

値下がりのピンチを、チャンスと捉える考え方とは?

なぜ、経済が低迷している中、「投資信託の積立投資」をはじめる人が増えたのでしょうか?

安い時期に買って、高い時期に売るのが投資の原則で、価格が下がっているときが買い時となります。
しかし、低迷した経済がいつ回復するのかは予測しづらく、その先にまだ下がる可能性もあります。
そこで、投資先が分散でき、長期で積み立てをすることでリスクを分散できる「投資信託の積立投資」を選択した人が多かったと考えられます。

投資信託とは、多数の利用者(投資家)から集めたお金をまとめてプロが運用する仕組みのこと。
プロ(運用会社)が債券や株式などの複数の商品を運用するので、1つの投資先にまとめて投資するよりもリスクを分散することができます。

投資信託の仕組み

さらに、投資信託を毎月積み立てることで、一括買いの高値づかみを避ける、時間のリスク分散ができます。
たとえば、一括で3万円分りんごを買った時と、毎月1万円ずつ3ヵ月かけてりんごを買った時を比べると、以下のようになります。

一括投資と積立投資の比較

一括投資では、5,000円に下落したときに売ると、投資したお金が半分になってしまいます。
一方、積立投資は、投資額の2倍の60,000円になります。

投資の結果は売った時の「りんごの数×その時の価格」になるので、下落時に購入したりんごの数が多い積立投資の方が有利となりました。

りんごの値動きをグラフ(チャート)にすると、このようになります。

上の表で示したりんごの値動きグラフ

グラフを見ると、購入時より大幅に下がっているので怖くなる人もいると思います。
ただ、先ほど紹介した、りんごの「数」の視点を持っていると、最も下落した1,000円の時点で売らなければ、下落=損ではないことがわかります。

上の値動きは一例であり、必ずしも、積立投資が一括投資より利益が出るわけではありません。右肩上がりで価格が上昇すると、一括投資の方が有利です。
また、ずっと下落を続けると、一括投資も積立投資もマイナスになってしまいます。

ただ、時間と投資先を分散した長期の積立投資であれば、途中で下落して一時的にマイナスになったとしても、その後価格が回復していけば、上のりんごのように、最初に始めた価格に戻らなくてもプラスになります。
相場の動きに一喜一憂せず、冷静でいることが大事です。

私たちの暮らしはどう変わる?

個人で老後資金の形成への必要性が高まっている今、お金を守りながら、増やす積立型の投資信託を取り入れようという考え方が少しずつ浸透してきています。
その選択肢として選ぶ人が増えているのが、税制優遇のある「iDeCo」や「つみたてNISA」です。

iDeCo(イデコ)は、個人型確定拠出年金の愛称で、投資信託などを利用して、老後資金を毎月積み立てるための制度。
掛金すべてが所得控除になるので、所得税や住民税をたくさん払っている人におすすめです。

【関連記事】iDeCo(イデコ)ってなに? ~基本をイラストで理解しよう~

つみたてNISAは、長期の積立投資に適した投資信託などを積み立てられる制度で、年間40万円の運用に対して、最長20年間運用益(運用で得た利益)が非課税になります。

【関連記事】知らないなんてもったいない! 「つみたてNISA」活用術

どちらの制度も、毎月、投資信託で積立投資ができ、運用益が非課税になるという共通のメリットがあります。

将来を見据え、今からできることを少しずつ始めることが大事です。
長い目でリスクを減らす投資信託の積立投資を、資産形成に取り入れることで、目先の値動きに一喜一憂せず着実に「りんごの数」=資産を増やすことができます。
さらに税制優遇の制度を利用できれば、投資効率はさらに良くなります。

「iDeCo」や「つみたてNISA」などは、普段からなじみのある銀行でも取り扱っています。Webサイトで口座開設や資料請求もできるので、投資を検討している人はチェックしてみてはいかがでしょうか。

  • 2020年6月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
  • 投資信託をご購入の際は、最新の「投資信託説明書(交付目論見書)」および「目論見書補完書面」を必ずご覧ください。これらは委託金融商品取引業者であるSBI証券のWEBサイトにご用意しています。
  • 投資信託のご購入、換金にあたっては各種手数料等(購入時手数料、換金時手数料、信託財産留保額等)が必要です。また、これらの手数料等とは別に信託報酬と監査報酬、有価証券売買手数料等その他費用等を毎年、信託財産を通じてご負担いただきます。お客さまにご負担いただく手数料はこれらを足し合わせた金額となります。
  • 投資信託のご購入、換金にあたって円貨から外貨または外貨から円貨へ転換の際は、為替手数料が上記の各種手数料等とは別にかかります。購入時と換金時の適用為替相場には差があるため、為替相場に変動がない場合でも、換金時の円貨額が購入時の円貨額を下回る場合があります。
  • これらの手数料等は各投資信託およびその通貨・購入金額等により異なるため、具体的な金額・計算方法を記載することができません。各投資信託の手数料等の詳細は、目論見書・販売用資料等でご確認ください。
  • 投資信託は、元本保証および利回り保証のいずれもありません。
  • 投資信託は国内外の株式や債券等へ投資しているため、投資対象の価格の変動、外国為替相場の変動等により投資した資産の価値が投資元本を割り込むリスクやその他のリスクは、投資信託をご購入のお客さまが負うことになります。
  • 外国投資信託のお取引にあたっては、外国証券取引口座の開設が必要です。
  • 投資信託は預金ではありません。
  • 投資信託は預金保険の対象ではありません。
  • 委託金融商品取引業者で金融商品仲介にてご購入いただく投資信託は、投資者保護基金の対象です。
  • 投資信託の設定・運用は運用会社が行います。

次に掲げる事項は、それぞれ2024年以降のNISA(成長投資枠・つみたて投資枠)のことをいいます。

配当金等は口座開設をした金融機関等経由で交付されないものは非課税となりません。

  • NISAの口座で国内上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。

リスク及び手数料について

  • SBI証券の取扱商品は、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。

同一年において1人1口座(1金融機関)しか開設できません。

  • NISAの口座開設は、金融機関を変更した場合を除き、1人につき1口座に限られ、複数の金融機関にはお申し込みいただけません。金融機関の変更により、複数の金融機関でNISA口座を開設されたことになる場合でも、各年において1つの口座でしかお取引いただけません。また、NISA口座内に保有されている商品を他の年分の勘定又は金融機関に移管することもできません。なお、金融機関を変更される年分の勘定にて、既に金融商品をお買付されていた場合、その年分について金融機関を変更することはできません。NISAの口座を仮開設して買い付けを行うことができますが、確認の結果、買付後に二重口座であったことが判明した場合、そのNISA口座で買い付けた上場株式等は当初から課税口座で買い付けたものとして取り扱うこととなり、買い付けた上場株式等から生じる譲渡益及び配当金等については、遡及して課税いたします。

NISAで購入できる商品はSBI証券が指定する商品に限られます。

  • SBI証券における取扱商品は、成長投資枠・つみたて投資枠で異なります。成長投資枠の取扱商品は国内上場株式等(現物株式、ETF、REIT、ETN、単元未満株(S株)を含む※)、公募株式投資信託(※)、外国上場株式等(米国、香港、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、海外ETF、REITを含む※)、つみたて投資枠の取扱商品は長期の積立・分散投資に適した一定の公募株式投資信託となります。取扱商品は今後変更する可能性があります。
  • SBI証券が指定する制限銘柄(上場株式等)、デリバティブ取引を用いた一定の商品及び信託期間20年未満又は毎月分配型の商品は除きます。

年間投資枠と非課税保有限度額が設定されます。

  • 年間投資枠は成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円までとなり、非課税保有限度額は成長投資枠とつみたて投資枠合わせて1,800万円、うち成長投資枠は1,200万円までとなります。非課税保有限度額は、NISA口座内上場株式等を売却した場合、売却した上場株式等が費消していた非課税保有限度額の分だけ減少し、その翌年以降の年間投資枠の範囲内で再利用することができます。
  • 投資信託における分配金のうち特別分配金(元本払戻金)は、非課税でありNISAにおいては制度上のメリットは享受できません。

損失は税務上ないものとされます。

  • NISAの口座で発生した損失は税務上ないものとされ、一般口座や特定口座での譲渡益・配当金等と損益通算はできず、繰越控除もできません。

出国により非居住者に該当する場合、NISA口座で上場株式等の管理を行うことはできません。

  • 出国の際には、事前に当社に届出が必要です。出国により非居住者となる場合には、NISA口座が廃止され、当該口座に預りがある場合は、一般口座で管理させていただきます。なお、海外転勤の場合にNISAで継続保有することが可能な特例措置については当社では対応しておりません。

つみたて投資枠では積立による定期・継続的な買付しかできません。

  • つみたて投資枠でのお取引は積立契約に基づく定期かつ継続的な方法による買付に限られます。

つみたて投資枠では信託報酬等の概算値が原則として年1回通知されます。

  • つみたて投資枠で買付した投資信託の信託報酬等の概算値を原則として年1回通知いたします。

NISAでは基準経過日における氏名・住所の確認が求められます。

  • NISAでは初めてつみたて投資枠を設定してから10年経過した日、及び以後5年を経過するごとに氏名・住所等の確認が必要となります。当社がお客さまの氏名・住所等が確認できない場合にはお取引ができなくなる場合もございますのでご注意ください。
  • 三井住友カードは、三井住友カード(株)が提供しています。当行は、三井住友カード(株)が提供する前記商品・サービスに関する募集等の業務を担当しています。
  • クレジットカードのくわしい内容については、三井住友カード(株)にお問い合わせください。
  • 三井住友カードは、満18歳以上(高校生は除く)の個人のお客さま専用のサービスです。事業でお使いになる口座は決済口座として指定できません。
  • 三井住友カードは年会費がかかります。年会費はカード種類によって異なります。くわしくは各カードごとの年会費欄をご確認ください。
  • 三井住友カード「お借入枠」「海外キャッシュサービス枠」の設定をご希望の場合は、ご入会後、三井住友カード(株)に各種設定申込書をご請求の上、お手続きください。
  • 三井住友カードの入会に際しては、三井住友カード(株)所定の審査がございます。
  • ETCカードをお申込の場合、年会費は初年度無料。次年度以降550円(消費税込)/枚がかかります。ただし前年度に1回以上ETC利用の請求があれば無料となります。
山口京子

山口京子(やまぐちきょうこ)

ファイナンシャルプランナー

幸せなお金持ちになるアドバイスが人気。フリーアナウンサーから、お金好きが高じFPに。証券外務員、生命保険、損害保険、宅地建物取引士の資格も取得。完全顧客主義のワンストップサービスを提供する。「白熱ライブビビット」「ミヤネ屋」「有吉ゼミ」「がっちりアカデミー」などに出演。お金を貯める・殖やす楽しさを、満足度100%のセミナーで伝える。オフィシャルサイト:https://kyoko-yamaguchi.com

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