2021年1月〜
子どもの看護休暇・介護休暇、1時間単位での取得が可能に

育児・介護休業法の改正により、半日単位で認められていた子どもの看護休暇が、2021年1月1日から、1時間単位から取得できるようになりました。対象は小学校入学前の子どもを育てる従業員です。

子どもが1人なら、年次有給休暇とは別に、1年につき5日分(2人以上なら10日分)が限度です。たとえば、1日の所定労働時間数が7時間30分の場合は「30分」の端数を切り上げ、8時間分の休暇で「1日分」となります。

これまでは1日の労働時間が4時間以下の労働者は、取得の対象ではありませんでしたが、今後はすべての労働者が取得可能に。ケガや病気の看病、予防接種や健康診断の際などでの活用が期待できます。たとえば、終業時間前の夕方に2時間分の休暇を取得して、予防接種に連れていくことも可能になります。

また、介護休暇も、子どもの看護休暇と同様に、要介護状態にある家族の通院の付き添いや、ケアマネージャーとの面談、介護保険の手続きなどのために、時間単位で取得することができます。これらは、働きながら子育てや介護を行いやすくするための措置です。

2021年1月〜
火災保険料、地震保険料の改定

持ち家なら、火災はもちろん、地震などの自然災害への備えとして加入しておきたい火災保険と地震保険。

豪雨や大型台風などの自然災害が全国で相次ぎ、保険金の支払いが増えたことから、2021年1月以降、火災保険は大手損害保険会社を中心に改定されます。
全体としては値上げの傾向ですが、値下げになる場合も。自然災害で損害を受けるリスクは、都道府県や建物の構造などにより異なるからです。リスクが高い場所や建物は保険料が高くなります。

地震保険は2017年から3段階で改定が行われていて、2021年1月の改定が3回目となります。全国平均では5.1%の値上げですが、値下げになる場合も。
火災保険と同様に地震保険も、都道府県と建物の構造で保険料が決まり、リスクの高いエリアや建物は保険料が高くなるからです。

火災保険料や地震保険料が高い場所・建物は、それだけ自然災害のリスクが高いということです。住宅購入や転居を検討している人は、こういった面も住宅選びの参考にしてはいかがでしょうか。

2021年1月〜
不妊治療助成の所得制限が撤廃され、高収入夫婦も対象に

少子化対策として、政府は2004年から不妊に悩む方への特定治療支援事業として支援を行ってきました。これまでは、助成金の対象となる夫婦の年間所得が730万円未満という所得制限がありましたが、2021年1月から助成を拡充し、幅広い世帯に支援が広がります。

また、体外受精などを受けた場合の助成の上限額は初回30万円、2回目以降15万円だったところを、2回目以降も30万円に拡充。生涯で通算6回までだった回数制限も、子ども1人につき最大6回まで(40歳以上43歳未満は3回まで)が対象となります。事実婚も対象に加わりました。

なお、この助成金拡充は2022年3月までで終了し、4月以降は不妊治療に公的医療保険が適用になる予定です。

2021年4月〜
高齢者雇用安定法の改正で、70歳までの就労機会確保が企業の努力義務に

現行の「高年齢者雇用安定法」では、本人が望めば、企業は65歳までの就労機会を確保することが義務づけられています。
その方法としては、@定年の引き上げ、A継続雇用制度の導入、B定年廃止のいずれかです。

2021年4月以降は、就労機会を70歳まで延長することが企業の努力義務になります。
その方法としては、上記の3つに加え、定年後に創業(フリーランス・起業)した人と70歳まで継続的に業務委託契約を結ぶといった選択肢も新設。70歳まで働く時代がやってきそうですね。

【関連記事】「70歳雇用」が企業の努力義務に! 働き方はどう変わる?

2021年4月〜
中小企業の労働者にもパートタイム・有期雇用労働法を適用

大企業ではすでに2020年から適用されていたパートタイム・有期雇用労働法が、2021年4月からは中小企業でも適用されます。
2018年7月に公布された働き方改革に基づく「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(通称「パートタイム・有期雇用労働法」)の改正により、「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保 」の1つとしてスタートするものです。

これにより、「同一労働同一賃金(同じ仕事内容なら同じ賃金を支払う)」を目指し、正規雇用・非正規雇用との間にある不合理な格差の禁止が企業に求められます。厚生労働省では、どういった待遇差が不合理になるのか、原則となる考え方と具体例を「同一労働同一賃金ガイドライン」で提示。基本給やボーナスをはじめ、各種手当て、休暇の取得や技能の習得などの福利厚生や教育訓練における指針がまとめられています。

【関連記事】「同一労働同一賃金」で非正規社員の給料アップ!?

2021年6月〜
個人住民税の計算方法が、6月納付分から変更に

税制改正により、所得税は2020年1月から基礎控除額や給与所得控除などが変更されました。収入を得た翌年に納付する住民税では、2021年から、税額を計算する際の控除額が変更になる場合があります。

会社員では、給与収入850万円以下の人は、住民税額はこれまでと変わりません。一方、850万円超の人は、23歳未満の扶養親族がいる、または同一生計配偶者や扶養親族に重度の障害者がいるなど、「所得金額調整控除」の条件に当てはまらなければ増税になります。

自営業者は、65万円の青色申告特別控除に電子申告などが要件として加わりました。そのため、電子申告などをすれば減税、しなければこれまで通りの税額になります。

また「ひとり親控除」の創設で、未婚のひとり親も控除の対象となり、住民税がこれまでより安くなりそうです。該当しそうな人はチェックしておきましょう。

【関連記事】何が変わる? 2020年基礎控除・給与所得控除改正

2021年上期〜
21年ぶりに刷新! 新500円硬貨を発行

2020年4月に同時発表された新紙幣の陰に隠れていましたが、500円硬貨が21年ぶりに刷新されます。偽造防止のため二色三層構造を導入しているのが特徴。貨幣の縁には通常貨幣としては世界初の異形斜めギザが採用されます。
導入時の混乱を避けるために周知の徹底が課題とのこと。新硬貨発行後も、現在の硬貨は使えます。

2021年7〜9月
Withコロナでの東京2020オリンピック・パラリンピック開催

簡素化した形式での開催が予定されている東京2020オリンピック・パラリンピック。延期による追加費用を少しでも削減するために、大会関係者の人数合理化など52項目の見直しが行われています。

そのなかで、当初の日数を維持して行われるのが聖火リレーです。2021年3月25日に福島県・ナショナルトレーニングセンターをスタートし、121日をかけて全国を回る見通しです。
感染防止対策のために、観客数を減らすべきか、減らすならどれくらいか、2021年春をめどに決定する予定とのこと。

開催決定以降、開催期間中の大きな経済効果にだけでなく、開催後のレガシー(遺産)など大きな経済効果をもたらすと期待されていました。新型コロナウイルスのニュースとあわせて、準備段階から注目されることになった、今回の東京2020オリンピック・パラリンピック。新しい形の「東京モデル」の成功が期待されます。

2021年〜
住宅ローン13年間控除を延長。床面積40u以上が対象に

2019年10月の消費税10%への引き上げによる住宅購入者の負担を減らすために、2019年10月から2020年末までの特例で、住宅ローン控除が10年から13年間に延長されていました。

新型コロナウイルスの影響が長引けば、住宅の販売が低迷すると予測されることから、政府は2021年以降も消費税率10%で取得した住宅について13年間の控除の延長を決定。新築注文住宅の場合は2020年10月から2021年9月末までに、分譲住宅やマンションなどは2020年12月から2021年11月末までに契約し、2022年12月末までに入居した人が対象となります。また、対象物件の床面積について、2020年までの床面積50u以上から40u以上に変更。50u未満については1,000万円の所得制限を設けました。

不動産の消費税は建物部分のみにかかり、土地部分にはかかりません。
個人間売買となる場合は、中古住宅も通常消費税はかからないため、これまで通り住宅ローン控除の期間は10年です。

消費税が10%かかる新築の住宅購入を検討している人は注目です。

【関連記事】住宅ローン控除で戻ってきたお金、どうすればかしこく活用できる?

2021年〜
結婚新生活支援事業の予算を倍増

一部の自治体で行われている「新婚生活支援事業」。少子化対策の一環として、新婚世帯の家賃や敷金・礼金、引っ越し代など新生活にかかる費用への補助を行うこの事業は、内閣府が支援しています。

内閣府では、この事業の補助の上限を現状の30万円から60万円に引上げ、年収制限の緩和や年齢の引き上げなども行う方針を固めているそうです。2020年時点ではまだ実施自治体が少ないことから、これを増やすための「モデル事業」も始める予定です。

私たちの暮らしはどう変わる?

新型コロナウイルスが今後どうなっていくのか、なかなか先が読めない状況です。新型コロナウイルス以前に戻ることはないという前提で、新しい生活やお金との付き合い方を考えたほうがよさそうです。

2020年9月に菅義偉新政権となり、デジタル庁の創設やマイナンバーカードの活用、印鑑の廃止など、デジタル化やキャッシュレス化が進み、社会や暮らしのインフラが変わっていくことを感じるニュースも多く耳にするようになりました。また、少子・高齢化が進むなか、働き方や暮らし方、お金との付き合い方も制度を上手に活用しながら、選択していくことが必要になっています。
自分に関わる新制度やニュースをしっかりチェックして、賢く活用しましょう。

  • 2021年1月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

坂本 綾子(さかもと あやこ)

CFP® /1級FP技能士。大学在学中より雑誌の編集に携わり、卒業後に取材記者として独立。1988年より女性誌、マネー誌などで金融に関する記事を執筆。家計管理、保険、資産運用に関する記事をはじめ、銀行の商品・サービスについても雑誌やWeb媒体で多数執筆。執筆に加え生活者対象のセミナー、家計相談も行っている。著書に「今さら聞けない お金の超基本(朝日新聞出版)」「まだ間に合う!50歳からのお金の基本(エムディエヌコーポレーション)」、「年収200万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!(SBクリエイティブ)」など 。

http://www.fpsakamoto.jp

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