2022年1月〜 住宅ローン控除率が0.7%に縮小

2020年度の税制改正で設けられた住宅ローン控除の13年※1の特例措置は、当初「2020年12月31日までに入居する人」が対象でした。しかし、新型コロナウイルスの影響が考慮され、2021年度の税制改正で下記の条件を満たすことで13年間の住宅ローン控除が適用されました。

  • 消費税の適用がない中古物件の個人間売買は10年。

<契約期限>

  • 注文住宅:2020年10月〜2021年9月
  • 分譲住宅等:2020年12月〜2021年11月

<入居期限>

  • 2021年1月〜2022年12月

また、控除期間13年の措置の延長分については、合計所得金額1,000万円以下という所得制限の範囲で、床面積要件が「50u以上」から「40u以上」に緩和されました。契約条件と入居条件は上記と変更はありません。

さらに、2022年度の税制改正※2により、2021年末で期限を迎える予定だった住宅ローン控除は2025年末まで延長に。一方で、対象者の所得上限が3,000万円から2,000万円へと下がる見込みです。
控除期間は新築で13年、中古で10年ですが、控除率は1%から0.7%へと縮小。控除対象となる住宅ローン残高の上限額は、物件の環境性能に応じて変わる予定です。

  • ※2出典:自民党Webサイト「令和4年度税制改正大綱」(2021年12月10日発表)
2022年度税制改正における住宅ローン控除の変更点

2022年4月〜 成年年齢が20歳から18歳へ

民法で定める成年年齢(成人)は明治時代以来20歳でしたが、2022年4月1日から18歳へ引き下げられます。4月1日時点で18歳・19歳の人は4月1日から成人となり、4月2日以降は18歳の誕生日を迎えると成人となります。

最も大きな変化は、18歳から自分で契約ができるようになることです。携帯電話を契約する、部屋を借りる、クレジットカードを作る、ローンでお金を借りるといった契約が本人名義で可能になります。また、成人になれば親権の適用外になるので、18歳から住む場所も進路も就職も自分で決定できるようになります。

さらに投資に関しても変化が。2023年からは、1月1日時点で18歳であればNISA口座を開設できるようになり、一般NISAやつみたてNISAでの投資を始めることが可能になります。

一方で、飲酒や喫煙、公営競技(競馬、競輪など)の券の購入は、20歳からのままです。大型・中型自動車免許の取得なども、それぞれ21歳から・20歳からと変わりません。

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2022年4月〜 高校で投資の授業が始まる

10年程度ごとに見直される「学習指導要領」の改訂により、2022年4月から高校の授業で投資教育が実施されます。

高等学校の新学習指導要領に、金融商品や資産形成について「基本的な金融商品の特徴(メリット、デメリット)、資産形成の視点にも触れるようにする」と加えられました。

家庭科の教員が家庭科の授業で高等学校の金融教育・投資教育を行うことになります。お子さんの投資教育をしっかり行いたいのであれば、ご家庭でも話をしたり、学生時代から少額で積立投資を経験したりするのも良いでしょう。

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2022年4月〜 年金の受給開始時期の選択肢が増える

原則として65歳から受け取り開始となる公的年金ですが、実際は「60歳から70歳まで」の間に受給を開始できます。それが、2022年4月以降は、年金制度改正法の施行により「60歳から75歳まで」に拡大。この15年の期間中に、受給開始の手続きを行うことで、翌月から年金の受給がはじまります。

年金額も、受給開始時期によって変化します。65歳から受給開始時期を1ヵ月繰り下げるごとに0.7%ずつ増え、70歳・75歳まで繰り下げると以下のように増加します。

年金受給開始年齢による月額の増減率の表

長生きをする自信がある人こそ、繰り下げ受給をするメリットがあります。何歳までどのような働き方をするも含めて、現役時代から受給開始時期(65〜75歳)を考えておきましょう。

2022年4月・5月〜 iDeCoの受給開始年齢&加入年齢の上限引き上げ

個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は、自分で年金をつくるための制度です。対象年齢であれば、日本在住の会社員・公務員、自営業、専業主婦・主夫など、原則、全ての人が加入できます。

2020年に成立した「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」により、iDeCoの制度が変わります。

まず、2022年4月1日から、現在「60歳から70歳未満」の受給開始年齢が、「60歳から75歳未満」に拡大※3。長く働き続けたい人にとっては、受給開始を遅らせる選択肢が広がります。

  • ※3企業型DCも「厚生年金被保険者で65歳未満」から「70歳未満」へと拡大します。

また、2022年5月1日からは、加入年齢も拡大。現在は「60歳未満」ですが、「原則65歳未満※4」に変更になります。ただし、この間も、国民年金に加入していることが主な要件となりました。

  • ※4iDeCoの老齢給付金受給者や公的年金を65歳前に繰上げ受給した人を除きます。

iDeCoに何歳から加入するか、いつ受給開始するかについて自由度が高まり、より自分に合った選択が可能になります。

2022年10月〜 児童手当、年収1,200万円以上への特例給付廃止

児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している、一定以下の所得の世帯に支給されている手当です。

所得制限があり、限度額を超える世帯には、特例給付として子ども1人に月5,000円が支給されてきました。

しかし、改正児童手当法により、2022年10月1日以降は、夫婦の高い方の年収が1,200万円以上(扶養親族等の条件あり)を目安に支給停止になります。前年の所得に基づいて判定され、6月以降の児童手当が確定します。

子ども1人あたりの児童手当の月額支給額
  • 所得制限額は扶養親族などの人数によって異なります。

特例給付の支給停止で削減できる年約370億円の公費は、保育所整備など待機児童対策に充てられるそうです。

2022年10月〜 企業型DCとiDeCoが、より併用しやすく

iDeCoの変更点について前述しましたが、実はもう1つあります。

会社員がiDeCoを検討する際、企業型DCのない会社では任意でiDeCoに加入できます。一方、企業型DCのある会社では、会社が規約で併用を認めていないとiDeCoに加入できないことになっていました。

2022年10月1日からは、企業型DCのある会社でも、加入者本人の意思だけでiDeCoに加入可能に。「もう少し 老後の資金づくりを厚くしたい」という人にとって、有効な手段が増えたと言えます。

ただし、企業型DCで加入者が掛金を上乗せする「マッチング拠出」を利用している場合には、iDeCoは利用できない点に注意しましょう。

私たちの暮らしはどう変わる?

コロナ禍を機に勢いを増すDX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術による生活やビジネスの変革)の一端として、キャッシュレス化、スマート決済などは今後も進むと思われます。

また、近年、世界的に広がった「持続可能な開発目標(SDGs)」を意識した暮らし方は、私たちの生活に浸透してきたのではないでしょうか。気候変動への対応を促すために金融機関への資金供給を行うといった金融政策の動きも出はじめています。

2022年も働き方や資産形成の計画を立て、変化に翻弄されない準備をしておくことが大切ですね。

  • 2022年1月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
豊田 眞弓(とよだ まゆみ)

豊田 眞弓(とよだ まゆみ)

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相談診断士。FPラウンジ代表。マネー誌ライター等を経て、94年より独立系FP。現在は、個人相談のほか、講演や研修講師、マネーコラムの寄稿などを行う。大学・短大で非常勤講師も務める。「親の入院・介護が必要になったときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」。

webサイト:https://happy-fp.com/backstagemezasu/toyoda.htm

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