2023年からNISA対象年齢が18歳以上に!

民法改正により、2022年4月1日から成年年齢が引き下げられ、それに伴ってNISA口座(一般NISA・つみたてNISA)開設の対象年齢も変更されました。以前は20歳以上から口座開設が可能でしたが、2023年からは、1月1日時点で18歳であれば口座を開設可能に。18歳、19歳の方も、NISAを始められるようになりました。

2022年から高校で金融教育が始まったこともあり、学生のうちから投資に関する知識を得たり興味を抱いたりする機会も増えているのではないでしょうか。リスクを抑える投資の方法を知ったうえで、実践的な投資体験をすることは、その後の人生でお金と上手に付き合っていくためのよい経験になると考えられます。

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余談になりますが、筆者が非常勤講師として受け持っている大学・短大の学生には、「貯める」習慣をつけてもらうため、数年前から月1万円の積立貯蓄を推奨してきました。4年制大学で約50万円貯めて社会に出る、という貯蓄体験をしてもらおうという意図です。
これは、日本FP協会専務理事の伊藤宏一先生の実践例を数年前に伺い、それを参考にして実践しています。

2021年度からは、この積立貯蓄の一部でつみたてNISAを体験してみることも推奨しています。講義内でつみたてNISAの解説を行い、リスクがあることを理解したうえで、「やってみたい」という一部の学生が、おこづかいやバイト代の範囲で挑戦しているようです。

投資デビューをするなら、リスク軽減効果のあるつみたてNISAを

そもそもNISAとは、少額投資非課税制度のことです。株や投資信託の売却益や配当・分配金は20.315%の税金が引かれますが、NISA口座で資産運用をすると、この税金がかかりません。

成人が利用できるNISAには一般NISA・つみたてNISAの2種類があり、1人1口座のためどちらかを選ぶ必要があります。投資できる商品や、非課税になる投資額や期間など、下の表のように違いがあります。

  • 下の表は2022年12月時点の情報であり、今後、政府が打ち出した「資産所得倍増プラン」により、2024年1月から、一般NISAとつみたてNISAの一体化や恒久化、内容の拡充が決定しています(2022年12月時点)。
つみたてNISAと一般NISAの違い
  • 金融庁資料をもとに筆者作成。

株式投資は一般NISAでしかできませんが、成人を迎えてはじめて投資をするような場合は、長期で投資信託の積立ができるつみたてNISAが向くとされています。その理由としては以下の5つが挙げられます。

<1>投資のリスクを軽減する仕組みになっている

投資には価格が変動することで元本割れ(投資した元のお金を下回ること)を起こすリスクが付きまといます。
リスクを軽減する方法には、@資産の分散(国内外の株や債券、不動産などさまざまな資産に分散する)、A長期で運用(複利の効果も期待できる)、B時間の分散(「積立」で購入のタイミングが分散でき、購入価格の平準化を図れる)の3つがあります。

図は1985年以降の各年に毎月、同じ金額で、国内外の株式・債券を買い続けた場合の運用の成果です。保有期間5年では、元本割れになったケースもありますが、保有期間20年では元本割れが起きていません。今後も同じ結果が約束されているわけではありませんが、過去の実績を見ると、長期の投信積立を行う意味が理解できますね。

資産・地域を分散して積立投資を行った場合の運用成果の実績

<2>金融庁の基準に合う商品のみに限定されている

つみたてNISAで購入できる投資信託は、コストや運用実績などで金融庁の基準をクリアしたものに限定されています。販売手数料はかからず、信託報酬も国内株のインデックスファンドで0.5%以下など低めの商品に限定されています。ただし、解約時の信託財産留保額は、かかるものも含まれます。

<3>税金がかからないというメリットがある

先述のように、株や投資信託の売却益や配当・分配金には20.315%の課税がありますが、一般NISA・つみたてNISAともに、それがすべて非課税になります。
たとえば、10万円の運用益が出た場合、通常では2万315円の税金を引かれるところ、NISA口座で運用するとそれがゼロになります。

<4>自動で積立投資ができる

つみたてNISAは、口座を開設して1度積立の設定をすれば、毎月自動で積立投資ができるという点もメリットの1つです。
学生時代から一定ペースでの資産形成に慣れておけば、支出が多くなりがちな新社会人期にも貯蓄・投資の習慣を継続しやすくなるでしょう。

<5>休んだり、売却したりできる

20代、30代はライフイベントが多く、貯蓄計画も思い通りにいかない時期もあるでしょう。つみたてNISAは、長期で運用することを想定した仕組みとはいえ、積立投資を休むことも、売却をして資金を取り出すことも可能です。

▼NISA制度についてくわしく知りたい方へ
NISA(少額投資非課税制度)とは

つみたてNISA口座開設の4つのステップ

つみたてNISAで積立投資を始めるまでの流れは下記の通りです。

つみたてNISAの口座開設から積立開始までの流れ

口座が開設できれば、あとは積立投資をする商品と金額を決めて、運用をスタートするだけです。

▼くわしい口座開設のステップはこちら
まずは「つみたてNISA」の口座を開設しよう!

▼約5分で入力完了!インターネットからもお手続き可能
投資信託の口座開設方法(インターネット)

投資信託はどう選ぶ? 迷ったときのヒント

つみたてNISAの口座開設はしたものの、そこで終わっている人も少なくありません。
成人になってつみたてNISAの口座開設までしたのに、なかなか始められない理由として、「投資する商品が選べない」という大きな壁があります。
どれを選んだらよいかわからないという場合は、次のようにカテゴリーを絞って、該当する商品を選んで始めてみてはいかがでしょう。

インデックスファンド

日経225、S&P500、MSCIなど特定の株価指数との連動を目指す投資信託。日経225やS&P500など、報道などで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。それぞれの株式市場全体に投資するイメージです。手数料などのコストが低めに設定されていて、幅広く分散投資ができるので、投資初心者に人気があります。

グローバルバランスファンド

国内外の株と債券にバランスよく投資する投資信託。特定の国だけでなく世界に投資し、しかも、資産を株と債券で分散して投資をすることで、よりリスクを軽減することができます。ただし、海外の株式や債券に投資するため、為替変動の影響は受けます。また、インデックスファンドよりコストは高くなります。

上記の2つのタイプの投資信託を組み合わせるといったことも可能です。積立額も商品も後から変更できるので、まずは始めてみて途中で見直すのもいいでしょう。

▼投資初心者の方、必見!
投資信託の商品の選び方

▼SMBCなら厳選された4つのファンドから選べる
積立商品を知る つみたてNISA

私たちの暮らしはどう変わる?

政府は、国民の資産を貯蓄から投資へシフトさせることを通じ、投資から得られる資産所得(財産所得)を増加させる「資産所得倍増プラン」を掲げています。2023年度の税制改正では、2024年からのNISAの恒久化や内容の拡充などが決定しました。引き続きニュースをチェックしましょう。

先述のように、2022年4月から高校で投資を学ぶようになりました。成人になってつみたてNISAの口座を開ける対象になったら、まずは少額から積立投資を体験してみるというのも1つの方法です。

勉強をしてから投資を始めようと思い続け、気づけば50代という人が筆者の周囲にもいます。「しっかり勉強してから」という心構えは大事なことですが、「体験を通して学ぶ」という姿勢も大切です。
人生100年時代、老後に資産が尽きないよう、資産の寿命を延ばす準備を成人になったタイミングで始めてみてはいかがでしょう。

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将来のための、お金のふやし方

  • 2023年1月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

豊田 眞弓(とよだ まゆみ)

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相談診断士。FPラウンジ代表。マネー誌ライター等を経て、94年より独立系FP。現在は、個人相談のほか、講演や研修講師、マネーコラムの寄稿などを行う。6カ月かけて家計を見直す「家計ブートキャンプ」も好評。亜細亜大学等で非常勤講師も務める。「50代・家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」。

Webサイト:https://happy-fp.com/

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