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2023.5.31みんなのマネーニュース
2022年には日本の出生数が初めて80万人を切り、深刻な少子化が改めて重要な社会問題として認識されています。少子化対策の1つとして、2022年度第2次補正予算が成立し、実施が決まったのが、「出産・子育て応援交付金」事業です。
核家族化が進む中、妊婦や子育て家庭が孤立することなく、安心して出産・育児ができるよう、「伴走型相談支援」と「出産・子育て応援ギフト」を組み合わせた支援が始まっています。地方自治体が地域の実情に合わせてそれぞれサービスを展開するため、各自治体によって内容が異なります。
支援の対象となるのは、2022年4月1日以降に生まれた0〜2歳の子どもがいるご家庭です。もちろん、現在妊娠中でこれから出産予定の方がいるご家庭も対象となります。
安心して出産・子育てができるよう、妊娠中から「子育て世帯包括支援センター」などによる継続的な支援を受けられます。
子育て家庭(夫・パートナー・同居の家族も同席推奨)が抱える不安を解消し、出産・育児の見通しを一緒に立てられるよう、以下のタイミングで3回の面談を受けることが可能です。
面談では、両親学級や地域子育て支援拠点、産前・産後ケア、一時預かりなど、それぞれの時期やニーズに合ったサービスを紹介してくれます。オンラインでの面談が可能な場合もあるので、相談してみましょう。
原則、妊娠届を提出時に「出産応援ギフト」、出生届を提出後に「子育て応援ギフト」として、それぞれ5万円相当(合計10万円相当)のギフトが支給されます。出産後の「子育て応援ギフト」は、多胎であれば、子どもの人数分のギフトを受け取れます。
「伴走型相談支援」の1回目の面談などの後に「出産応援ギフト」が、3回目の面談などの後に「子育て応援ギフト」が支給される流れです。
前述のとおり、実際の運営主体は自治体のため、具体的な支援の内容や名称なども、自治体によって異なります。対象は「2022年4月1日以降に生まれた0〜2歳の子どもがいるご家庭」である点は変わらないものの、実際にスタートする時期なども自治体で異なっています。
「出産・子育て応援ギフト」での経済的支援は、各自治体の判断で、以下のような内容があります。
など
この中で、ポイントタイプの東京都と、現金給付の名古屋市の例を見てみましょう。
東京都は、以下の経済的支援を実施しています。
東京都の場合、専用WEBサイトから申し込みを行うことで、希望する育児用品や子育て支援サービスなどと交換できます。
▼ポイントと交換できる商品・サービスはこちら
東京都出産・子育て応援事業ポイント交換カタログ「赤ちゃんファースト」
名古屋市は、すべての妊婦・子育て家庭が安心して出産や子育てができるよう、妊娠期から子育て期まで身近で相談・支援を行う「伴走型相談支援」と一体的に実施する経済的支援として、現金を支給する事業を実施しています。
受給の手続きは、名古屋市から送付される申請書に口座番号など必要事項を記入し、同封する返信用封筒で返送することで完了します。
▼出産費用や育児用品、実際どれくらいかかる?
育児用品や保育園準備で想定外の出費! 教育費は、目指せ1,000万円
東京都の例で、「出産・子育て応援ギフト」の受け取りからサービス利用までの流れを見ておきましょう。なお、期限内であれば、複数回に分けての申し込みも可能となっています。
以下のような流れで、ギフト(東京都ではポイント)を受け取り、専用サイトにあるカタログから商品・サービスを選択・購入します。
東京都に限らず、「出産・子育て応援ギフト」を利用する際には、商品の申込期限※があり、期限を過ぎると失効します。早めに申し込みをしましょう。
なお、里帰り出産をした先など、住民登録地以外の住所でも受け取りが可能です。配偶者の暴力(DV)から逃れ、住民票を移さずに子どもと一緒に避難している人などでも利用することができます。該当される方は、自治体に相談してみましょう。
2019年に、消費税増税分を財源として、幼児教育・保育の無償化がスタート。3〜5歳児を対象に、幼稚園、保育所などが無料化し、子育て家庭の負担が大きく軽減されました。「伴走型相談支援」「出産・子育て応援ギフト」は、これまで支援が手薄だった0〜2歳児の低年齢期の子育て支援策となっています。
また、深刻な少子化に対し、政府は2023年3月末に「異次元の少子化対策」の「たたき台」をまとめ、4月設立のこども家庭庁につなぎました。織り込まれたものとしては、以下のような内容(案)があります。
これらは、2024年度から3年程度かけて実施される可能性があります。
今回の「出産・子育て応援ギフト」は決して大きな支援ではないかもしれません。しかし今後、異次元の少子化対策が実施されれば、対象となる子育て家庭は、さらに大きな経済的支援を受けられるでしょう。2023年6月の「骨太の方針」で、一部具体的な内容が確定するとみられていますが、これから子どもを産み育てようという方にとっては、大いに期待できそうです。
しかし、少子化対策により経済的負担が軽減され、ゆとりが生まれたとしても、油断しないでおきたいもの。財源捻出のために別の負担増が発生する可能性もあります。また、ライフプランの面でも、教育費の山を越えれば、自分たちの老後も待っています。中長期的な資産形成の計画を立てておきたいものですね。
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豊田 眞弓(とよだ まゆみ)
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相談診断士。FPラウンジ代表。マネー誌ライター等を経て、94年より独立系FP。現在は、個人相談のほか、講演や研修講師、マネーコラムの寄稿などを行う。6カ月かけて家計を見直す「家計ブートキャンプ」も好評。亜細亜大学等で非常勤講師も務める。「50代・家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」。
Webサイト:https://happy-fp.com/