前の記事
社会人8年目で資産3,000万円達成! 独身時代は人生の貯めどき&増やしどき
2020.8.26マネー習慣
國場
chappyさんは、社会人になってから約7年半で1,000万円貯めたということですね。就職して自由に使えるお金が増えると、つい使ってしまいがちですが、貯めようと思ったのはどうしてですか?
chappy
学生のころ読んだ本がきっかけです。
自分がお金のために働くのではなく、お金に働かせて収入を得ることで、給料にのみ依存する生活から抜け出せて、経済的自由を手にすることができるという、本に書かれていた考え方に惹かれました。
私は「なるほど!」と思うと、自分で実践してみたくなるタイプなので、卒業のタイミングで証券会社に口座を開きました。
國場
考え方の切り替えや行動にスピード感がありますね。
chappy
でも、そのあとがなかなかうまくいかなくて(笑)。国内株式に投資したんですが、最高の景気状況にもかかわらず、そこまで利益を上げることができませんでした。
「株式投資は自分には向かないのかも」と思っていたときに、投資ブロガーの記事で高配当の米国株式投資のことを知り、2018年から始めました。
國場
「投資は怖いもの」と思っている人も少なくありませんが、chappyさんの場合、最初の一歩を踏み出すときはどうでしたか?
chappy
私は自分のことをハラハラ、ドキドキに弱い「“豆腐のようなメンタル”の持ち主」だと思っていますが、理系なので、データ的根拠を重視するという一面もあります。
米国株について調べてみると、もちろん値動きに上下はありますが、過去200年間右肩上がりの実績があることがわかり、そのデータが恐怖心を払拭するのに役立ちました。
國場
それにしても、昇給があるとはいえ資産総額が年々増えているのも素晴らしいです。
chappy
実際、投資の利益は数十万円程度で、あとは給料とボーナスをコツコツ貯めたものです。
投資を始めてわかったことですが、投資には金銭面以外にもメリットがあり、仕事面でも有利に働くことが多いんです。
たとえば、ニュースを見る目が自然に変わり、経済動向に関心を持つようになりますよね。情報の引き出しが豊富になり、上司との会話で役に立つことがあります。
また、実は最近転職したのですが、投資を始めてから企業の財務データをチェックするようになっていたので、転職先を決めるときに役立ちました。
転職後すぐに新型コロナウイルスの問題が発生して、多くの企業が業績悪化に陥りましたが、今の会社はさほど影響がなく、ボーナスも2019年度並みの金額とのことで、自分の読みが正しかったと思っています。これも投資をして得た知識のおかげですね。
國場
1ヵ月の支出を12万円に抑えるために工夫していることはありますか?
chappy
食料品や日用品など日常的に消費するものは、ムリに節約してもストレスがたまる割に大して効果が出ないのであまり気にしていません。
國場
そうですね。食料品や日用品を底値で買うためにチラシやサイトを探し回ったり、特売品を追ってスーパーをハシゴしたりするのは「労多くして益少なし」の典型例ですね。
chappy
その代わり、大きな買い物をするときは、商品をネットや実店舗で比較検証して、必要なスペックを満たしていれば型落ちでもOK。コスパを優先して選択しています。
たとえば車。田舎に住んでいるので必需品なんですが、社会人になったばかりでお金がなかったころ20万円で買った中古車に、今でも乗っています。
「新車だから優れている」とか「中古車はすぐダメになる」とか、そういった固定観念はありませんね。
國場
chappyさんのお話を伺っていると、お金を使う基準が明確な気がします。
chappy
なんでも節約すればいいというものではないし、だからと言って何も考えずに使っていては、お金は貯まりせん。
自分が本当に必要だと思うものや欲しいものには、積極的にお金を使うべきだと思います。でもその代わり、見栄えや一時的な満足を得るための消費は控えるようにしています。
たとえばSNSにアップしたいがための消費は、承認欲求を満たすことが目的で、自分が本当に欲していない可能性がありますよね。
國場
なるほど! わかりやすい基準ですね。資産形成に成功している人の共通点の1つに、支出について自分の軸がはっきりしている点があげられますが、chappyさんがまさにそうです。
chappy
社会人になってから弦楽器のヴィオラを始めて、市民オーケストラのメンバーになりました。休日、練習に参加するとリフレッシュできるし、仕事以外の人間関係が広がって楽しいんです。
オーケストラ活動にかかるお金は惜しまないというのも、私のお金の使い方の基準のひとつ。演奏会のあとの打ち上げにも積極的に参加しています。
会社のつまらない飲み会は、多少空気が読めないヤツだと思われても気にしないで、断っちゃいますけどね(笑)。
國場
他人の目から見た自分の行動を認識しつつ、「みんなと違ってもいい」「みんなの違いも受け入れる」というchappyさんのニュートラルな考え方が感じられて、ステキだなと思いますよ。
國場
金融資産の内訳を拝見しましたが、全体の7割が個別株という状況は、やはりハイリスクだと感じました。投資初心者の方が単純にマネをするのはやめた方が無難でしょうね。
chappy
そうですね。一般にはそう思われているかもしれませんが、自分としては、闇雲にさまざまな金融商品を組み入れさえすれば利益が出るとも一概には言えないのでは?と考えています。
chappy
とはいえ、個別株を購入する場合、企業の決算情報などはチェックする必要があるので、特に海外銘柄は、よほど株が好きな人でないと億劫かもしれませんね。そういう人はETF(上場投資信託)や投資信託の方が向いているかもしれません。
資産を預金だけで持つのはリスキーだと考え株式を組み入れましたが、ある程度の預金も必要ですよね?
國場
仰る通り必要です。chappyさんのように、金融商品を分けることには賛成です。
金融資産があるとしても、「預金がほとんどなくてもよい」というわけではありませんから、株式や投資信託など評価額が変動するものが大半で、預金がほとんどない人は注意が必要です。
新型コロナウイルスの影響で収入が激減したり、株価が暴落したりといったことを経験して、万が一のときには、ある程度の預金が必要だという認識が高まったと思います。
会社員の方には6ヵ月分の生活費を預金で持つことを、私はおすすめしています。chappyさんはその点、預金もしっかりありますね。
また、投資信託も始められたとか。
chappy
はい。現状は株式投資がメインですが、転職先に企業型DC(企業型確定拠出年金)があり、初めて投資信託を購入しました。S&P500(アメリカの代表的な株価指数)に連動するインデックスファンドです。
國場
企業型DCは、企業が従業員のために掛け金を出し、従業員自身が運用方法を決める仕組みになっています。運用中に生じる運用益は非課税ですし、将来、年金を受け取るときにも税金が優遇されます。株式の譲渡益や配当は通常約20%の税金がかかることを考えると、かなりお得な制度です。
個別株は対象外になりますが、少額で多くの対象に分散投資ができる投資信託は、確定拠出型年金(企業型、個人型)で運用するのにメリットの多い金融商品です。良い選択をされましたね。
chappy
ありがとうございます。金融資産を持つことで、転職という多少リスクがあることにも挑戦できて、人生の自由度をあげることにつながりました。これからも、より資産を増やして行きたいと思っています。
学生時代に読んだ本がきっかけとなり、投資に関心を持つようになったchappyさん。社会人7年目で資産が1,000万円を超えました。
「お金を貯めている人は、節約ストレスがたまっているのでは?」と思いがちですが、chappyさんは「他人軸」ではなく「自分軸」でお金を使い、節約するところと心置きなく使うところのメリハリがあります。
その結果、節約にもストレスを感じることなく、順調に資産を増やすことができたのでしょう。今後の資産の増加にも期待が膨らみますね。
國場 弥生(くにばやよい)
ファイナンシャルプランナー
証券会社勤務時に個人向けの資産運用プラン作り、アドバイス業務を行う。ファイナンシャルプランナーへ転身後は(株)プラチナ・コンシェルジュ取締役として個人相談を始め、書籍や雑誌・Webでの執筆活動など幅広く活動する。