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2020.11.25マネー習慣
國場
なかなか大変な会社員人生を歩まれていると伺いました。新卒で入社した会社が、とても厳しい企業だったそうですね。
ritsu
はい。最初の会社は営業職で成績がものをいうので、成果をあげていない人は残業代が出ませんでした。長時間労働が当たり前、上司が厳しく、非常に高い成果を求められる職場環境だったので、ストレスの反動で外食やファッション、タバコなど今ではあまり買わないものにお金を使っていました。
ritsu
次の会社にブランクなく転職できたのが幸いでしたね。
國場
それは何よりです。ritsuさんはすぐに転職先が見つかったのでよかったのですが、会社を辞めて次の就職先を探している間は雇用保険から失業給付を受けることができます。
失業給付を受けることができる日数は、年齢や雇用保険の被保険者であった期間、離職の理由などによって90日∼360日の間で決められます。自己都合による退社の場合は3ヵ月間の給付制限があります(2020年10月より一定の条件に当てはまる場合は2ヵ月)。
しかし、会社の倒産や職場で嫌がらせを受けるなど、労働条件が当初の約束と大きく異なっていた場合、職業安定所で認められればさらに手厚い給付日数になるケースがあります。客観的な証拠が有利に働くので、それらを職業安定所で提示して相談してみるようにしましょう。
ritsu
そうなんですね、知りませんでした。もしまた新卒の時のような会社で働くことがあれば相談するようにします。もう二度と経験したくはないですが(笑)。
國場
転職先の会社では人間関係に悩み、うつ病になってしまったそうですね。
ritsu
病気自体は軽度で、1ヵ月で職場復帰できました。復帰できた理由は、当時の上司から言われた「ritsu君は必ず会社に貢献できる力を持っているから、体調を直して必ず復帰しなさい。待っているから」という言葉に支えられたことが大きいと思います。
國場
1人でも職場に味方になってくれる人がいるというのは心強かったでしょうね。
近年は、労働者の心理的な負担を把握するための検査(ストレスチェック)を一定以上の規模の会社に義務付けるなど、法律の整備も進んできました。
お金の面でいうと、会社員なら精神疾患を含め、病気やケガで働けなくなった場合には、健康保険から支給される「傷病手当金」があります。仕事を連続して休んだ4日目から最長1年半、お給料のおよそ2/3が支給されるというものです。
ritsu
自営業やフリーランスの人は、もらえないということですか。
國場
おっしゃる通りです。自営業やフリーランスの人が働けなくなったときの備えとしては、民間の就業不能保険などに加入するというのが有効な手段でしょう。ただし保障される病気などの対象範囲は商品によって違うので、しっかりと確認する必要があります。
ritsu
なるほど。私は上司が交渉してくれて満額で給与を頂くことができましたが、もし今後、会社勤めの中で休職せざるを得ない時がきたら「傷病手当金」が頼りの綱になるのですね。覚えておきます。
國場
ritsuさんは詐欺被害にも遭われたことがあるんですよね。
ritsu
はい。知人の紹介で出会った人から、あるファンドに投資すれば毎月分配金がもらえるという話を持ちかけられました。
ちょうどその頃、資産運用に興味を持ち始めていたので、やってみることにしたんです。最初は分配金が振り込まれていたのですが、結局1年後にはその相手と音信不通になり、詐欺だと気づきました。
ほかにも、楽して儲けられそうな商品に色々と手を出してしまい、総額400万円以上のお金を失いました。怪しげな商品に手を出していたので、友人や恋人も離れていく結果に。甘い言葉に誘惑された自分が情けないです。
國場
それは大変なご経験でしたね。もう理解されていると思いますが、自分にとってあまりにも甘い言葉は簡単に信じない方がいいかもしれません。
資産運用をしたいと思ったら、銀行などの身近な金融機関に相談するのも手です。ただ、そのときにも購入したい金融商品のメリット・デメリットを聞いて、最終的には自分で判断する必要があります。デメリットを含めてきちんと説明しくれると信頼できますよね。
國場
毎月の収支を拝見しましたが、収入に対する資産運用の割合、支出ともに、とてもバランスが取れていると思います。副業もされているんですね。
ritsu
ブログと出前宅配の副業をしています。ブログ収入は年間数万円程度なので微々たるものですが、今年から始めた出前宅配は貴重な収入源になっています。
國場
食費が高めなのは副業をされていて自炊がしにくいからでしょうか。
ritsu
そうですね、稼ぐことを優先しているので多少支出が増えてしまうのは仕方がないと思っています。
國場
確かにこれからの時代、副業での収入アップは重要な視点です。副業を認める企業の環境も整いつつあるので、勤務している会社のルールも確認してみましょう。
寿命が伸びて人生が長くなっている分、歳を重ねても働き続けられよう知識や技術を磨いたり、副業や転職による収入アップで生まれた余剰金をもとに資産を増やしたりするなど、長い人生をやりくりするための術を身につけておきたいですね。
國場
毎月の資産形成は、いろいろ経験されて今の配分に落ち着いたのでしょうか。
ritsu
最初はFXやデイトレードなどの短期投資をしていましたが、ずっと長期投資の必要性は感じていました。短期投資をしたのは、長期投資をするための資金をつくるためでした。
でも、実際にやってみて、資金を貯めるどころかすべて失ってしまいました。
國場
FXなど投機性の高い投資では、思わぬ利益を手にすることもありますが、勝ち続けるのは大変難しいと思います。それでもやってみたいというときには、生活に影響しない程度の余剰資金であるべきでしょう。
ritsu
投資詐欺でも失敗したのは、他人に相談せず自分が信じ込んだら突っ走ってしまう性格が一因だったと思います。間違った方法で努力を続けていました。
また、自分には短期投資は向いていないということが分かったので、現在はすべて長期の積立投資で資産運用しています。
國場
長期投資にシフトチェンジされてからは資産がぐんぐん増えているので、ritsuさんには今の資産運用が合っているのでしょう。
國場
金融資産の内訳では、個別株の割合が少し多い気がします。これは何かお考えがあるのでしょうか。
ritsu
単純に株式投資が楽しいというのが理由のひとつです。銘柄を選ぶために会社の歴史や決算資料を調べてみると、それぞれに企業ドラマがあってロマンを感じるんですよね。
決算資料を見ると、その会社のビジネスモデルを知ることもでき、自分の仕事をする上でもプラスになっています。
國場
趣味としての一面があったり、仕事に役立つ知識を得るためだったりするんですね。
ritsu
その通りです。
國場
ただ、今後ご結婚したり、お子さんが生まれたりと、生活環境が変化することもあるでしょう。そのときには、iDeCoやNISAで比較的リスクが低い商品を運用し、資産を増やしていくことも考えておくといいかと思います。
ritsuさんは数々の失敗を経て、現在はご自身に合った資産運用をされています。
ただ、失敗はできればしたくないもの。お金の知識を学び、上手に使う能力を高めるためには、自分から学習する姿勢が大切です。
本を読むことは学びの基本的な手段ですが、読書が苦手という人もいるでしょう。そういう人は、動画を見たり、サイトやスマホの読み上げ機能を使ったりして“耳”で学習するのもよい方法です。ritsuさんのブログのように、リアルな失敗談を読むというのも、貴重な学習の機会に。また、金融機関へ相談するのも、一つの手ですよ。
これからも、このマネービバを通じて、一緒にお金の知識を深めていきましょう。
國場 弥生(くにばやよい)
ファイナンシャルプランナー
証券会社勤務時に個人向けの資産運用プラン作り、アドバイス業務を行う。ファイナンシャルプランナーへ転身後は(株)プラチナ・コンシェルジュ取締役として個人相談を始め、書籍や雑誌・Webでの執筆活動など幅広く活動する。