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「夫婦別財布」でも貯蓄できる! 残し貯め作戦で貯蓄1,200万円を突破
2021.8.18マネー習慣
豊田
サリーさんは2017年にご結婚されてから4年で1,800万円貯められたそうですね。
サリー
夫婦の貯蓄は、結婚後0から始めたのですが、1年目は結婚のお祝い金290万円も含め、600万円以上貯まりました。
家計管理は私が担当しており、毎年3月に、夫へ年間実績を共有しています。
豊田
おひとりで管理しながらも、定期的に情報共有しているのは素晴らしいですね。
豊田
不妊治療でコストがかかりながら、年間300万円超のペースで貯蓄されていますが、どんな工夫をされていますか?
サリー
先取貯蓄、週単位で献立を立てる、お弁当づくりの3つです。
外食もしますが、料理は好きですし、健康のためにもできるだけ自炊をするようにしています。朝食は食べないことも多く、食費は夕食や私のお弁当分で週5,000円くらい。夫は社員食堂で昼食を食べるので、その分、おこづかいを少し多めにしています。
豊田
それでも外食費込みで3万円に抑えられていますね。
サリー
一方で旅行や贈りもの、記念日などに使うお金はおしみません。メリハリが大切だと思うので、貯蓄はするけど楽しみも我慢しない、というのがモットーです。不妊治療中でもあり、気晴らしも大事だと思っています。
豊田
素敵な心がけですね。リフレッシュをしっかりすることも大切だと思います。
豊田
資産形成としては、つみたてNISAを行っていらっしゃいますね。
サリー
はい。独身時代に、つみたてNISAのセミナーへ偶然参加したことをきっかけに、結婚直前から始めました。バランス型を中心に5、6本のファンドで運用しています。
豊田
現在、資産のなかで預金が多めになっているので、旦那さんにもつみたてNISAを始めてもらうのも良いでしょう。
豊田
インスタグラムに「不妊治療がなかったら貯蓄は2,000万円を超えていたはず」と書かれていましたね。
サリー
2018年から治療を始め、すでに400万円は使ったと思います。以前は年収制限で助成金が出なかったため、全額負担していました。
豊田
高度不妊治療にかかる費用は通算で平均190万円以上という調査データ※もありますね。大変なのはやはり費用面でしょうか。
※ 出典:妊活ボイス 『「妊活・不妊治療」に関するインターネット調査2017年』
サリー
もちろんそれもありますが、お金をかけても結果が出るかわからない、という精神的な部分と仕事との両立ですね。
婦人科の先生から急に「2日後に来てください」と連絡があることもあるため、仕事の打ち合わせなど予定が入っていると調整が大変です。
豊田
それは大変ですね。働き方を変えることも検討されているのでしょうか?
サリー
いえ、今は同僚に助けてもらって乗り切っています。
実はライターの副業もしていて、仕事と不妊治療との調整が難しくなって仕事を辞めるようなことがあった時の助けになればと思って続けているのです。
豊田
先手を打たれているのですね。私のお客さまでも、5年ほど治療をされて授かった方がいますが、気持ちを切替えながら治療されていたようです。サリーさんもムリをしないのが大切ですね。
ところで、特定不妊治療費助成(体外受精および顕微授精)は2021年1月から所得制限がなくなりましたが、負担が軽減しましたか?
サリー
そうですね、1回30万円の助成を受けられるのは助かります。
豊田
ただ助成金がもらえるとしても、後で申請して入ってくるため、資金の準備は必要ですよね。
サリー
我が家はボーナスを貯蓄しておいて、そこから出すようにしています。不妊治療でかかる費用も踏まえて、年間の貯蓄目標も設定しています。
豊田
2022年4月からは、一部の不妊治療が保険適用になる予定ですが、検査や不妊の原因が明らかなものの治療に加え、人工授精や体外受精など、新たに保険対象となる治療の選定や金額などについて検討されています。
ただし、保険診療と自費診療を同時に行うこと(混合診療)は現在認められていないため、診療内容に1つでも自費診療の項目があると、保険適用となるはずの治療についても自費になります。この点は注意が必要です。
サリー
すべての不妊治療が保険適用になるのかと期待していたのですが、そうではないのですね。
豊田
不妊治療をされている方は、授かった場合と2人暮らしを続けた場合の、2つのライフコースが考えられます。
より費用がかかる方に合わせて準備をしておくというのがよいでしょう。つまり、お子さんができた時を前提に準備をするということですね。
サリー
はい。
豊田
お子さんが生まれれば支出も増えますし、教育資金の貯蓄も必要です。さらには、老後資金の準備も並行して始めることになります。
今後の働き方によっては収入が減ることもありますので、晩婚でいらっしゃる方の場合、最低500万円の貯蓄をしておくことがおすすめです。
サリー
子どもができたら、できるだけ一緒にいたいので、育休を長く取り、その間は副業で稼げたらと思っていました。
豊田
収入が下がる分を副業で埋めるのは、良い作戦だと思います。
また、児童手当や高校の授業料無償化といった制度を活用する手もありますが、所得制限があります。サリーさん夫婦の場合、旦那さんの所得が高いので、対象外になる可能性があります。
サリー
児童手当がもらえない可能性もあるのですね。
豊田
今は貯蓄ペースが早いですが、40代以降は親の介護で時間とお金が必要になる場合もあります。余裕をもってお金を準備する必要がありますね。
不妊治療の助成金が増えたとはいえ、経済的な負担は変わらず大きいもの。また、サリーさんは晩婚カップルなので、教育資金と老後資金の準備する期間が重なる点も要注意です。
今ある貯蓄を目的ごとに色分けをして、それぞれどれくらい貯められているのかを整理してみるといいですね。マネープランのバランスを考えながら、つみたてNISAなどの制度も活用して、将来に向けて資産形成を行っていきましょう。
豊田 眞弓(とよだ まゆみ)
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相談診断士。FPラウンジ代表。マネー誌ライター等を経て、94年より独立系FP。現在は、個人相談のほか、講演や研修講師、マネーコラムの寄稿などを行う。大学・短大で非常勤講師も務める。「親の入院・介護が必要になったときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」。