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新NISAの投資シミュレーション!利回りやパターン別で解説
2024.2.1新NISAについて知ろう
2024年から、これまでの一般NISAとつみたてNISAをまとめた「新NISA」が始まりました。新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が設けられており、「成長投資枠」はこれまでの一般NISAを引き継いだ投資枠になります。2つの枠では、それぞれ投資対象となる商品が異なります。[注1]
表1 それぞれのNISAの違い
下の表は横にスクロールできます
一般NISA | つみたてNISA | 新NISA | |
---|---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 40万円 | つみたて投資枠:120万円 成長投資枠:240万円 |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 | 無期限 |
非課税保有限度額 | 600万円 | 800万円 | 1,800万円(内数として、成長投資枠は1,200万円) |
投資対象商品 | 株式・ETF・REITなど | 長期の積立て・分散投資に適した一定の投資信託 | つみたて投資枠:長期の積立て・分散投資に適した一定の投資信託 成長投資枠:株式・ETF・REITなど |
新NISAの「つみたて投資枠」はつみたてNISAを、「成長投資枠」は一般NISAを継承しています。
これまでのつみたてNISAと一般NISAには、それぞれ非課税保有期間に上限がありますが、新NISAは無期限です。
これまでのNISAでは、非課税保有期間の終了時に「売却するか否か」を考える必要がありましたが、新NISAでは非課税期間を考慮する必要がありません。これまでのNISAと比べて新NISAは、より長期的な資産運用が可能になったといえるでしょう。
新NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」という、2つの非課税投資枠が存在します。
これまでのNISAは、「一般NISA」と「つみたてNISA」のうちどちらか片方を選択する必要がありますが、新NISAでは一つのNISA口座で両方の枠を併用できます。
成長投資枠の投資上限額は、年間240万円で総枠1,200万円です。一般NISAの倍となる非課税保有限度枠が設けられており、より多くの資金を非課税で投資できることとなります。
つみたて投資枠の投資上限額は、年間120万円で総枠1,800万円です。これまでのつみたてNISAの2倍以上の枠となっているため、大幅な拡充と言えます。
上記のように、投資スタイルに合わせて枠を柔軟に利用できる点も、新NISAの特徴です。
成長投資枠で投資できる金融商品は、上場株式や投資信託、REITなど幅広いです。一方で、つみたて投資枠で投資できる金融商品は、金融庁が「長期の積立て・分散投資に適した」と認めた一定の投資信託に限られます。[注2]
「投資信託だけでなく、個別株式にも投資したい」と考えている方は、成長投資枠を有効活用するとよいでしょう。
このように、つみたて投資枠と成長投資枠では、投資対象が異なる点に留意しましょう。
新NISAの非課税保有限度額(総枠)は1,800万円です。1,800万円のうち、成長投資枠を利用できるのは1,200万円までとなっています。
なお、非課税保有限度額1,800万円に達した場合でも、口座内で金融商品を売却すると買付額分の枠が翌年に復活します。
例えば、100万円で購入した金融商品を150万円になったタイミングで売却した場合、翌年に100万円の非課税枠を再利用することが可能です。
これまでのNISAではできなかった非課税枠の再利用ができるようになる点も、大きな改善ポイントと言えます。
新NISAの成長投資枠で購入できる商品は、これまでの一般NISA同様に、さまざまな金融商品が対象です。
「個別株に投資して配当金や株主優待を得たい」「最近話題の米国株に投資してみたい」と考えている方は、成長投資枠を積極的に活用しましょう。
新NISAの成長投資枠で購入できる対象商品数はつみたて投資枠よりも多くなっています。つみたて投資枠の対象商品に加えて、一定の条件を満たした投資信託、上場株式などの個別銘柄やREITも購入が可能です。
成長投資枠は、商品の選択肢が多いからこそさまざまな活用方法が考えられます。以下で、新NISAの成長投資枠の活用方法について解説します。
成長投資枠では、つみたて投資枠の対象商品も購入できます。従って、つみたて投資枠の年間投資額上限を超えてさらに購入したい場合、成長投資枠でも同じ商品の積立投資が可能です。
つみたて投資枠の年間投資額上限は120万円であるため、毎月10万円積立てると年間投資上限に達します。例えば、つみたて投資枠の対象商品を毎月15万円積立てたい場合、つみたて投資枠で毎月10万円、成長投資枠で毎月5万円に分けて運用する方法があります。
つみたて投資枠と同じ商品を成長投資枠で購入することで、つみたて投資枠の年間投資額以上に積立投資の拡充が可能です。
投資信託だけでなく、つみたて投資枠の対象外である個別株式やREITにも投資したい場合は、成長投資枠を活用しましょう。一度に大きな金額を投資することが難しい場合は、積立投資も可能です。
非課税期間が制限されているこれまでのNISAでは、年間投資上限まで投資を行わなければ非課税投資枠を使い切れません。しかし新NISAでは、非課税期間が無制限なので、積立期間を長くすれば、運用中に積立額を自由に調整しても非課税枠を使い切ることできます。
ある程度まとまった資金がある場合は、成長投資枠で一括投資が可能です。購入したい金融商品があり「今が買い時」と判断した場合、一括で240万円分購入できます。
新NISAは非課税期間が無期限のため、これまでのNISAのような非課税期間を気にせず値上がり(株価の上昇)をじっくりと待つことが可能です。
手持ち資金に十分な余力があり、リスクとリターンを理解できる方は、成長投資枠を活用した一括投資も一つの投資手法となります。
ただし、一括投資をすると手元資金が減るため、その後に「買い時」と思われる相場が来たときに「一括投資しなければよかった」と後悔するリスクがあります。
また、一括投資をした後に投資した資産の価値が下落すると、大きな含み損を抱えるリスクも考えられるでしょう。将来の相場を予測することはできないため、一括投資にはリスクが伴う点を押さえることが大切です。
リスクを抑えるために、一括投資を「一部」行うことが考えられます。例えば、手元資金が200万円あるときの配分例は以下のとおりです。
一括投資にも興味がある場合は、自身の投資経験やリスク許容度などを鑑みて、いくら投入するか判断しましょう。
つみたて投資枠の他にアクティブな投資を行いたい場合は、一つの選択肢として一括購入を検討してみてはいかがでしょうか。
「成長投資枠とつみたて投資枠に振り分ける金額の配分は、どのように決めればいいんだろう?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
投資に充てる金額と資産運用の目標金額を決めて、それぞれの枠にいくら資金を投入するか決めるとよいでしょう。また自分自身の投資経験を踏まえた、無理のない運用が大切です。
また、必ずしも2つの枠を併用する必要はありません。1,800万円の非課税限度枠を、全てつみたて投資枠として利用できます。例えば、「自分で個別の企業について調べるのは面倒」という方は、成長投資枠を使わずにつみたて投資枠で投資信託をコツコツ積立てて購入するのも一つの方法です。
一方で、「投資信託の積み立て購入を行いつつ、自分自身でも個別株式を購入して高いリターンを狙いたい」という場合は、成長投資枠にもいくらか資金を振り向けるとよいでしょう。
ただし、投資にはリスクが伴うということは忘れないようにしましょう。例えば、生活費を投資に回した後に下落局面を迎えると、普段の生活に悪影響が出てしまうかもしれません。成長投資枠を活用する場合でも、つみたて投資枠を活用する場合でも、余裕を持った資産形成を行うことを意識しましょう。
成長投資枠はつみたて投資枠に比べ、商品の選択肢が多く年間投資枠が大きいため、さまざまな活用方法が考えられます。
自由度が高いからこそ、活用方法に迷ってしまう方も多いかもしれません。成長投資枠の特徴をよく理解し、ご自身の投資余力やリスク許容度などを踏まえて、商品選択をすることが重要です。
どのような目的でNISAを活用し、何に投資するかをじっくりと検討し、つみたて投資枠と成長投資枠の活用方法を決めていきましょう。
柴田充輝
大学卒業後、不動産業界で6年間勤務。その後保険業界に転職し、FP1級資格を活かして家計相談や保険の見直し等を行っている。保険業とともに、金融関係の記事を多数執筆。資産運用やクレジットカード、カードローンなど、これまでに1,000記事以上の執筆経験がある。