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2019.10.9となりの資産運用
投資で損をした話は教訓としてよく語られますが、実際のところ投資をしている人がどれくらい得しているのか、なかなかわかりづらいものです。
今回のアンケートでは、得した人が約64%。損をした人が約36%で、得をした人が約1.5倍も多いという頼もしい結果となりました。
また、損失額のなかで一番多かったのが「25万円未満」。一方、利益も同じように「25万円未満」が多いという結果でした。資産運用をしている人の多くは、生活が破綻するほどの損をしているわけではなく、むしろしっかり利益が出ている人が多いということがわかります。
アンケートの結果、現在資産運用を行っている人は10年以内の運用歴の人が多く、その人たちはリーマンショック後(2008年)からのデビューであったことが予想されます。また、現在利用している投資商品に関しては、iDeCoやつみたてNISA、投資信託で運用している人が多く分散投資ができたこともプラスに働いていると言えます。
資産運用未経験者は「1円たりとも損はしたくない」と考えている人が約34%。「投資は怖いのでやりたくありません」という声が聞こえてきそうです。一方、投資経験者では17%程度ですから、やはり未経験者ほど、投資商品の下落に対する許容度は低いと言えそうです。
リスクというのは、収益と損失の振れ幅のことを指します。下がるのも上がるのもリスクなのです。
投資経験者は、下がる可能性と同じように、上がる可能性もあることが分かっているのです。だから、ある程度の下落も想定内として投資をすることができるのでしょう。
長い人生の一時期、損失を出していたとしても、その後利益が出るケースが多々あります。できるだけ、損失を少なくする方法は、投資先を分散すること。例えば、株だけでなく、債券も買うことで、大きな値動きが抑えられドキドキを減らせます。1つの投資信託に、株も債券も入っているバランス型ファンドならば、株だけのファンドに比べて、ドキドキはぐっと少なくなるでしょう。
一時の損失が、3,000円くらいまで我慢できるのであれば、1万円から投資デビューしてみるのもよいでしょう。
「預金しかしていない」「あまり損をしたくない」という人におすすめなのは、「損をする」という下落時のドキドキを「ワクワク」に変える投資方法です。
それは、iDeCoやつみたてNISAなど毎月決まったお金を投資する「積立投資」。
この連載でもご紹介しましたが、私のiDeCoは11年で375万円の掛け金が約627万円になりました。何もしないで、およそ300万円も増えたのです。
11年の間にはリーマンショックもあったので、当然暴落しましたが、あまりドキドキせず、むしろワクワクしていました。なぜなら、下落時は値下がりするということですから、バーゲンのようなもの。同じ投資額でも投資信託をたくさん買えるのです。バーゲンでたくさん買った投資信託は、価格が元に戻る前からプラスになりました。
もし下落したとしても「たくさんの投資信託が買える!」とワクワクでき、預金よりもお金が増える可能性がある「積立投資」は、人生100年時代の必勝アイテムだと私は思っています。
2019年10月からの消費増税で、支出はこれまでより増えることが予想されますが、節約にも限界があります。物やサービスの値段が上がると、預金しているお金の価値は下がります。預金だけしていることが、リスクになっていないか改めて考えてみてください。
山口京子(やまぐちきょうこ)
ファイナンシャルプランナー
幸せなお金持ちになるアドバイスが人気。フリーアナウンサーから、お金好きが高じFPに。証券外務員、生命保険、損害保険、宅地建物取引士の資格も取得。完全顧客主義のワンストップサービスを提供する。「白熱ライブビビット」「ミヤネ屋」「有吉ゼミ」「がっちりアカデミー」などに出演。お金を貯める・殖やす楽しさを、満足度100%のセミナーで伝える。 オフィシャルサイト:https://kyoko-yamaguchi.com