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人生最初の「貯めどき」! 独身・DINKsのお金の色分け術
2022.4.27 お金の色分け
30〜40代の子育て世代は、出費が目白押しです。なかでも、まとまったお金が必要になるのが「教育資金」「住宅資金」「老後資金」の3つ。これらは「人生の3大支出」と言われ、人生のなかで優先的に考えておきたい支出になります。
教育資金については、子どもの人数や進路によってもかかる金額が変わります。夫婦で話し合って計画を立てておきましょう。
教育資金のうち、高校までは毎月の家計から補っていくのが理想的です。
そして、大学に進学する場合は、高校3年生から大学入学時にかけて出費がピークを迎えます。入学金や受験費用など計画的にお金を準備できるよう、子どもが小さいうちから資産運用で備えておくのがおすすめです。
住宅資金について、物件を購入する場合は頭金+諸費用・手数料(物件価格の5〜10%程度)を用意しておく必要があるでしょう。いつ、どれくらいの価格の物件を購入する予定かを考えて、お金を貯める計画を立てておきましょう。
老後資金について、「まだ先のことだから今は考えなくても良い」と思うかもしれません。しかし、教育資金にお金をかけすぎて、老後資金の準備ができなかった……ということが起きる可能性も。そうならないよう、早めに計画を立てておくと安心です。
この3大支出を念頭に置き、数年以内に必要になるお金はもちろん、将来のことまで考えて資産形成の計画を立てておくことが大切です。
子育て世代に続々と訪れる出費に備えるために、ライフプランをしっかりと立てたうえで、お金の色分けをしてみましょう。
お金の色分けをすることで、資産運用に回すことができるお金はいくらになるのかも見えてきます。
まずは、自分の持っているお金を以下の3つに分けて考えてみましょう。
いざというときのために、ある程度の期間分を確保しておく「予備の生活費」です。
会社員など世帯の収入が安定している場合は、家族の生活費の3〜6ヵ月分、自営業やフリーランスなどで世帯の収入が不安定な場合は1年分が目安です。
さらに今後3〜5年程度で「使いみちの決まっているお金」について計画を立てましょう。
30〜40代の子育て世代であれば、子どもの入学・卒業準備、車の購入・買い替え費、旅行代、住宅購入費や引っ越し費用、賃貸の場合は契約更新費、冠婚葬祭のお金などが挙げられます。
これらのなかでも特に出費が大きいのが住宅費と教育費です。住宅費は持ち家か賃貸かによって年間では大きな差はありませんが、教育費は公立か私立かで100万円単位の差が出ることもあります。子どもの将来について考えると同時に、お金のことも考えましょう。
今ある資産から@Aを差し引いたお金が、「当面使う予定のないお金」です。今後のライフイベントをさらに充実させるために準備するお金と言えます。
また、@Aが確保できていれば、今後毎月貯蓄にまわすお金やボーナスなどもこのB「当面使う予定のないお金」に当てはめることができます。
預金から@Aを引いた10万円に加え、毎月17万円程度は、「当面使う予定のないお金」と捉えることができるでしょう。このお金を活用して、どう資産運用をはじめるか考えることがポイントになります。
30〜40代の子育て世代は、出費が続く年代です。
資産運用では、基本的には長期でお金を育てていくという視点を持つ一方で、お金が必要になったときや予期せぬ出費があったときに、現金化しやすいかどうかも視野に入れておきたいところです。
おすすめなのは、毎月一定額を投資信託で積み立てる、積立型の投資信託です。
たとえば、「当面使う予定のないお金」のうち、5割はリスク資産の投資信託で運用。
「当面使う予定のないお金」が毎月17万円あるなら、そのうち8〜9万円は安全資産である積立型の定期預金や普通預金で貯めていきつつ、8〜9万円をリスク資産である投資信託の積立を行うのがおすすめです。
株式相場などマーケット環境が悪化した時に、この安全資産である普通預金を活用して、将来のためにリスク資産の買い増しも一手です。
購入する投資信託を選ぶ際は、「株式型の投資信託を活用してある程度リスクを取りながらリターンを期待する」、「世界や日本の株式などに分散投資をすることでリスクを抑える」といった考え方をすると良いでしょう。
予期せぬ出費があったときのために備えたい場合は、株式型の投資信託に比べるとリスクが小さい、株式や債券を組み合わせたバランス型の投資信託も選択肢になります。
「当面の生活費として確保しておくお金」や「使いみちの決まっているお金」の準備ができていて余裕があれば、リスク資産の一部を投資信託の一括投資や個別株での投資をしてみるという方法もあります。
どれくらい家計に余裕があるのかで、リスクの取り方を変えていくと良いでしょう。
共働きであれば、夫婦それぞれが、税金面で優遇のあるつみたてNISAとiDeCoを組み合わせ、投資信託を積み立ててみましょう。
つみたてNISAをはじめつつ、余裕があればiDeCoもはじめてみましょう。専業主婦やパートの場合、所得控除を最大限に受けられませんが、運用益が非課税となり、再投資も可能なため複利効果が得られます。
たとえば、毎月9万円を投資信託の積立にまわすなら、まずは、現金化しやすいつみたてNISAで、夫婦それぞれが毎月3万3,000円、計6万6,000円を積み立てます。
途中で子どもの教育資金を捻出する必要があれば、積み立てた投資信託を売却して充てることもできます。
▼つみたてNISAについてもっとくわしく!
つみたてNISAとは?
一方で、老後にも備えておきたいので、夫婦それぞれが毎月1万2,000円、計2万4,000円は、iDeCo(または企業型DC)で積み立てて、定年後の将来に備えてはいかがでしょう。
家計に余裕がある状態で資産運用にまわせるお金が増えていけば、徐々に金額を増やしていっても良いでしょう。
子育て世代は、ココがポイント!
住宅購入資金や教育費など、30〜40代の子育て世帯は、出費が目白押しです。人生の三大支出を念頭に置き、将来のことまで考えて資産形成の計画を立てておきましょう。
子育て世代では、生活費6ヵ月〜1年分の「当面の生活費として確保しておくお金」、さらに子どもの入学・卒業準備、車の購入・買い替え費、旅行代、住宅購入費や引っ越し費用、賃貸の場合は契約更新費など、「使いみちの決まっているお金」の目処が立ったら資産運用を検討してみましょう。
子育て世代の資産運用では、長期でお金を育てていくという視点を持つ一方で、お金が必要になったときに、現金化しやすいかどうかもポイントです。税金面でメリットのある非課税制度でも、現金化しやすいつみたてNISA、老後に備えるiDeCoまたは企業型DCを使い分けるのがおすすめです。その際は、株式型の投資信託でも、世界や日本の株式などに分散投資をする、バランス型の投資信託でリスクを抑えるといった運用をしてみてはいかがでしょう。
次回は、「定年前後」のマネープランの考え方やおすすめのポートフォリオ、さらに上記の制度などを活用した資産運用の設計の仕方などを紹介していきます。
野原 亮(のはら りょう)
確定拠出年金創造機構 代表
明治大学政治経済学部経済学科卒業。現東証1部上場の証券営業・株式ディーラーとして従事。その後、営業コンサル会社を経てFPとして独立。中小企業の確定拠出年金を中心とした福利厚生の社外担当として活動、上場企業等の金融研修なども担当している。証券外務員1種、ファンナンシャル・プランナー(AFP)、企業年金管理士(確定拠出年金)、公的保険アドバイザー。書籍に『スピードマスター 1時間でわかるiDeCo〜50代からの安心投資』(技術評論社・2020年)『ポイントですぐにできる!貯金がなくても資産を増やせる「0円投資」』(日本実業出版社・2021年)がある。
個人Webサイト:https://fpsdn.net/fp/rnohara/
事務所Webサイト:https://kakuteikyoshutsu.com