Nさん一家のプロフィール
慎二さん(夫・仮名)…39歳、クレジットカード会社勤務
佳乃さん(妻・仮名)…39歳、商社でパート勤務
葵ちゃん(長女・仮名)…10歳
勇人くん(長男・仮名)…6歳
2017年、山手線沿線に戸建て住宅(上物のみ)を4,900万円で購入。
2020.12.23お宅の冷蔵庫
Nさん一家のプロフィール
慎二さん(夫・仮名)…39歳、クレジットカード会社勤務
佳乃さん(妻・仮名)…39歳、商社でパート勤務
葵ちゃん(長女・仮名)…10歳
勇人くん(長男・仮名)…6歳
2017年、山手線沿線に戸建て住宅(上物のみ)を4,900万円で購入。
――Nさんご夫妻はこれまでに2回、住まいを購入されているそうですね。
慎二さん
「私たちは2007年に結婚し、3年後の2010年に最初の住まいを購入しました。一生住むつもりはなく、売却することを前提にしていたので、『値下がりしない』『すぐに売れる』という条件で探し、山手線沿線の駅近くにある戸建て住宅に決めました」
佳乃さん
「夫は住まいに対するこだわりがあったようですが、私は特になかったので、すべて夫に任せていました」
慎二さん
「当時、不動産会社出身の知人に何度も相談しました。家の造りに関する情報はもちろん、不動産仲介に関する情報も教えてくれて。アドバイスをもとに、競売物件にあたったこともあります」
高山先生
「マイホーム購入のために競売物件をチェックされる方は、なかなかいらっしゃいませんよ。計画的に物件を探されたのですね」
慎二さん
「先生がおっしゃるとおり、僕は計画立てて物事を考えることが好きなほうだと思います。売却することを考えると、土地付きの戸建て住宅の方が、マンションより資産価値が高いと思いました。結果、売却で利益を出すことができて、大成功です」
――そんなお二人が、住まいの買い替えを考えるようになったきっかけは?
佳乃さん
「私の両親と同居する話が出たのが、きっかけです」
慎二さん
「妻の実家が最初の住まいとそう遠くない山手線沿線にあり、そこにマイホームを建てることになりました。義理の両親と私たちの住まいを別々に建てると、将来的に相続税が発生するため、その対策も考えて二世帯住宅を選びました」
――2軒目のマイホームに込めたこだわりは?
佳乃さん
「私は最初の住まいで、1階で洗濯をして、3階で洗濯物を干して……という階段の上り下りに疲れてしまったので、水平方向に広い家が良いなぁと」
慎二さん
「この時はインテリアや住まいの情報センターを運営している会社に、コンサルティング料60万円を払って、大手ハウスメーカー3社から設計の提案をいただきました。結果としては、これが大成功でした」
――理想の間取りを提案してもらえましたか?
慎二さん
「間取りの提案もそうですし、ガス設備にかかる手数料を大幅に削減することもできました。また、注文住宅の場合、ハウスメーカーと1年近く付き合っていくことになるので、担当者の人柄も重要です。とくに二世帯住宅の場合、2つの家族が同じ建物に住むので、両者が納得することが大切だと思うんです。第三者として間に入ってくれる人がいたことで、義理の両親も十分に納得した上でマイホームを建てることができました」
佳乃さん
「私たちが選んだ間取りは、1階に両親の住居スペース、2階に私たちの住居スペースを配置したプランです。2階に上がって廊下を突き進むとリビングルームがあって、その先に子どもたちの部屋が配置してあります。家族の会話を大切にしたい私にとって、理想の間取りでした」
――では、いよいよ冷蔵庫を拝見させてください。食材がぎっしりですね!
慎二さん
「以前は自宅近くのスーパーで食材を購入していたのですが、最近は車で会員制の大型スーパーに出かけています。大容量なので最初は使いきれるだろうかと不安でしたが、よくよく考えるとスーパーよりもかなり安く買えます。特にブリとホタテが安いですね」
佳乃さん
「野菜などは宅配サービスも利用しているので、最近はほとんどスーパーに行かなくなったんですよ」
――お料理は佳乃さんが担当しているのですか?
佳乃さん
「はい。会員制の大型スーパーに行った日は大変です(笑)。大容量パックの食材を購入して、食べやすい大きさに切って一食分ずつ冷凍保存バッグに入れて保管して……。それだけで1日が終わってしまうくらいです(笑)」
――ご両親と食材を共有することもありますか?
佳乃さん
「もちろん。両親におすそ分けすることもあるし、逆におすそ分けしてもらうこともあります。炭酸水メーカーなど、調理家電も一部共有しています」
高山先生
「会員制大型スーパーや食材宅配システムを上手に利用して、計画立てて食材を無駄なく使う。さらに、二世帯住宅の利点を生かして、調理家電の共有も。こうして伺っていると、食生活にもNさん一家らしい『計画性』が出ていますね」
――では、ここからはNさん一家の家計に切り込んでいきましょう。月々の食費を教えていただけますか?
慎二さん
「妻と私の外食費も含めて、10万円くらいです。食材と日用品は会員制大型スーパーでまとめて購入しているので、1回の買い物で2万円くらい使いますね」
――ざっと見た感じ、食費が高いように感じられますが、高山先生いかがでしょうか?
高山先生
「お二人の外食費を含めた額のようですので、許容範囲です。慎二さんの外食代などは、お小遣いから出すケースも多いですが、お小遣いは1万円となっていますので。ただ、保険料が少々高いのが気になりますね」
慎二さん
「家族の保険は、ほとんどが生命保険会社に勤めている私の知り合いにおまかせしているんです。私は収入保障保険、妻は医療保険、長女は学資保険、長男が低解約返戻金型終身保険を契約しています。養老保険にも入っていて、最近、見直しを図っています」
高山先生
「保険会社によって得意分野が異なるので、必要な保障に合わせて保険会社を選ぶのも良い方法ですよ。Nさん一家は一つの生命保険会社におまかせしているとのことなので、担当の方とのご関係もあるかと思います。担当の方とよくご相談しながら見直しをしてくださいね」
高山先生Point
各保険をそれぞれ得意な保険会社で契約するのが理想。でも、担当者との関係性も大事に。
――住宅ローンについても教えていただけますか?
佳乃さん
「両親名義の土地にマイホームを建てたので、購入費用は上物のみになります。4,900万円で、そのうち900万円を両親が負担してくれました。住宅ローンは月々10万円です」
慎二さん
「最初の10年間、住宅ローンの金利が安くなる『フラット35S』で契約しました。私たちが住まいを建てた2007年は、金利が最も低かった時期。最初の10年の金利は0.64%です。この間に繰り上げ返済をすれば、その後の支払額を減らせます。貯蓄だとお金は増えませんし、投資よりも繰り上げ返済が堅実だと考え、繰り上げ返済を優先させています。この4年間で1,000万円返済し、住宅ローンの残高を2,900万円まで減らすことができました」
高山先生
「住宅ローンに関しても十分に調べて、勉強されていますね。『繰り上げ返済はいつやってもいいだろう』という方もいらっしゃいますが、実はNさん一家のように『フラット35S』でローンを組んでいる場合など、早い時期にやった方がお得になる場合が多いんですよ」
慎二さん
「株式投資に興味はありますが、子どもが大学に行くまでは住宅ローンの繰り上げ返済を頑張ろうと、夫婦で話しあって決めました」
高山先生
「賢い選択ですね。資産運用で利益が出るかどうかは、市場の状況によりますが、住宅ローンを着実に返済していくことで確実に負債は減りますからね」
高山先生Point
先のライフプランを見据えた上で、投資より先に繰り上げ返済を行うのは◎。ただし、手元資金を崩しすぎないように注意。
――家計管理は慎二さんが担当されているとのことですが、使用しているツールはありますか?
慎二さん
「僕はクレジットカード会社に勤務している関係で、カードをたくさんもっているんです。ほとんどカード払いなので、カードの明細を家計簿代わりにしています」
佳乃さん
「私はずっと現金で支払っていたのですが、コロナ禍を機にキャッシュレス派に移行しました。そうしたら、本当に楽でびっくりしました」
――新型コロナウィルスの感染拡大により、家計に影響は出ましたか?
慎二さん
「実は、2020年1月に現在の会社に転職しました。その直後に新型コロナウィルスの感染が拡がり始めたことを考えると、とても良いタイミングで転職できたと感じています」
佳乃さん
「おかげで、家計への影響はほとんどなく済んでいます。しいて挙げると、通信費の見直しが必要なことぐらいでしょうか」
慎二さん
「価格の安いADSLサービスを自宅で利用しているのですが、その分、通信が遅いんです。子どもがオンラインで授業を受けるのを見ていると、今後は通信環境や通信費の見直しも必要かなと思っています」
――今後のことについてもお聞かせいただけますか。
慎二さん
「私はこれまで何度か転職をしていて、会社によって退職金額に差があることに気づきました。資産形成は退職金の額も考慮して考えていくべきだなと思っています。今の会社では、企業型DC(企業型確定拠出年金)に入りました」
佳乃さん
「少額ですが、夫は投資を始めたんですよ」
慎二さん
「いわゆる『ポイント投資』です。証券会社にNISAの口座を開いて、カードの支払いでたまったポイントで日本株や投資信託を購入しています」
高山先生
「ポイント投資は、少額からできるので始めやすいですね。繰り上げ返済が一息ついたら、ぜひ本格的に資産形成に取り組んでくださいね」
慎二さん
「何も知らないまま投資をするのは怖いので、今はポイント投資をしながら、いろいろと調べている段階です。手数料はどのくらいなのか、どのくらいのスパンで売買したらいいのか。今、行っているポイント投資は毎月1,000円くらいなので本当に小額ですが、株の値動きを気にするようになったし、経済の勉強にもなって、それが楽しいですね」
高山先生
「本格的な資産形成に向けて、着々と準備が進んでいますね。退職金を全投資して、それで大きく負けて投資から撤退されてしまう方もいらっしゃるので、慎二さんのように慎重に準備されるのはとても良いことだと思いますよ」
慎二さん
「ありがとうございます。今、貯蓄が700万円ほどあるので、今後はこの額をキープして、超えた分を住宅ローン返済に回していこうかなと思っています。もちろん、子どもの進学次第では、教育費に充てることも考えています」
高山先生Point
投資初心者は、ポイント投資など少額からスタートできるもので感覚を掴むのも手。
――今回、Nさん一家を訪問して感じたのは、計画と準備の大切さです。高額な買い物であるマイホームも、下調べを入念に行い、十分に準備してから購入されていました。
高山先生
「慎重な慎二さんを佳乃さんがおおらかに受け止めていらして、お二人の性格のバランスも良いですね。十分に準備しているからこそ、的確な判断ができるのだと思いますよ。また、決断力の早さも素晴らしいですね」
――確かに。マイホーム購入にあたって、相談料を払って住まいのプロにアドバイスを求めるなど、使うべきところにお金を使う「判断力」にも長けていらっしゃいますね。今年は慎二さんが転職するなど、一つの転機を迎えられたことと思います。お二人のことですから、今後も持ち前の慎重さとおおらかさで目の前の課題を乗り越えていかれるでしょう。
高山先生
「資産形成も含め、いろいろなことに挑戦して、理想の人生を歩んでいってほしいですね」
高山 一恵 (たかやま かずえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)、一級FP技能士。株式会社Money&You取締役。全国での講演活動をはじめ、執筆・マネー相談など、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。
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