Tさん一家のプロフィール
弘樹さん(夫・仮名)…31歳、専門商社勤務
結花さん(妻・仮名)…31歳、人材会社勤務
2020年、埼玉県内に2LDKのマンションを3,500万円(リノベーション代込み)で購入。
2021.1.20お宅の冷蔵庫
Tさん一家のプロフィール
弘樹さん(夫・仮名)…31歳、専門商社勤務
結花さん(妻・仮名)…31歳、人材会社勤務
2020年、埼玉県内に2LDKのマンションを3,500万円(リノベーション代込み)で購入。
――Tさんご夫婦は当初、「賃貸派」だったそうですね。
結花さん
「私も夫も転居を伴う異動のある仕事で、マイホーム購入は考えていませんでした。でも、最近まで住んでいた家の家賃が13万円かかっていて、家計の負担になっていたんです。次第に、賃貸はお金が出ていくだけだし、持ち家も良いかもしれないねと話すようになりました」
弘樹さん
「二人で検討した結果、次の契約更新までにマイホームを購入しようと決めて、住まい探しを始めました」
結花さん
「私たちがマイホームを探し始めたのは2020年の4月で、緊急事態宣言が出された時期と重なっています。自宅待機等で時間に余裕ができたので、物件サイトで情報を集め、解除後に不動産会社を訪問して、勧めていただいた物件を内覧しました」
――予算や場所などの条件は?
弘樹さん
「予算は3,500万円。月々のローン返済が、賃貸の家賃を超えないように設定しました。妻の希望もあって、妻の実家近くで探したのですが、新築マンションだと予算がオーバーしてしまったんです」
結花さん
「私たちが探していたエリアは文教地区で、治安が良いこともあって、新築マンションの相場が高いんです。そこで予算を4,000万円に引き上げ、中古物件を中心に検討していきました」
弘樹さん
「最初に内覧したのが、実は今住んでいるマンションなんです。周辺に学校や市役所、警察署などの公的機関があり、スーパーやコンビニも近く、飲食店も充実していて、かなり好条件の物件だと思いました」
結花さん
「間取りは2LDK+ウォークインクローゼットで、2,800万円と手ごろな値段。その後も複数の物件を見ましたが、結局、最初に内覧した物件が最も条件が良いということになりました。犬を飼いたいという夢があるので、ペット可という点も大きかったですね」
――購入したマンションをリノベーションしたそうですね。
弘樹さん
「570万かけてフルリノベーションしました。ほとんど妻が動いてくれて、僕は妻の意見を聞いて、『いいね』とうなずく程度でした(笑)」
結花さん
「大手住宅設備メーカーのショールームはすべて訪れたと思います。相見積もりを取り、デザインや使いやすさなども考慮して、工事を依頼する会社を決めました。特に大きく変えたのはキッチンと和室、洗面所です。キッチンは掃除のしやすさを考えて人工大理石に。和室は押入れを半分つぶして、クローゼットを設置していただきました。そして、押入れをつぶした分、横の洗面所を広くしました」
弘樹さん
「おかげで、洗面所に置いた浴室乾燥機で衣類を乾かし、そのままクローゼットにスッと移せるようになったんですよ」
――かなり大掛かりなリノベーションだったのですね。
結花さん
「使いやすさやデザインを考えながらのリノベーションは楽しかったです! 本当は壁紙も全部変えたかったんです。部屋ごとにテーマを変えて、それぞれ印象的にしたかったのですが、夫がストップをかけてきました」
弘樹さん
「あまり騒がしいのは良くないなと思って、これだけは阻止しました(笑)。マンションが2,800万円、リノベーション代や手数料なども含めて3,500万円。結局、当初の予算内に収まりました」
――では、いよいよ冷蔵庫を拝見しましょう。中身はあまり多くないみたいですね。
弘樹さん
「今、ちょうど少なくて。野菜室にはワインが入っています。二人ともお酒が大好きなんです」
――お二人でよく晩酌するのですか?
結花さん
「はい。私は外食も多くて、週に2日ほど仕事仲間と飲みに行きます。週末も必ず1回は夫と外食しています。それ以外は自炊しています」
弘樹さん
「良く飲むお酒は5リットルの大ボトルを買って、通販で購入したディスペンサーをつけて使っています。冷蔵庫の氷だけでは足りなくなるので、お酒を飲む用に製氷機も購入しました」
――冷凍庫には小分けしたお肉がたくさん入っていますね。
結花さん
「最近、節約を頑張っているんです! 近くのスーパーはお肉が高めなので、毎週末に、自転車で20分かけてお手頃価格のスーパーまで買い出しに行っています。野菜は近くのスーパーで安売りのものを中心に購入。これでだいぶ食費が節約できています」
弘樹さん
「鍋パックもストックしてあるよね」
結花さん
「あらかじめ野菜をカットして、冷凍庫に保存しておくんです。そのまま鍋に入れるだけでいいので、疲れて料理が面倒になったときに重宝しています」
高山先生
「月々の食費は2万円と、かなり低く抑えていますね」
弘樹さん
「ただし、外食費は別です。僕たちは食費と住宅ローン、リフォームローン、マンション管理費と水光熱費を夫婦共通の口座で管理しているんです。それぞれ8.5万円ずつ、計17万円でやりくりしています」
結花さん
「平日のランチ代や飲み代などの『外食費』や、日用品、通信費、保険代などは各自で管理しています」
――高山先生、外食費が少々高いような気がしますが……。
高山先生
「確かにかなり高いですね(笑)。でもお酒好きのご夫婦ですし、まだお若いですからね。ただし、今は良いですが、将来子どもは何人くらいを予定しているか、子どもが生まれた場合、教育費をどれくらいかけるかなどで、今後のマネープランが変わってくると思います。生活環境が変化した場合には見直しも必要ですね」
――突出しているのは外食費くらいで、他は低めに抑えられています。Tさんご夫婦にとって、バランスの良い割合なのかもしれないですね。
弘樹さん
「実は最近、保険の見直しをしたばかりなんです。生命保険と年金積立で月に2.5万円払っていましたが、ネット動画などでお金のことについて勉強しているうちに、自分には過分な保障のような気がしてきて。現在は県民共済に入っています」
高山先生
「弘樹さんがおっしゃるように、必要な保障を見極めて保険の見直しをするのはとても良い選択です。保険料は固定費ですから、削減できると節約効果は高いですね。保険の仕組みは難しいので、わからないことがあったらFPや金融機関などに相談してみてくださいね」
――お二人は家計簿アプリなどのツールを利用していますか。
弘樹さん
「二人とも銀行のアプリはよくチェックしていますが、家計簿アプリは特に使っていないんです。共通の口座で管理している費目以外は、ほとんどどんぶり勘定ですね」
結花さん
「得したいという気持ちはあるので、ふるさと納税などは活用しているんですけどね……。今はコロナ禍で控えていますが、以前は年に3〜4回は旅行に行っていました。私はマンガも好きで、アプリに課金し過ぎてしまって赤字になる月もあります。赤字分はボーナスで補填しています。できれば今の生活を維持したいのですが、それだと貯蓄ができない。だから、もっとキャリアを積んで、年収がアップしてからでないと子どもはもてないねと、二人で話しています」
高山先生
「そんなことないですよ。いずれお子さんが生まれることも想定して、少しずつ貯蓄体質に変えていけばいいのですから」
結花さん
「でも、産休・育休中は年収が下がってしまいますよね」
高山先生
「そうですね。だからこそ、長期的に資産形成の計画を立てることが大切です。共働き世帯の場合、『お金の貯め時』が大きく3回あります。1回目はお子さんがいらっしゃらない時、2回目はお子さんが小さい時、そして最後の貯め時は、お子さんが巣立ってから。つまり、お二人にとって、お子さんがいない今が貯め時なんですよ」
弘樹さん
「そうなんですね……! 目安となる貯蓄額はありますか?」
高山先生
「共働き世帯の場合は、手取り金額の2割が目安です。5年続ければ、年収分が貯まることになります」
弘樹さん
「僕たちの場合は、一人当たり月に約6万円貯める必要があるということですね」
高山先生
「具体的な将来のプランに応じて貯蓄額を決めるのもいいですね。例えば、『2年後に子どもがほしいね。一時的に収入が減ることも想定して、これくらい貯めておこう』といった具合に。目標を定めて、そこから試算すれば、目安となる月々の貯蓄額が見えてきます」
高山先生Point
子どもがいない間は絶好の貯め時! 手取り金額の2割を目指して貯蓄しよう。
結花さん
「目標を明確にすることが大切なんですね」
高山先生
「そうですね。途中経過も見えやすくなります。目標を立てるのが難しく感じたら、自動積立などを活用して先取り貯蓄がオススメです。そうすれば、先取り貯蓄を除いた額で生活するようになりますよ。結花さんの持株会は天引きとのことで、いいと思います。ただ、投資先が偏ってしまうので、企業型DCも設定してバランスをとるといいかもしれません」
高山先生Point
勤め先の持株会は、ポートフォリオの偏りに注意。NISAやiDeCo、企業型DCでバランスをとろう。
――二人は、今後について考えていることはありますか。
結花さん
「できれば、2年後くらいに子どもを産みたいですね。私の実家が近いので、親に助けてもらいながら仕事と子育てを両立していくつもりです。今のマンションに生涯住むことは考えていなくて、収入がアップしたらもう少し大きな家に買い替えたいねって話しています」
弘樹さん
「私は夢みたいな話ですが、いつかタワーマンションに住んでみたいんです……(遠い目)」
結花さん
「夫がタワーマンションに住みたいのは、『庭でバーベキューしたい』という単純な理由からなんです。大きなマンションだと、共用スペースでバーベキューができたりしますよね。憧れがあるみたいなんです。私は反対ですが(笑)」
高山先生
「でも、イメージを抱くのは良いことですよ。モチベーションがあるかないかで、『がんばって稼ごう』という気持ちも変化しますから」
結花さん
「先生にいろいろとアドバイスいただいたおかげで、貯蓄のイメージができあがってきました。私たちは新婚旅行に行けていないので、まずは新婚旅行貯蓄がしたいです」
高山先生
「素敵な目標ですね。まず1つ目標を立てて貯蓄することで、『貯蓄の習慣』『貯蓄の思考』が身につきます。貯蓄体質を目指して、一歩ずつがんばってくださいね」
高山先生Point
まずは小さくてもいいので目標を立て、その実現に向けて貯蓄することで、貯蓄体質になれる!
――昨年結婚したTさんご夫婦は、「使ってばかりで、貯蓄ができない」と嘆いていましたが、一方で中古マンションをお手頃価格で購入してフルリノベーションしたり、保険の見直しをしたりなど、賢いお金の使い方をしている印象を受けました。
高山先生
「少しずつ、貯蓄体質に移行しているのかもしれないですね」
――確かに。結花さんは会社の持株会積立をしていますし、弘樹さんもこの秋からつみたてNISAを始めたそうです。
高山先生
「今は結婚して間もないですし、お子さんもいらっしゃらないので、貯蓄をしつつ、お二人の生活を楽しむことを忘れずに過ごしてもらいたいですね」
――そうですね。二人の生活は始まったばかり。高山先生もおっしゃってくださったように、今の生活を楽しみながら徐々に貯蓄体質に移行していく方法が、二人に合っているのかもしれないですね。
高山 一恵 (たかやま かずえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)、一級FP技能士。株式会社Money&You取締役。全国での講演活動をはじめ、執筆・マネー相談など、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。
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