バリバリ働いていたサウナ女子さんが、サウナにはまった理由

現在は会社員ながらフルリモート・フルフレックス

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サウナ女子さんは、女性にとって敷居の高かったサウナの魅力をSNSでつぶやき続け、サウナにはまる女性を急増させた一人。ご自身は何がきっかけでサウナにはまり、現在のような働き方にたどり着いたのでしょうか。サウナ女子さんのキャリアをひも解いてみましょう。

大学を卒業したサウナ女子さんは広告系の会社に就職します。

「完全実力主義の会社で待遇も良く、成果を出せば出しただけ給料が上がるシステムでした。私は、新サービスを自分で企画してクライアントに提案するということを繰り返していて、周りから見たらちょっと変わった社員だったかもしれません」

そんな実績を買われ、入社2年目に新規事業部に異動。

「『何をやってもいいよ』と言われて異動したのですが、本当に好き勝手にやらせてもらえて、楽しかったですね。今、世の中で何が流行っているか調べ、調査結果をもとに新サービスの企画を考え、企業のコンサルティングをする。そんなことを何度も繰り返しているうちに、マーケティングの知識やノウハウがついたように思います」

バリバリ働いていたサウナ女子さん。いくら若いとはいっても、働きすぎて疲れたりしなかったのでしょうか?

「確かに少し疲れていましたね。出張も多くて、国内外のあちこちに行っていました。ストレスもあって、飲み歩きが趣味のようなものでしたが、サウナに出逢って、人生の楽しみがさらに増えました。友人に誘われて、最初は気乗りしなかったんですが、『絶対気に入るから行こう』とあまりにしつこいので、重い腰を上げてサウナに行ってみました。サウナ→水風呂→休憩を何度か繰り返すというサウナの入り方を教えてもらい、その通りにやってみたら、ふわーっとリラックスした状態になって。しかもその状態がどんどん高まっていって…『これは気持ちいい!』と感動しました」

以来、サウナ女子さんはサウナの世界にはまっていきます。

世界中のサウナ施設をめぐっていたサウナ女子さん。こちらは自分で温度を調節できる薪サウナ

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「まるでカフェに立ち寄るように、気軽にサウナに通うようになりました。多いときで週に8回くらい。出張時も、出張先近辺のサウナに行って。どっぷりはまっていきましたね」

そんなサウナ女子さんには、いつしかある野望が生まれました。

「サウナは男性の趣味と思われていて、サウナ好きを公言すると『おっさんかよ』という反応がきまって返ってきました。実際、男性専用施設が多く、女性が楽しめるサウナは少なかった。だからこそ、女性のサウナ好きを増やせば、女性向けのサウナが増える。結果、私も楽しめると気づいたんです」

2017年3月7日。「サウナの日」にSNSのアカウントを開設。サウナ女子としての活動をスタートさせました。

「SNSでサウナに関するつぶやきを発信するようになってから、『女子サウナの世界』というイベントに呼んでいただきました。私以外にもサウナ好きの方々がたくさん集まっていて、会ったばかりなのにみんながサウナについて熱く語り合っていました」

このイベントから小さなサウナコミュニティのようなものができ、現在のサウナブームの原点になりました。サウナ女子さんをはじめ、サウナ好きの女性たちがサウナの情報を発信し続け、それが多くの人々に派生していったのです。

「その後、女性向けWeb媒体から連載のオファーを頂きました。担当者がサウナ好きで、面白い企画やテーマを一緒に考えてくれました。『サウナ施設のレビューやコラムを書いてください』という依頼も増えていきました」

本業と副業、サウナ女子の活動。気がつくと3足のわらじを履いていた!?

冬のアウトドアサウナが楽しめる北海道の十勝アヴァント。凍った川を水風呂にできる

  • 冬のアウトドアサウナが楽しめる北海道の十勝アヴァント。凍った川を水風呂にできる

会社員として、仕事をしながらサウナ女子としての活動を送る日々。

「記事は、平日の空き時間に書いています。遠方のサウナ施設をレビューするときも、ワーケーション的に行くことが多いですね。現地に行ったらリモートで仕事して、サウナも楽しんで、東京に戻るというスタイルです」

そして、サウナ女子の活動を始めて1年が経った頃、それまで勤めていた広告系の会社を退職し、外資系IT会社に転職します。

「転職と同時に新規事業部門に参加し、ほどなくその事業推進・企画チームのリーダーに就任しました。その後、事業経営の知識をつけるためにMBA(経営大学院)スクールにも通い始めるようになりました」

こうして、前職や転職先で得たスキルや経験、そして人脈が、サウナ女子さんに思いもしなかった「副業」をもたらしました。

「仕事で知り合った仲間は独立志向の人が多く、『起業するから』『新しい事業を始めるから』と、私に相談してくれるようになったんです。それで、スタートアップ企業の事業戦略の立案や、メディア立ち上げに当たってのブランドコンセプトづくり、販売促進やマーケティングの戦略づくりなどに、副業コンサルタントとして携わるようになりました。MBAで学んでいる経営学や会計学の知識も、大いに活かしています」

本業とサウナ女子の活動、そして副業のコンサルタント。サウナ女子さんは、気がつくと「3足のわらじ」を履いていたのです。

サウナ女子の活動はあくまでも趣味。働き方に対するポリシー

左はサウナハット。PCにはサウナ関連のステッカーがたくさん。タオルはオリジナルグッズ

  • 左はサウナハット。PCにはサウナ関連のステッカーがたくさん。タオルはオリジナルグッズ

「サウナ女子の活動は、あくまでも趣味。本業あっての趣味なんです」

一番好きなことは仕事にしない。これがサウナ女子さんのポリシーです。それでも、仕事で身につけたマーケティングや事業戦略のノウハウは、サウナ女子の活動にも大いに活かしているようです。

「私自身は社交的な性格ですが、サウナ女子として活動する際特定のコミュニティや派閥に属さず、常に中立の立場でカスタマーとしての立ち位置を崩さない。そんなキャラクターに徹しています」

キャラクターとポリシーを定め、そこから逸脱するようなことはしない。ぶれのない活動により、サウナ女子さんは多くのファンを得るようになりました。

サウナ女子さんの活動に共感し、コンタクトを取る企業も増えていきました。

「長野にある企業から『会社にサウナを建設したい』と相談を受け、アドバイザー(チーフサウナ大臣=CSDと呼んでいます)として関わっています。ほかにも、温浴施設のリニューアルに関するアドバイザリーや、企業からSNSの運用に関してアドバイスしてほしいというご相談も頂きます」

副業とサウナ女子の活動の合わせ技のような仕事ですが、報酬は気にしていないといいます。

「サウナ女子関連でお仕事の依頼を頂くことはよくありますが、報酬はこだわっていません。宿泊招待といった現金以外のインセンティブがほとんどですね。お金をもらってしまうと、純粋にサウナを楽しめなくなってしまう気がしているので」

「自分の好きなことを自分以外の誰かに伝えるのは、最高に楽しいです。私の投稿を読んだ方が『最初は怖かったけれど、水風呂にも入れるようになりました!』とコメントを残してくれることもあって、さらにうれしい気持ちになりますね」

対して、副業にもサウナ女子とはまた違ったやりがいを感じているそうです。

「夢を抱いているけれど課題を抱えている人へ道筋を示し、良いものを創り上げていくことが楽しいですね」

お金に執着のなかったサウナ女子さんが、年収の3割以上を投資資金に充てるように

本業や副業をしながら、趣味としてサウナ女子の活動を続けているサウナ女子さんに、気になるお金事情について聞いてみました。

「サウナ女子の活動は本業の10%未満。副業のコンサルティングは使える時間も少ないので、本業の10〜15%ぐらいです。昔は、お金はあればあるだけ使うタイプで、貯金も全くしていませんでした」

<サウナ女子さん 収入の割合>

サウナ女子さんの収入の割合のグラフ

しかし、副業やサウナ女子の活動で収入を得るようになってから、考えが変わったそうです。

「副業を始め、確定申告をするようになって、少しずつお金に対する意識が高まってきました。今は、コロナウイルスの影響で旅行や遊びが減ったこともあり、年収の3割以上を資産運用に回しています」

MBAで会計・財務の授業を履修したことも、投資への興味・関心を高めてくれたようです。

「最初は外貨預金から始め、NISAの枠も利用して投資信託を積立て、徐々に株式投資に移行していきました。やってみると楽しくて、日本株は長期保有目的で買い、アメリカ株はある程度短期で売買しています」

投資への興味・関心は高まるばかりで、今は不動産投資を検討しているそうです。

「ここまで投資に注力するようになったのは、私の働き方も理由にあります。コンサルティングや企画、ライティングなどの私の仕事は、私自身が働かなければお金が発生しない『労働集約型』といえるもの。時間などの投下するリソースに応じて仕事で得られる上限額がそこそこ見えているので、それ以上を望むのなら投資が有効だと思いました。お金にお金を生んでもらう。それが実現したらいいですね」

サウナ女子さんのような考えは、どのような働き方であっても必要なのかもしれません。人生は長く、今のような働き方ができなくなることもあり得るからです。

理想の働き方ができないと悩むよりも、自由気ままに働き方を変えていこう

会社員としても事業企画・チームマネジメントに携わるなど活躍中

  • 会社員としても事業企画・チームマネジメントに携わるなど活躍中

最後に、サウナ女子さんにとって「理想の働き方」について聞いてみました。

「私のテーマとして『いつでもどこでも自由』というものがあります。これは、転職するときに考えたことがベースになっています。本当の自由って何だろうと考えたとき、会社員である以上、どうしたって楽しさと引き換えに自由を失うと思うんです。だったら、成果と自由を両立させられる環境に身を置きたいと考えました」

会社員であっても働き方に関して自分の選択肢を増やしたい。そのためにどうすべきかをサウナ女子さんは考えてきました。

「ここ数年、私はフルフレックス・フルリモートの働き方をしています。それでも成果を出すことができ、チームも非対面でもマネジメントできています。常識に囚われず、自分の理想の働き方と、成果を両立する設計をした結果なのかなと思っています」

理想の働き方を目指して常に考えてきたからこそ、「今のご自身に点数をつけるとしたら?」という問いに対して「100点」と満面の笑みで答えてくれました。

「生きていれば、いやなことやつらいこともたくさんあります。そんなとき、自分を変えるか、環境を変えるか。何かしら対策を取って、100点に近づける計算をすることが大切だと思います」

サウナ女子の活動を始めてから4年近くがたち、多くの女性がサウナを楽しむようになりました。今後の目標に関しては、「ダイバーシティの観点で、サウナを普及させていきたいですね」と意欲を見せてくれました。

「私には『常にマイノリティの味方でありたい』という気持ちがあります。LGBTや子どもなど、あらゆる人々と気軽にサウナを楽しめる時代が来たらいいですね」

今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、経営悪化を強いられているサウナ施設も多いといいます。サウナ女子さんは、コンサルティングのノウハウを活かして、サウナ業界の立て直しにも貢献したいと考えているそうです。

そして、サウナ女子さんのように、理想の働き方がしたいと考えている方々に向けて、メッセージをくれました。

「リモートワークがひろがり、働き方自体が根底から変わりつつあります。副業を許す企業も増えていますし、会社員という働き方を維持しながら、いろいろなことに挑戦できる環境になってきました。新しいことにチャレンジしたいと思っているのなら、自分が提供できる価値を見定め、必要ならスキルを付け足し、今の状況を大いに活かしてほしいですね」

2020年12月には初の著書を上梓。本の執筆という新しい挑戦を果たしたサウナ女子さんは、これからも「いつでもどこでも自由に」仕事を楽しんでいくことでしょう。

自由気ままに生き方・働き方を変えてみる。そんな軽快な人生を送れる時代が来たことを、サウナ女子さんは指し示してくれているのかもしれません。

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<サウナ女子さんのモチベーショングラフ>

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  • 2021年3月現在の情報です。今後、変更されることもあるのでご留意ください。

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