「働き方」に疑問を抱いていた医療事務時代

子どものころはよくご両親の経営する喫茶店にいたそう

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フリーランスになって自由な働き方がしたいけれど、不安で一歩踏み出せない。そんな悩みを抱えている方にとって、鶴見さんの働き方はきっと勇気を与えてくれるでしょう。なぜなら、彼女は会社員からフリーのカメラマンに転身し、見事、理想の働き方を実現しているからです。

鶴見さんは、金沢生まれの金沢育ち。高等専門学校を卒業後、調剤薬局に就職し、医療事務の仕事に就きました。患者さんとのやりとりにはやりがいを感じていたのですが、意見を受け入れてもらえない職場環境に対して次第に窮屈さを感じるように。

「それでも、“仕事がイヤになったから辞める”のは違うと思っていて。辞める時は、次にやりたいことを見つけてからだと決めていたんです」

しかし、ほかにやりたいことも見つからず、毎朝、調剤薬局に出勤していつもと同じように働く――そんな日々を続けるうちに、数年が経っていました。

女性カメラマンの需要に着目! 理想の働き方を追い求めて独立

毎月の貯蓄やボーナスで少しずつ機材を買い足していった

  • 毎月の貯蓄やボーナスで少しずつ機材を買い足していった

23歳のころ、そんな鶴見さんに大きな転機が訪れました。

「友だちに影響されて、カメラを購入したんです。もともと飽き性なのですが、カメラだけは楽しくて。どんどん写真撮影にのめりこんでいきました」

ちょうど同時期、今の旦那さまとお付き合いするように。

「夫は副業で撮影をしているので、写真の先生になってくれました。お給料を貯めて新しい機材を少しずつ買い足しているうちに、スキルもどんどん上がり、撮影の幅が広がりましたね」

一方、医療事務の仕事には、相変わらずモヤモヤした思いを抱えたまま。

「会社員でいる以上は、会社の方針に従うことが求められます。だから、働き方そのものを変えないと問題が解決しないと思いました。結婚が決まり、『このままでいいのだろうか』とますます焦りを感じるようになりました」

今後の人生についてとことん考えた鶴見さん。そして、籍を入れた3カ月後の2017年7月、旦那さまにあることを告げます。

「医療事務の仕事を辞めて、フリーランスのカメラマンになろうと思う」

それはずっと、鶴見さんが考えてきたことでした。フリーランスなら組織に縛られず、自分の考えで仕事ができるからです。

「金沢には女性のカメラマンがほとんどいないので、女性目線で写真を撮れることが強みになります。家族写真の領域なら、そのアドバンテージを活かせそうだと思ったんです」

旦那さまも鶴見さんの決断に納得。その年の10月いっぱいで会社を退職し、翌年2月にはカメラマンとして独立することになりました。

SNSでの情報発信やセミナーへの参加。努力が徐々に実を結び始める

リピーターが多いのが励みになっているそう

  • リピーターが多いのが励みになっているそう

退職から開業までの期間は、独立の準備に当てました。

「当時、手元にはお給料2カ月分の退職金だけ。初期費用はできる限り少額で済ませようと思いました」

仕事道具である機材は旦那さまに譲ってもらい、足りないもののみ購入。仕事の第一歩は人脈づくりから始めました。

「SNSで周知したほか、人と会った時には『フリーのカメラマンになったんです』とご挨拶。人づてに、少しずつ家族写真の撮影依頼をいただくようになりました」

同時に、「自分が生まれ育った金沢に貢献できたら」という想いから、石川県の観光連盟が主催しているセミナーにも参加。

「約半年間のセミナーには、さまざまな業種の社会人が参加していました。ここで知り合った方々が、『会社のホームページを改修するから写真を撮ってよ』と仕事をくださるようになったんです。ホームページを見た会社から、『北陸エリアのカメラマンを探している』と連絡をいただくこともありました」

徐々にリピーターも増え、気がつくと、カメラマンとして十分に身を立てるだけの年収を得るようになっていたそうです。

2,200万円で住まいを購入! スタジオを構え、仕事の幅が広がる

マイホームはスタジオを兼ねた仕事場でもある

  • マイホームはスタジオを兼ねた仕事場でもある

実は、鶴見さんは独立した翌年にスタジオを構えています。

「スタジオはもともと欲しかったのですが、固定費がかかるのがネックでした。そんな時、夫と自宅購入の話があがったんです。
最初は金沢市の中心地で新築物件を探していたのですが、予算をオーバー。そこで郊外の中古物件を探し、敷地86坪・建坪46坪の住宅を840万円で購入しました。リノベーションに1,200万円ほどかけ、諸費用も含めると合計2,200万円ほどでした」

自宅兼スタジオを設けたことで、仕事の幅は一気に広がったといいます。

「金沢は雨が多いので、雨天のときはスタジオが重宝するんです。スタジオがない時は断っていた商品撮影も、今はお受けできるようになりました」

ご友人からは、「医療事務の時よりも今のほうが何倍も楽しそうだね」と言われるそう。何よりも、お客さまの人生の大切な日に関われることが喜びです。

「特に記念写真は、撮影した時のことも『大切な思い出』として、お客さまやご家族の心にいつまでも残ります。数年後、『また鶴見さんに撮ってほしい』と依頼してくださるお客さまもいて、写真だけでなく思い出も提供できる仕事だと実感しています」

子育てや老後の生活。FP(ファイナンシャルプランナー)に相談して将来のライフプランを立てる

自分の考えと判断によって、医療事務からフリーランスのカメラマンに。その結果、鶴見さんの働き方は自由なものとなりました。そしてもう一つ、大きな変化が。それは、年収です。

「医療事務時代の年収から考えると、今はその倍の売上があります」

しかし、フリーランスは不安定な仕事です。鶴見さんは万が一に備えるため、昨年、ご夫婦でFP(ファイナンシャルプランナー)に相談したそう。

「収入が安定してきたことで、将来について長い目で考えるゆとりが出てきました。そこでFPさんに相談し、今の自分に合った保険に入り直しました。変額確定年金とアメリカドル建て終身保険で、月々の掛け金は3,000円ほど。収入がさらに上がったら、掛け金を増やしたり、つみたてNISAなど新しい運用も始めたいと思っています」

将来のライフイベントを想定し、そこからかかる費用を計算して、備えとなる資産を形成する。これは、どのような働き方であっても変わらない大切なことなのです。

フリーランスが安心して働く秘訣は、小さな“山”をたくさんつくること

「やりたくないことをやらずに済む生き方」という視点も持ってほしい

  • 「やりたくないことをやらずに済む生き方」という視点も持ってほしい

独立から3年半が経った鶴見さんに、現在のご自身に対する点数をつけていただきました。すると、「40点」という厳しい点数が。

「まだまだ課題が多いので……。今、一番の課題は、将来的な子育てとの両立です。子どもができたら緩やかに仕事をセーブして、次第に元のペースへと戻していきたい。そのためには、特に金銭面でどんな準備が必要だろうと考えています」

「今後はカメラマンの仕事を軸に置きながら、写真以外の仕事にも挑戦したいですね。副業という名の小さな収入の“山”をたくさんつくるのが理想です」

「不安定なのはフリーランスの常。だからこそ、万が一に備えよう」と万全の策を取ってきた鶴見さん。彼女の働き方を見ていると、フリーランスだからといってやみくもに不安になる必要はないことが伝わってきます。

最後に、フリーランスとして独立を考えている方々に向けてメッセージをいただきました。

「『何をしたいか』という視点に加えて、『どんな働き方をしたいか』も考えてほしいです。私の場合、それは組織に縛られない自由な働き方をすることでした。自分は何が“イヤ”だと感じるのかを探りながら、どうすればその原因を解決できるのか追求していくことが、理想の働き方を得るための第一歩になると思いますよ」

<鶴見さんのモチベーショングラフ>

鶴見さんのモチベーショングラフ

  • 2021年8月現在の情報です。今後、変更されることもあるのでご留意ください。

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