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2024.8.8投資初心者 はじめの一歩
ドルコスト平均法は、株式や投資信託、外貨預金などのように価格変動がある商品を毎月同じ時期に(定期的に)、一定金額分ずつ購入する投資方法です。決まった額を定期的に投資するため、定額投資法とも呼ばれます。
値動きのある商品は購入時よりも売却時の価格が上がれば利益を得られますが、購入時よりも売却時の価格が下がっていれば損失となります。これを価格変動リスクといいますが、ドルコスト平均法には価格変動リスクを軽減する効果があるといわれています。
ドルコスト平均法は、毎月の投資金額が一定であるため、価格が安いときには購入できる数量(口数)は多くなり、反対に価格が高いときには購入できる数量(口数)は少なくなります。
例として、毎月1万円分ずつ投資信託を継続的に購入する例を見てみましょう。購入時点の投資信託の基準価額によって買い付ける口数は以下のように変わっていきます。このように毎月購入できる数量(口数)は変動しますが、継続して購入していくことで、平均購入単価を抑え、価格変動リスクを軽減する効果があるといわれています。
ドルコスト平均法の例:
下の表は横にスクロールできます
1ヵ月目 | 2ヵ月目 | 3ヵ月目 | 4ヵ月目 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
投資金額 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 40,000円 |
基準価額 (1万円/口) |
10,000円 | 5,000円 | 12,000円 | 6,000円 | (平均購入単価) 7,273円/口 |
購入口数 | 10,000口 | 20,000口 | 8,334口 | 16,667口 | 55,001口 |
一括投資は一度にまとまった金額で投資商品を購入する方法です。価格の動きを見て購入するタイミングを計ることができるため、価格が低いときに購入することで大きなリターンが期待できます。一方で購入後に下落局面を迎えた場合は、投資した全額が価格変動の影響を受けるため、損失が大きくなるリスクもあります。
ドルコスト平均法によって価格変動や為替変動リスクを抑えられる代表的な投資対象を紹介します。
投資信託は運用のプロが多くの方から集めた資金をさまざまな株式や債券に分散投資している金融商品です。投資商品のなかでも比較的リスクを抑えられ、初心者でも投資しやすいといわれていますが、組み入れられている株式や債券などの価格変動などによって、投資信託の基準価額も変動します。ドルコスト平均法を用いることでさらなる価格変動リスクの低減につながります。
ETFについて詳しく知りたい方は「投資信託とは?基本的な仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説」も参照してください。
株式投資は基本的に発行されている株式のなかで取引が行われます。その株式を買いたい人と売りたい人の需要と供給のバランスによって変動する仕組みです。買いたい人が多ければ株価が上がり、売りたい人が多ければ下がります。このような株価の価格変動リスクを抑えるためにもドルコスト平均法を用いるとよいでしょう。
株式投資について詳しく知りたい方は「【初心者向け】株式投資とは?メリットや方法を分かりやすく解説!」も参照してください。
外貨預金は、日本円を外国通貨に換えて預金するため、為替レートの変動によって日本円に換算した際の価格が変わります。ドルコスト平均法を活用すると、円安のときには外貨の購入額が減り、円高のときには外貨の購入額が増えます。その結果、購入した外貨の平均購入単価を引き下げることが可能です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は老後資金準備を目的として、自分で決めた金額を定期的に拠出し、自分で選んだ商品を購入、運用していく制度です。定額を継続して拠出することからドルコスト平均法を自然に活用できる制度ともいえます。iDeCoで購入できる商品は、投資信託や定期預金、保険などです。このうち、投資信託は値動きがあるため、ドルコスト平均法のメリットを最大限に生かせる商品といえます。
またiDeCoでは、運用で得られた利益が非課税になるのもメリットです。より大きな利益を期待できる投資信託を選ぶことで高い運用効率を期待できます。
iDeCoの仕組みやメリットは「iDeCo(イデコ)とは?〜基本の仕組みや特徴を理解しよう〜」の記事も参考にしてください。
ドルコスト平均法は、株式や投資信託などの運用益が非課税になるNISA制度でも活用できます。新NISAにはつみたて投資枠と成長投資枠の2種類の枠があります。つみたて投資枠は、定期的に一定額ずつ投資信託またはETFを購入する枠であるため、ドルコスト平均法を活用することが可能です。
また成長投資枠では一括投資もできますが、つみたて投資枠同様に投資信託などを積立購入することもできます。新NISAでは非課税投資期間に制限がなく、長期間にわたって投資を継続できるため、ドルコスト平均法のメリットもより大きくなることが期待できます。
新NISAの利用については「 【初心者向け】新NISAの投資戦略|運用のポイントを徹底解説」の記事も参考にしてください。
ここからはドルコスト平均法にどのようなメリットがあるのか、具体的に確認していきましょう。
少額から投資ができるのはドルコスト平均法のメリットの一つです。一括投資の場合、ある程度まとまった資金が必要になります。また、投資商品によっては最低投資金額が決められており、一度にまとまったお金を用意しなければならない場合があります。
一方、ドルコスト平均法では毎月の投資額で購入できるだけの商品を買い付ける方法のため、最低投資金額を気にする必要がありません。金融機関によっては毎月100円から積立購入できるところもあります。
ドルコスト平均法は一定額を定期的かつ継続的に購入する仕組みです。仮に運用期間中に価格が下がっても、ドルコスト平均法では、安い価格のときにより多くの商品を購入することになります。そのため、価格の変動に一喜一憂することなく、精神的な負担を少なく抑えられます。
投資の基本は、安く買って高く売ることです。一括投資をする場合に、できるだけ安く購入できるタイミングを見計らう必要があります。しかし、ドルコスト平均法では投資するタイミングを分散させることができるため、価格の上昇・下落どちらの局面でも購入タイミングを気にする必要がありません。いつでも投資を始めやすいのはメリットといえるでしょう。
ドルコスト平均法によって、長期間にわたって定期的に同じ金額で投資を続けると、一口あたりの購入単価は平均化されます。そのため、株価が高いときに多くの株を購入してしまい、そのあと株価が下がって損失が出てしまうリスクを軽減できます。
ドルコスト平均法にはデメリットもあります。デメリットも理解したうえで投資に取り組みましょう。
ドルコスト平均法は長期間にわたって定期的に購入を続けることでリスクを軽減し、最終的に利益を目指す投資方法です。ドルコスト平均法は長期的な投資に適しているため、短期的な利益を求める方には向きません。短期的な利益を重視する方は、ドルコスト平均法以外の投資戦略を検討する必要があるでしょう。
ドルコスト平均法で投資を行う際、購入する商品や利用する金融機関によっては、取引のたびに手数料がかかる場合があります。投資額が少額だったり、頻度が高かったりすると、手数料負担が大きくなる可能性があります。ドルコスト平均法を実践する際は、手数料の金額や投資の頻度にも注意しましょう。
ドルコスト平均法は価格変動リスクを軽減する投資方法ではありますが、必ず利益を得られる保証はありません。定期的に購入を続けることで平均購入単価が抑えられたとしても、それ以上に商品の価格が下がり続けた場合は売却のタイミングがつかめなかったり、必要に迫られ売却して損失を出したりするケースもあります。
投資にはリスクがつきものです。ドルコスト平均法を活用する際にも、リスクを十分に理解しておく必要があるでしょう。
最後にドルコスト平均法を最大限活用するためのポイントを紹介します。
ドルコスト平均法は毎回決まったタイミングと金額でコツコツと継続して購入することで効果が高まります。しかし、購入するのを忘れたり、途中でやめてしまったりすると、本来の効果を得られない可能性があります。このような事態を避けるために、金融機関が提供している自動積立サービスを活用しましょう。
自動積立サービスを利用する場合には、クレカ積立もおすすめです。クレジットカードで積立額を決済できるため、積立日の前に口座残高をチェックしたり、入金したりする手間を省けます。口座残高不足で積み立てできないリスクも回避できます。
クレカ積立については「クレカ積立って何?メリット・デメリットやカードの選び方など詳しく解説」の記事もぜひご確認ください。
ドルコスト平均法は長期投資が前提ですが、投資の目的を達成したり、ライフステージの変化に合わせて、投資を終了するタイミングを見極めたりしなければなりません。投資を終了するタイミングを決めるためには、あらかじめ目標金額や期間を決めておきましょう。
ドルコスト平均法は価格変動がある商品を、定期的に一定額ずつ、継続して購入する投資方法です。ドルコスト平均法を用いることで、平均購入単価を下げ、価格変動リスクを軽減できます。
少額から投資でき、購入タイミングも気にする必要がないのも初心者が始めやすいという点でメリットです。
一方で、短期的な利益を得るのには適さず、また、定期的な購入を怠ると効果が薄れてしまうなどの注意点もあります。継続的に投資を続け、メリットを最大限に享受できるように自動積立サービスを利用するのがおすすめです。
三井住友銀行を経由して口座開設が可能なSBI証券ならクレジットカード積立サービスで月々100円から投資信託の積立購入が可能で、Vポイントが貯まる特典もあります。さらに、投資信託の積立購入手数料が無料であるため、積立の頻度が高くても負担になりません。ドルコスト平均法を最大限に活用し、着実な資産形成を目指すことができるでしょう。
續恵美子
ファイナンシャルプランナー(CFP®、ファイナンシャル・プランニング技能士)
生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。
渡仏後は2年間の自己投資期間を取り、地元の大学で経営学修士号を取得。地元企業で約7年半の会社員生活を送ったあと、フリーランスとして念願のファイナンシャルプランナーに。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。