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2024.8.15投資初心者 はじめの一歩
米国国債は、アメリカ合衆国財務省によって発行される政府債券で、トレジャリーや米国財務省証券とも呼ばれています。そもそも債券とは、国、地方自治体、企業が投資を行う方からお金を借りるために発行する証券です。満期まで保有すれば元本に加えて利子を受け取ることが可能です。
米国国債は、米国の経済状況や金融政策を反映して利率が決定されます。低金利環境が長期化している日本と比べると、米国国債の利回りは高い傾向にあります。
米国国債には、大きく分けて2種類があります。利付債とゼロクーポン債です。この2つの米国国債は、利子の受け取り方に違いがあります。
利付債とは、保有している間、年2回の利子を受け取ることができる債券です。利払いは半年ごとに行われ、投資を行う方は定期的なインカムを得ることができます。また、利付債は満期時には額面金額が返済されるため、元本の安全性も高いといえます。
利子と元本の両面で安定性を提供する利付債は、安定収入を重視するインカム志向の投資を行う方にとって魅力的な選択肢の1つでしょう。
ゼロクーポン債とは、保有している間、利子(クーポン)を受け取ることができない代わりに、あらかじめ額面金額から一定の割引率を適用した価格で発行・販売される債券のことを指します。投資を行う方は、額面金額よりも低い価格でゼロクーポン債を購入し、満期日には額面金額で償還を受けます。つまり、購入価格と償還金額の差額が、利子に相当する収益です。
ゼロクーポン債では保有期間中に利子収入を受け取らないため、満期時まで持ち続けることで約束されたとおりの額面金額と、購入価格の差額を、償還差益としてまとめて得ることができます。
米国国債は、世界の債券市場において重要な位置を占める金融商品です。ここでは、米国国債の主要な特徴を3つ紹介します。
米国国債は、アメリカ合衆国政府が元本と利子の支払いを保証しているため、債券市場において特に信用度の高い金融商品の一つとして認識されています。信用度とは、債務者が約定通りに債務を履行する能力と意思を示す指標です。米国政府は世界最大の経済大国として、その信用度に強い信頼が寄せられています。
米国国債への投資は、元本の安全性と確実な利子収入を求める方にとって、魅力的な選択肢の1つといえます。
米国国債は、その高い信用度と市場規模を背景に、高い流動性を誇っています。流動性とは、資産を現金化しやすい度合いを示す指標です。米国国債は世界中で活発に取引されているため、売買にともなう制約が少なく換金性に優れています。
流動性が高いため、投資を行う方は目的に応じて米国国債を長期保有したり、短期的なトレーディングに用いたりすることが可能です。長期保有では、安定したインカム収入を得ることができ、短期トレーディングでは、金利変動にともなう価格変動を利用してキャピタルゲインを狙うことができます。
米国国債の利回りは、米国の金利情勢に応じて決まるため、長期的な低金利環境にある日本と比べると、非常に高い水準で推移しています。
米国では、経済成長率や物価上昇率などの要因を考慮して金利が設定されるのに対し、日本では2024年に日銀がマイナス金利政策を解除したものの、米国と比べると依然として低金利が続いています。この日米金利差を考えると、米国国債の利回りは日本国債と比べて魅力的な水準です。ただし、為替リスクや金利変動リスクには注意が必要です。
高い利回りが魅力である米国国債ですが、日本国債との利回りを比較してみましょう。
米国10年国債と日本10年国債の利回りの推移を示したグラフです。アメリカの10年物国債の利回りは、日本の10年物国債の利回りと比べて高い水準を保っています。
米国国債を購入する際には、為替変動リスクを考慮する必要があります。満期時に購入時より円高ドル安となった場合、ドル建ての元本と利子を円に換金する際に、為替差損が発生します。つまり、購入時よりも少ない金額しか受け取れません。
一方、日本国債は円建てであるため、為替変動リスクはありません。この為替リスクの有無は、米国国債と日本国債を選択する際の大きな違いといえるでしょう。
米国国債投資を始めるためには、まず米国国債を取り扱う証券会社に口座を開設します。米国国債を買う際には、最低購入金額、満期日、そして利回りなどの重要な情報を事前にしっかりとチェックしておきましょう。
新NISAでは、個別の債券を直接購入することはできませんが、投資信託やETF(上場投資信託)などの複数の資産に投資する金融商品を通じて、間接的に米国国債に投資することが可能です。
投資信託は、多数の投資を行う方から資金を集め、専門家であるファンドマネージャーが株式、債券、その他の資産に分散投資を行う金融商品です。米国国債を組み入れた投資信託もあります。このような投資信託を選ぶことで、投資を行う方は米国国債への運用を専門家に任せることが可能で、少額から分散投資ができます。運用によって得られた利益は、投資を行う方に還元されます。
投資信託は、投資を行う方のニーズに合わせてさまざまな種類があり、リスク許容度や投資目的に応じて選択することが可能です。投資初心者にも利用しやすい金融商品であり、長期的な資産形成に適しています。投資信託については「投資信託とは?基本的な仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説」をご覧ください。
ETF(Exchange Traded Funds)は、金融商品取引所に上場している投資信託の一種です。上場投資信託とも呼ばれます。
ETFは、株式のように証券取引所で売買され、その価格は需給バランスによって常に変動します。ETFも、複数の銘柄で構成されており、米国国債を組み入れているものもあります。1つのETFへの投資だけでも分散投資の効果が得られ、リスクを抑えることが可能です。興味を持たれたら「ETF(上場投資信託)ってなに?仕組みやメリット、活用術をご紹介!」の記事もぜひご一読ください。
投資信託やETFを通して米国国債への投資ができることをお伝えしましたが、新NISAでこのような米国国債ファンドに投資する際、クレジットカードを利用したクレカ積立がおすすめです。クレカ積立とは、クレジットカードで投資信託などを定期的に購入する方法です。
積立金額に応じて投資によるリターンとは別にクレジットカードのポイントが貯まります。さらに、貯まったポイントを投資に活用できる金融機関もあるため、より効率的に資産を増やすことができるでしょう。ただし、クレカ積立で購入できる商品や積立金額に制限がある場合があるため、各金融機関の規定を確認することが大切です。
クレカ積立について詳しく知りたい場合は、「クレカ積立って何?メリット・デメリットやカードの選び方など詳しく解説」こちらも参考にしてください。
米国国債は、アメリカ合衆国財務省によって発行される政府債券です。長期化する日本の低金利環境と比べ、米国国債は高い利回りを提供し、安全性と流動性の高さからグローバルな投資を行う方に支持されています。ただし、米国国債はドル建ての金融商品であり、為替変動リスクがあります。
新NISAでは制度上、個別の債券を直接購入することはできませんが、ETFや投資信託などの複数の資産に投資する金融商品を通じて間接的に米国国債に投資することが可能です。
新NISAを活用して資産運用を検討する際には、投資方法や金融機関選びも重要なポイントです。三井住友銀行のデジタル口座OliveとSBI証券の連携サービスを利用することで、より効率的に投資を始められます。
Oliveを通じてSBI証券の口座を開設すると、クレジットカードを使って投資信託の積立購入ができるようになります。しかも、積立額に応じ貯まったVポイントを投資に活用することも可能です。新NISAとクレカ積立を組み合わせることで、よりお得に投資を始めることができます。
黒髪りの
金融ライター。FP資格や投資経験をもとに、資産運用や生命保険、不動産関連の記事を執筆。半導体・自動車業界で16年にわたり技術翻訳を担当していた経験から、英語学習の記事執筆も行う。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、日商簿記2級、英検準1級、TOEIC885点など