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【初心者向け】債券投資とは?魅力や株式投資との違いを解説!
2024.8.29投資初心者 はじめの一歩
証券口座は、株式や投資信託などの金融商品を売買するうえで必要な口座です。「証券総合口座」や「総合取引口座」とも呼ばれ、投資をする方とマーケットをつなぐ重要な役割を担っています。
証券口座と銀行口座は、資金の預け入れと引き出しが可能である点では共通していますが、その目的と利用方法には大きな違いがあります。
証券口座は、現金の預け入れや引き出しも可能ですが、株式や投資信託などの金融商品への投資を目的とした口座です。銀行口座のように、給与の振込みや公共料金の自動引き落としには対応していません。
一方、銀行口座は日常的な資金の管理に用いられ、給与の受け取りや生活費の支払いなどに利用されます。証券口座は投資に特化した口座であり、銀行口座は生活資金の管理に特化した口座だといえるでしょう。
分別管理とは、証券会社に預けられた顧客の有価証券や資金を、証券会社自身の資産とは別に管理する制度のことです。この制度は金融商品取引法により義務付けられており、預けられた大切な資産を守るために欠かせません。
例えば、上場株式は証券保管振替機構(ほふり)という第三者機関で区分管理され、資金は信託銀行に信託財産として預けられます。分別管理により、万が一証券会社が経営破綻した場合でも、預けられた資産は保全され、速やかに返還される仕組みになっています。[注1]
証券会社には、ネット証券と店舗型の対面証券会社の2種類があります。それぞれの特徴と利点を理解し、自分に合った証券会社を選択しましょう。
ネット証券は、口座開設から売買注文まですべてのプロセスをインターネット上で完結できる証券会社です。店舗を持たないため運営コストが抑えられ、その分取引手数料を低く設定できるのが大きな特徴です。パソコンやスマートフォンから自分のペースで投資ができるため、初心者でも気軽に始められる利点もあります。一方で対面での相談ができないため、投資判断は自分自身で行う必要があります。
投資経験が少ない人にとっては、不安を感じることもあるかもしれません。自分の知識とリスク許容度を見極めながら、慎重に取り組むことが大切です。
店舗型の証券会社は、実店舗を持ち、専門のアドバイザーが投資家に直接アドバイスを提供します。投資の知識が少ない初心者にとっては、店頭で担当者と相談しながら投資できるのが大きなメリットです。対面でのコミュニケーションにより、買付や売却の注文でミスをするリスクも軽減できます。
一方で、店舗運営や人件費などのコストがかかるため、取引手数料がネット証券に比べて高くなる傾向にあります。また、店舗に足を運ぶ手間もかかり、利便性の面ではネット証券に及びません。
投資を始める人は口座開設の際、「一般口座」と「特定口座」のいずれかを選択する必要があります。ここでは、一般口座と特定口座の違いについて見てみましょう。
一般口座とは、株式等の売買による損益や利子、配当などにかかる税務手続きをすべて自分自身で行う口座のことです。一般口座で取引を行った場合、自身で1年間の損益を計算し利益を得た際には確定申告を行わなければなりません。ただし、一定の要件を満たす場合は、確定申告が不要となる場合もあります。税務処理に関する知識と手間が必要となるため、投資経験が豊富な方や、確定申告に慣れている方に適しています。
特定口座は、株式等の売買で生じた利益や損失に対する税務手続きを簡素化するために設けられた制度です。特定口座には、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。「源泉徴収あり」を選択した場合、証券会社が税金を源泉徴収し、投資をしている人の代わりに納付してくれるため、原則として確定申告が不要となります。[注2]
一方、「源泉徴収なし」を選択した場合、投資による損益計算は証券会社がしてくれますが、自身で確定申告が必要です。投資初心者にとっては、確定申告の手間を省くことができる「源泉徴収あり」の特定口座の利用がおすすめです。
特定口座について詳しく知りたい方は、「特定口座とは?一般口座との違いや確定申告について解説」も参考にしてください。
証券口座について理解を深めたところで、実際に証券口座を開設する手順を確認しましょう。ネット証券と対面型の証券会社では手続きが若干異なりますが、必要書類を揃え、初期設定を行えば、口座を開設できます。
まず、証券会社に口座開設を申し込みましょう。ネット証券の場合、オンライン上で申し込みフォームに必要事項を入力します。一方、対面型の証券会社では、店舗に直接訪問し、担当者の助言を受けながら申込書に記入することが可能です。
申し込みの際には、一般口座と特定口座のどちらの口座を開設するかを選択します。前述のとおり、特定口座の「源泉徴収あり」を選択すると確定申告する必要がありませんが、特定口座の「源泉徴収なし」もしくは一般口座を選択すると、自身で確定申告を行う必要があります。
証券口座の開設には、本人確認書類の提出が必要です。必要な書類には、運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどの公的な身分証明書が含まれます。なお、口座開設に必要な書類は証券会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
ネット証券の場合、これらの書類をオンライン上または郵送で提出します。対面型の証券会社では、店舗で直接書類を提示することが一般的です。
証券会社が口座開設の申し込みを受理し、提出された書類の審査を完了すると、登録されたEメールアドレスへ口座開設完了のメール、もしくは住所宛てに書面での通知が届きます。本人限定受取郵便で通知が送られる場合は、受け取りの際に本人確認書類の提示が必要です。
口座開設が完了したら、取引を始める前にいくつかの初期設定を行います。多くの証券会社では、証券口座に資金を移動するための銀行口座を登録する必要があります。
次に、取引に使用するためのログインIDとパスワードを設定します。設定方法は証券会社によって異なり、口座開設時に設定する証券会社もあれば、別途設定が必要な証券会社もあります。
以上の手続きが完了すると、証券口座が正式に開設され、株式、投資信託、債券など、さまざまな金融商品の売買が可能になります。
証券口座は、株式や投資信託などの金融商品の売買に特化した口座であり、銀行口座とは役割が異なります。証券口座と銀行口座は、資金の預け入れと引き出しが可能である点では共通していますが、証券口座は投資に特化した口座であり、銀行口座は生活資金の管理に特化した口座だといえるでしょう。
投資を始める際には証券口座を開設することが必要です。証券口座には、一般口座と特定口座の2種類があり、特定口座は「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類に分けられます。投資初心者の方や確定申告の手間を省きたい方は、確定申告が不要な「源泉徴収あり」の特定口座を利用するのが良いでしょう。
これから証券口座を開設される方は、三井住友銀行アプリからSBI証券の証券口座の開設をおすすめします。ひとつのアプリで三井住友銀行口座とSBI証券口座の管理を一括で行えるため、預金残高を確認しながらSBI証券で投資信託の取引をするなど、便利に投資に取り組めるでしょう。
黒髪りの
金融ライター。FP資格や投資経験をもとに、資産運用や生命保険、不動産関連の記事を執筆。半導体・自動車業界で16年にわたり技術翻訳を担当していた経験から、英語学習の記事執筆も行う。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、日商簿記2級、英検準1級、TOEIC885点など