投資信託の基本的な仕組み

投資信託は、投資信託を購入する多くの利用者から集めた資金を専門家が運用する金融商品です。その仕組みは運用会社と販売会社、信託銀行の3つの役割によって成り立っています。

投資信託の基本的な仕組み

まず、運用会社は商品の設計と資金の運用を担当し、運用会社のファンドマネージャーが実際の投資判断を行います。販売会社は利用者との窓口となって、商品の販売や口座管理を行います。最後に、信託銀行は集められた資金を他の資産と分けて管理し、利用者の資産を保護します。

この3社の連携により、利用者は専門知識がなくても資産運用を行うことが可能です。ただし、運営にはコストがかかるため、利用者はその一部を手数料として負担することになります。

投資信託の詳しい仕組みについては「投資信託とは?基本的な仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説」をご参照ください。

投資信託の手数料の種類

投資信託には、購入・保有・解約(または売却)の各段階で手数料が発生します。具体的には、以下のとおりです。

  • 購入時:申込手数料
  • 保有期間中:信託報酬や諸経費
  • 解約時:解約手数料

なおこれらのなかには、金融機関や投資信託の銘柄によって異なる費用がかかる場合や、かからない場合もあります。

これらの手数料は、利用者が直接支払うものと、間接的に負担するものに分類されます。直接的な手数料に含まれるのは、購入時や解約時に支払う手数料です。一方、間接的な手数料には、信託財産から日々控除される信託報酬などが該当します。利用者は、これらのさまざまな手数料の仕組みを理解し、投資にかかる総費用を考慮したうえで投資判断を行うことが重要です。

投資信託にかかる手数料

ここでは、主な投資信託の手数料について詳しく見ていきましょう。

販売手数料

販売手数料は、投資信託を購入する際に発生する一回限りの費用で、購入時手数料ともいわれます。利用者が直接支払う形で徴収され、通常、購入金額に対する一定の割合で設定されています。ただし、その割合は投資信託の種類や販売会社によって大きく異なるため注意しましょう。

なかには、販売手数料をまったく徴収しない「ノーロード」と呼ばれるファンドも存在します。投資信託を購入する場合には、複数の販売会社や銘柄を比較検討し、期待できるリターンに見合いそうかどうかをチェックして選びましょう。

信託報酬

信託報酬は、投資信託の運用期間中に継続的に発生する費用です。この報酬は、利用者に代わって資産運用を行う運用会社、販売会社、信託銀行に対する対価として設定されています。信託報酬は通常、純資産総額に対する年率で表示されます。

例えば、年率1.5%の場合、純資産総額の持ち分が1,000万円の場合にかかる信託報酬は年間15万円です。実際にはこの費用は毎日の基準価額計算時に日割り計算されて信託財産から自動的に控除されます。

信託報酬の目安は目論見書に記載されています。実際に投資信託を購入する前に、投資信託の特色や運用方針などとともに目論見書で確認しておきましょう。

信託財産留保額

信託財産留保額は、投資信託の解約時に利用者が直接負担する費用の1つです。解約代金から直接控除される形で徴収されます。

信託財産留保額の主な目的は、途中換金する利用者と引き続き保有する利用者との公平性を保つことです。したがって、解約する利用者が、解約による資産売却にともなうコストを負担します。また、徴収後の信託財産留保額は信託財産に組み入れられ、基準価格などにも反映される仕組みです。

信託財産留保額の水準は各投資信託で異なり、基準価額に対する一定割合で設定されることが多いですが、全く設定しない投資信託も増えています。そのため、信託財産留保額は差し引かれる場合と差し引かれない場合があります。投資信託を選択する際は、信託財産留保額の有無や水準を確認し、自身の投資計画に照らし合わせて検討しましょう。

手数料が安い投資信託の見分け方

手数料の安さは、投資信託を選ぶ際の大切なポイントの1つです。手数料は長期的な運用成績に大きな影響を与える可能性があり、具体的には、手数料が高いと手元に残る実質的な利益は減ってしまいます。したがって、手数料が低く、かつ期待する運用成果が得られる投資信託を選ぶことが大切です。

手数料が安い投資信託の見分け方

ここでは、手数料が安い投資信託を見分けるためのポイントを紹介します。

ノーロード商品であるかどうか

ノーロード商品とは、販売手数料がかからない投資信託のことです。同じ投資信託の銘柄でも販売会社によって販売手数料が異なるため、複数社を比較することがおすすめです。

ただし、投資信託は、販売手数料がかからないというだけで判断しないようにしましょう。販売手数料がかからなくても、運用中にかかる信託報酬や、解約時の信託財産留保額などが高ければ、全体的な手数料が高くなる可能性があります。ノーロード商品を検討する際は、購入時だけでなく、保有期間全体でかかるコストを計算し、本当にお得かどうかを見極める必要があります。

信託財産留保額がかかるかどうか

手数料の低い投資信託を探す際、信託財産留保額にも注目しましょう。信託財産留保額は、投資信託を解約する際にかかる費用で、銘柄によっては導入していない場合もあります。

信託財産留保額は、利用者が保有している投資信託を解約する際に解約にともなうコストとして負担するものです。販売手数料と同じように売買するときの1度だけ発生するため、購入後はじっくり運用し、頻繁に売買を繰り返さない場合は、この費用の有無が運用結果に与える影響は比較的小さいといえるでしょう。一方、短期間での売却を予定している場合や、頻繁に売買するような場合は、信託財産留保額がかからない投資信託を選ぶ方が有利かもしれません。

目論見書で信託財産留保額の有無や率を確認し、自身の投資計画に照らし合わせて判断しましょう。

インデックスファンドであるかどうか

投資信託のなかでも、日経平均株価など特定の指数に連動する運用を目指すインデックスファンドはより高いリターンを目指すアクティブファンドに比べて、運用コストが低いことで知られています。これは、特定の市場指数の動きに追随する運用方法を採用しているためです。

アクティブファンドでは、運用担当者が個別銘柄を分析して頻繁に売買を行うため、人件費や取引コストがかかります。一方、インデックスファンドはこれらのコストを大幅に削減できるため、利用者が負担する信託報酬も比較的低く設定されることが多いのです。

運用コストを抑えたい場合は、インデックスファンドを検討してみるとよいでしょう。一方で、より高い収益を目指したい場合は、コストは高くなりますがアクティブファンドも選択肢となります。最終的にはコストや期待リターン、リスク許容度など、自分の投資目標に合わせて選ぶことが重要です。

インデックスファンドについて詳しく知りたい場合は「インデックスファンドってなに?メリット・デメリットや始め方を詳しく解説!」を参照ください。

手数料以外にかかるコスト

投資信託で得られる収益には、定期的な分配金と売却時の譲渡益があります。これらの利益には20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税金が課されます。[注1]

このような税負担を軽減する方法として、新NISAの活用が効果的です。新NISAでは、成長投資枠(年240万円)とつみたて投資枠(年120万円)が設けられており、この範囲内での投資による収益は非課税となります。[注2]そのため、特に長期的な資産形成を目指す方にとって、新NISAは魅力的な選択肢といえるでしょう。

まとめ

投資信託の手数料は、長期的な運用成果を左右する重要なポイントです。投資信託を購入する際の販売手数料や、保有期間中の信託報酬、解約時の信託財産留保額など、さまざまな手数料が存在します。投資信託で効果的な資産運用を行うには、これらの手数料を理解し、自分の投資目標に適した商品を選ぶことが大切です。

また、投資信託で得られる利益には税金がかかりますが、新NISA(少額投資非課税制度)を活用することで非課税になり、長期的な資産形成に役立ちます。

新NISAを活用して投資信託を検討している方は、ぜひ三井住友銀行アプリからSBI証券口座を開設してみてはいかがでしょうか。

SBI証券では、定期的に一定金額の投資信託を積立購入する投信積立サービスを実施しています。積立購入時の代金決済に三井住友銀行が提供しているOliveフレキシブルペイを利用することも可能です。それによって、積立金額や投資信託の保有残高に応じたVポイントも付与されます。

買付は100円から可能で、新NISAにも対応していますので、投資初心者でも気軽に始められるのが魅力です。

  • 2024年10月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

黒髪りの

金融ライター。FP資格や投資経験をもとに、資産運用や生命保険、不動産関連の記事を執筆。半導体・自動車業界で16年にわたり技術翻訳を担当していた経験から、英語学習の記事執筆も行う

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