そもそも配当金ってなに?

配当金とは、株式を発行している企業が株主(株式に投資をした人)に対して支払うお金です。具体的には企業が得た利益の一部を株主に分配するもので、決算時の利益や今後の業績見通し、企業の配当方針などにより、企業が1株当たりの配当金額を設定します。

配当金の仕組み

株主は、自分の保有株式数に応じて配当金を受け取れます。例えば、1株当たり配当金が50円、100株保有という場合には、株主が受け取れる配当金は5,000円(50円×100株)です。株式投資による収益といえば、購入時よりも高い価格で売却したときの売却益をイメージする人も多いですが、配当金は株式を保有することによって期待できる収益です。ただし、利益の状況や企業の方針などによっては、必ず受け取れるわけではありません。

配当金と分配金との違い

投資した金融商品を保有することで受け取れるお金には、配当金以外に分配金もあります。これらは似ているようで、違いもあります。両者の違いを理解しておきましょう。

支払い元が異なる

「配当金」は、前述のとおり、株式投資において企業の利益から支払われるお金です。利益の状況に応じて金額や配当有無が変わりますが、企業の決算の結果によって企業が配当金額を決め、株主総会の承認を得て支払われます。

「分配金」は、投資信託の純資産から支払われるお金です。運用会社が、投資信託の決算時の運用益や過去の損益・積立金などを総合的に見て分配金の有無や金額を決定しますが、その原資は決算時の利益だけでなく、元本の取り崩し部分も含まれます。分配金が支払われると、取り崩しとなる金額相当分、基準価額は下がります。

分配金の支払い元

受け取り条件が異なる

「配当金」を受け取るための条件は、権利確定日までに対象となる企業の株式を保有していることです。権利確定日はそれぞれの企業が定めており、その日までに株式を保有するためには権利付最終日(権利確定日の2営業日前)までに株式を購入する必要があります。

「分配金」を受け取るための条件は、決算日の前営業日までに対象の投資信託を保有していることです。決算日はそれぞれの投資信託によって異なり、その日までに投資信託を保有するためには、前営業日までに約定(売買成立)させる必要があります。売買注文から約定までにかかる時間は投資信託によって異なり、一般的には1〜2営業日です。

新NISAで配当金は非課税になるの?

新NISAで日本国内の株式に投資した場合は、旧NISAと同様、配当金は非課税です。本来、国内の上場株式の配当金には、20.315%の税金が源泉徴収されることになっています。しかし、新NISA口座で投資すれば、この税金が免除されるため、配当金全額を受け取ることができます。

新NISAで配当金を非課税で受け取る方法

新NISAでは配当金の全額を受け取れる旨をお伝えしたばかりですが、そのためには配当金の受け取り方法に注意が必要です。

本来、配当金は4つある受け取り方法のなかから、株式を購入する人が選択した方法で支払われます。

  • 株式数比例配分方式:保有するすべての株式などの配当金を証券口座で受け取る方法
  • 登録配当金受領口座方式:保有するすべての株式などの配当金を指定した銀行口座で受け取る方法
  • 個別銘柄指定方式:株式などの銘柄ごとに指定した銀行口座で配当金を受け取る方法
  • 配当金領収証方式:配当金領収書と引き換えに金融機関窓口で現金で受け取る方法

このうち、新NISAで配当金を非課税で受け取るためには「株式数比例配分方式」を選んでおく必要があります。他の方法になっている場合は課税されてしまうため、もし他の受け取り方法を選んでいる場合は、新NISA口座のある証券会社で変更手続きをしましょう。

ただし、複数の証券会社に証券口座がある場合、1つの証券会社で配当金の受け取り方法を変更すると、他の証券会社での受け取り方法も自動的に変更されるので注意しましょう。

配当金を非課税で受け取れるのは株式数比例配分方式

新NISAの配当金に関する注意点

非課税で配当金を受け取れるのは、新NISAで株式投資をする魅力の1つです。まだ新NISAを利用していない人や株式投資をしたことがない人のなかには、これから始めてみたいと思う人もいるかもしれません。しかし、いくつか注意すべき点もあります。特に以下の点に注意しましょう。

配当金が多ければよいわけではない

配当金が多い株式は魅力的ですが、それだけでその銘柄を選ぶのは適切ではありません。銘柄を選ぶ際には、企業の配当方針や安定性、長期的に利益が上昇傾向にあるかなど、他にもさまざまなポイントをチェックする必要があります。株価に対する配当金の比率(配当利回り)が高い株式を、高配当株や高配当銘柄といいます。

高配当株であるかどうかは以下の式に当てはめ、「配当利回り」を確認することで判断できます。

配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金÷株価×100

ただし、株価が下がると配当利回りは上がります。配当利回りが高くても、株価の下落要因によっては魅力的な投資ではなくなる可能性もあります。単に配当金額や配当利回りが高いだけでなく、長期的に安定した成長が期待できる企業を選びましょう。

別途税金がかかる商品がある

新NISAでは外国の株式などにも投資ができますが、非課税になるのは日本の課税分のみで、現地で課税される分は非課税にはなりません。外国株に対する配当金は、本来、投資先国との租税条約により定められた源泉徴収税率で源泉徴収されたあとに、国内の源泉徴収税率(20.315%)が源泉徴収される仕組みです。

新NISAを利用することによって国内分の源泉徴収はされませんが、現地国の分はそのまま徴収されます。現地分の源泉徴収税率は国によっても異なりますが、例えば米国株や米国ETFに投資する場合は10%です。

配当金を重視した新NISAの活用方法

株式の配当金は権利確定日に保有しておくことで得られる収益です。そのため、配当金を重視した株式投資であれば、売買のタイミングが難しいという初心者にも取り組みやすいかもしれません。その際、新NISAもうまく活用していきましょう。

成長投資枠の運用を検討する

新NISAには成長投資枠とつみたて投資枠の2種の非課税枠があります。このうち株式投資ができるのは成長投資枠です。

つみたて投資枠は一定の投資信託およびETFに限定されているため、個別株式への投資はできません。

成長投資枠は年間240万円分までの購入が可能です。高配当株を選んで購入するなど、成長投資枠を有効に活用するのもよいでしょう。

分散投資をする

新NISAの成長投資枠で個別株式への投資をしながら、つみたて投資枠で比較的リスクの低い投資信託を選ぶなど分散投資を心がけましょう。配当金によるリターンを意識しすぎるのではなく、投資にはリスクがあることも考慮し、購入する商品やタイミングを分散してリスク低減に努めましょう。

高配当株を選ぶときのポイントは?

高配当株を選ぶ際には前述した配当利回り以外にも、次のポイントをチェックしましょう。

  • 過去の配当の安定性
  • 過去の業績の安定性
  • 業界の安定性・成長性

大切なのは、いかに安定して配当を得るかということです。将来の配当金を予想することはできませんが、過去数年間にわたって安定的に配当金を支払っている企業は、一時的な高配当ではなく株主への還元を重視し、継続的に配当を支払う方針を持っていると考えられます。

また、業績が安定していれば、安定した配当も期待できます。その企業だけでなく、その企業が属する業界の安定性や成長性も確認できれば、より安心してその銘柄を長く保有し続けられるでしょう。

よくあるご質問

最後に、株式投資で期待できる配当金について、よくある質問をまとめて紹介します。

配当金の非課税金額に上限はあるの?

配当金に対する非課税金額に上限はありません。保有している株式に対して支払われる配当金の全額が非課税になります。新NISAで上限が設けられているのは、「年間に株式や投資信託などを購入できる金額(年間非課税枠)360万円」と「生涯をとおして保有できる総額(非課税保有限度額)1,800万円」です。これらの限度額は買付時の価格でカウントされ、すでに購入した株式などから発生する利益は非課税限度額のカウントに入りません。

配当金はいつ、どこで受け取れるの?

配当金が株主に支払われる時期は、一般的に権利確定日から約2〜3ヵ月後です。配当金の支払いは、決算後に開催される株主総会での承認を受けて実施されるため、おおよそ2〜3ヵ月程度の期間を要します。

配当金の受け取り方法を「株式数比例配分方式」にしていれば、証券会社の口座に振り込まれます。なお、振り込まれた配当金は証券口座で保管しておくこともできますが、自分の銀行口座への出金手続きを行うことも可能です。

まとめ

株式の配当金は企業の利益の一部を株主に分配するものです。権利確定日までに株式を保有しておくことによって配当金を期待できるため、売買のタイミングを見極めるのが難しいという初心者も取り組みやすいでしょう。

株式投資で受け取る配当金には本来20.315%の税金が源泉徴収されますが、新NISA口座を通して購入した株式の配当金は非課税となり源泉徴収されません。ただし、配当金の受け取り方法を株式数比例配分方式に設定する必要があるため注意しましょう。

新NISAを活用することで、より効率的な資産形成を期待できますが、配当金などのリターンだけに注目せず、リスクも考慮し投資信託を積立するなど投資商品やタイミングの分散を心がけることも大切です。新NISAの成長投資枠とつみたて投資枠をうまく活用していきましょう。

これから新NISA口座を開設したい方は、三井住友銀行×SBI証券を検討されてはいかがでしょうか。三井住友銀行が提供しているデジタル口座のOliveアカウントから、少ないステップでSBI証券の口座開設手続きを進められます。配当金の権利確定日が近いときなどは特に役立つかもしれません。Vポイントが貯まりやすくなる特典も多く用意されており、投資による資産形成+αのメリットを期待できるでしょう。

  • 2024年10月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

續恵美子

ファイナンシャルプランナー(CFP®、ファイナンシャル・プランニング技能士)
生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。
渡仏後は2年間の自己投資期間を取り、地元の大学で経営学修士号を取得。地元企業で約7年半の会社員生活を送ったあと、フリーランスとして念願のファイナンシャルプランナーに。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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