つみたてNISAで投資できる金額は毎年40万円までと聞いたたておさん。

もし上限を超えてしまったらどうなるのか。毎年40万円まできっちり投資するにはどうすればいいのか? 気になったたておさんは、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみました。

つみたてNISA(積立nisa)の非課税上限額は年間40万円まで

たておさん たておさん

つみたてNISAで投資できる金額に上限はありますか?

FP FP

つみたてNISAの投資枠は、新規投資額で毎年40万円が上限となっています

つみたてNISAは、少額からでも長期・積立・分散投資を支援する、という目的で生まれた制度ですので、投資枠も「新規投資額で毎年40万円が上限」と定められています。

毎月一定額を積み立てる場合、40万円÷12ヶ月=3万3,333円(小数点以下切り捨て)が上限となります。

つみたてNISAでは、毎年40万円までの投資額は「非課税投資枠」の扱いとなり、運用によって得られる分配金や譲渡益には税金がかからない仕組みになっています。

投資できる金額の単位は金融機関によって異なり、100円以上1円単位で投資できるところもあれば、投資単位が1,000円や1万円に設定されているところもあります。

非課税枠ぎりぎりまで投資したい場合は、積立金額を1円単位で設定できるところを探すか、特定の月に追加で投資をする必要があります。しかし、投資する金額の単位で金融機関を選ぶのは、本来の目的である「長期投資による資産形成」からは少しずれてしまいます。投資単位はあくまで判断材料のひとつとして考えておきましょう。

また、投資経験の少ない方は、困ったときに近くの店舗やWebで気軽に相談できる金融機関を選ぶと安心です。

三井住友銀行では、わかりやすく月1万・2万・3万円から選択するプランがあります。こちらで詳しく紹介していますのでご覧ください。

積立商品を知る:三井住友銀行

参考: つみたてNISAの概要

つみたてNISAの上限額を超えて投資してしまった場合は?

たておさん たておさん

もし毎年40万円の上限を超えて投資した場合はどうなるのですか?

FP FP

上限を超えてしまったぶんは、課税口座での買い付けとなるので注意が必要です

つみたてNISAの非課税投資枠は毎年40万円までと決まっていますので、上限を超えて投資することはできません。

もともと、つみたてNISAは毎月一定額を積み立てていく投資方法です。金融機関によっては、初めから非課税枠を超える金額を設定できない仕組みになっています。

ただし、つみたてNISAの分配金を再投資する場合、上乗せされた分配金も非課税投資枠に含まれるため、分配金の額によっては上限を超えてしまう可能性があります。

たとえば、以下のケースが該当します。つみたてNISAで毎月3万3,333円を積み立てし、年間39万9,996円を投資した場合、年途中に4円以上の分配金が出て、そのまま運用に回すと非課税投資枠を超えてしまうことになります。

積立投資によるリスク分散のイメージ

上限を超えた場合の対応は金融機関によって異なりますが、特定口座や一般口座預かりとして再投資されるケースが多いようです。

この場合に注意したいのは、非課税投資枠が存在しない特定口座や一般口座で資産運用する場合には、その運用益は課税対象となることです。

税率は通常の投資信託や株式などと同じく、運用益に対して20.315%の税金がかかり、翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告を行う必要がある場合があります。

つみたてNISAを上限額まで投資する方法は?

たておさん たておさん

つみたてNISAの上限額まで投資する方法ってないんですか?

FP FP

年に2回まで増額できるボーナス設定を行えば、 ぴったり年間40万円まで投資することができます

つみたてNISAは毎月一定額を積み立てていく投資方法と説明しましたが、実は年に2回まで、投資額を増やすことが可能です。三井住友銀行では、このような追加で投資額を増やすことを「ボーナス設定」としています。

このボーナス設定を上手に活用すれば、ちょうど年間40万円投資可能です。

ボーナス設定を活用した調整のパターンはいくつか考えられますが、ここでは参考までに、2つの投資パターンをご紹介します。

例1:通常は毎月3万円、夏のボーナスが出たときだけ4万円を追加投資する場合

つみたてNISAの商品別リスクとリターン

例2:通常は毎月2万円、夏冬のボーナスが出たときにそれぞれ8万円を追加投資する場合

リスクの少ない資産配分の一例

ボーナス設定の回数や設定方法は、金融機関によって異なりますので確認してみましょう。

時間分散メリットを考えると、必ずしも非課税投資枠ぴったりに投資する必要はない

ボーナス設定を利用すれば、非課税投資枠をフル活用できますが、実際のところ、投資可能枠にぴったり合わせること自体には、それほどメリットはありません。

そもそもつみたてNISAのメリットは、長期・積立・分散投資により、ローリスクで運用できるところです。

ボーナス設定によって、12ヶ月のうち1ヶ月ないし2ヶ月だけ追加で投資すると、毎月定額投資することで買付金額を平準化できるという、つみたてNISAならではのメリットが薄れてしまいます。

たとえば、夏のボーナスに合わせて7月のみ追加で投資したところ、ちょうど価格が値上がってしまい、全体的な購入単価が上がってしまった…という場合があります。

買付金額を平準化して、1回あたりの投資リスクを軽減する「時間分散メリット」の大きさを考えると、ボーナス月に価格が上がるリスクを負ってまで40万円ぴったり投資するメリットはあまりないといえるでしょう。

毎月の積立額は無理のない範囲で設定しよう

たておさん たておさん

結局、つみたてNISAの毎月の積立額はどのくらいに設定すればいいんでしょうか?

FP FP

上限額いっぱいまで投資することにこだわり過ぎず、 出来る範囲からコツコツ積み立てていくのがポイントです

つみたてNISAは、非課税投資枠の範囲内であれば分配金や譲渡益に対して税金がかからないので、上限額に近い積立額を設定すると節税の恩恵が大きくなります。

ただし、ボーナス設定を利用して無理やりに40万円ぴったりで投資しようとすると、時間分散のメリットが薄くなってしまいます。

ボーナス設定を利用しない場合は、1円単位で投資できる金融機関を選び、毎月3万3,333円を投資していくという方法もあります。その場合は、分配金が再投資されると非課税投資枠を超えてしまい、超過分は課税口座で運用することになります。

課税口座で利益が出た場合は確定申告が必要になり、納税の負担だけでなく、手続きの時間と手間がかかってしまいます。

また、つみたてNISAは中・長期運用を前提とした制度のため、長く保有し続けることでしっかり資産を増やせる可能性が高まります。

非課税期間は最長20年にも及ぶので、月々の積立額を決めるときは、無理なく投資し続けられる金額を設定することが大切です。

20年という長い年月の中では、ライフスタイルや家族構成の変化などによって、月々の出費が増えることも考えられます。

つみたてNISAの積立額は途中で変更することも可能です。一方で1年間のうちに何度も積立額の変更をすると ボーナス設定同様、時間分散メリットが薄れてしまう場合があります。日々の生活に支障のない金額範囲で積み立てていきましょう。

まとめ

つみたてNISAの非課税投資枠は年間40万円までとなっており、上限を超えて投資することはできません。

分配金の再投資などで40万円を上回ってしまった場合、超過分は特定口座や一般口座などの課税口座で再投資することになります。その際 運用益は課税対象となる点に注意が必要です。

なお、単純に40万円を12ヶ月で割った場合、ひと月あたりの積立額は3万3,333円となります。年間2回まで増額できるボーナス設定を利用すれば、ぴったり40万円まで投資することも可能ですが、40万円まできっちり非課税投資枠を使い切ることはあまり重要ではありません。

特定の月だけ増額すると、つみたてNISAのメリットである時間分散メリットの恩恵を受けにくくなる可能性があります。

つみたてNISAはできるだけ長期にわたって運用するのが基本です。非課税投資枠いっぱいまで投資することにこだわるよりも、長年かけてコツコツと無理なく積み立てていける金額の設定をおすすめします。

  • 2021年12月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

金子 賢司

個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務めるファイナンシャルプランナー。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。CFP、日本FP協会幹事。

https://fp-kane.com/

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