そもそもつみたてNISA(積立nisa)は途中で引き出せるの?
つみたてNISAは、運用途中でも引き出すことができるのでしょうか?
引き出せます!引き出しに回数制限はないので何回でも自由にできます。
つみたてNISAは、運用中でも途中で引き出せます。
そもそも、普通預金口座のように「引き出す」とはいわず、一般的には「売却する」といいます。というのも、つみたてNISAで運用している資金を引き出したいときは、運用商品の売却手続きをするためです。
つみたてNISA自体は解約する必要がなく、運用商品を売却した分だけ資金を手元に戻すことができます。
また、つみたてNISAの運用商品の売却には回数制限はなく、何回でも自由に引き出せます。
つみたてNISA(積立nisa)を引き出す方法
つみたてNISAを引き出すには、まず何をすればいいですか?
まずは、NISA口座で積み立て中の商品を確認しましょう。
つみたてNISAを引き出す手順は、一般的に以下のとおりです。
- 金融機関のNISA口座で、積み立て中の商品を確認
- 売却したい商品を選択
- 売却したい金額や口数を入力
- 確定し売却完了
では、それぞれのステップをくわしくみていきましょう。
ステップ@金融機関のNISA口座で、積み立て中の商品を確認
まずは、つみたてNISAを運用している金融機関のNISA口座を開きます。
マイページへのアクセスには、ログインIDやパスワードが必要ですので、事前に確認しておくとスムーズにログインできます。
NISA口座を開いたら、保有中のつみたてNISAの運用商品を確認します。
ステップA売却したい商品を選択
つみたてNISAで運用中の商品を確認できたら、次は売却したい商品を選択します。
一度の操作で複数の商品を売却することはできないため、複数商品を売却したい場合は一つずつ手続きが必要です。
ステップB売却したい金額や口数を入力
次に、画面の指示に従って、売却したい金額または口数を入力していきます。
つみたてNISAの売却では、運用商品すべてを売却する必要はなく、必要な分だけ金額や口数を指定できます。
ステップC確定し売却完了
売却したい金額や口数が入力できたら、取引用パスワードを入力して確定ボタンを押します。
一般的に取引用のパスワードは、ログインパスワードとは異なりますので、こちらも事前に確認しておくと手続きがスムーズです。
三井住友銀行で引き出す場合
三井住友銀行でつみたてNISAを引き出す場合、以下の手順で手続きを行います。
- SMBCダイレクトにログイン
- 投資信託の取引から「ファンドの解約・収益分配金の取扱変更」をクリック
- 投資信託口座、連絡先電話番号(あらかじめ銀行にお届けの連絡先)を確認
- 解約するファンドの「解約」をクリック
- 解約金額を入力
- 取引内容・重要事項説明を確認して「実行」をクリック
上記はインターネットからの手続き方法を紹介しましたが、三井住友銀行では電話や店頭での解約も可能です。
▼換金方法について詳しく知りたい方へ
三井住友銀行「換金(解約)方法をおしえて!」
つみたてNISA(積立nisa)の引き出しは手数料がかからない
つみたてNISAの引き出しには、手数料がかかったりしないのでしょうか?
手数料はかかりません!ただ、売却する商品によっては信託財産留保額がかかるので注意です。
つみたてNISAを引き出す際、手数料がかかるのでは……と気になる人もいるかもしれません。
実は、つみたてNISAの引き出しに手数料はかかりません。ただし、売却する商品によって信託財産留保額がかかるケースがあるため、注意しましょう。
信託財産留保額とは、投資信託の解約にかかる費用です。解約時手数料とも呼ばれ、つみたてNISAで運用できる商品のなかにも信託財産留保額が設定されているケースがあります。
信託財産留保額は別途、運用会社や販売会社に支払うものではなく、解約時に売却価格から差し引かれます。
信託財産留保額がかかるかどうかは、商品の目論見書に記載されているため、事前に確認しておくとよいでしょう。
つみたてNISA(積立nisa)を引き出す際の注意点
引き出すときに事前に注意すべきことはありますか?
引き出したいときに利益が出ているとは限らない、複利効果が得られなくなるなどがあります。
前述のとおり、つみたてNISAは手数料無料でいつでも、何度でも引き出せます。
しかし、つみたてNISAを安易に引き出すのはあまりおすすめできません。注意点を理解したうえで、よく考えて引き出す必要があります。
ここでは、つみたてNISAを引き出す際に注意したいポイントを解説します。
引き出したいタイミングで利益が出ているわけではない
つみたてNISAはいつでも引き出せるものの、引き出したいタイミングで利益が出ているとは限らないため注意が必要です。
たとえば、引き出したいタイミングがちょうど暴落時だった場合、引き出した金額が元金を大きく割り込んでしまうケースがあります。一時的な変動が起こると、怖くなって引き出したくなるかもしれません。しかしつみたてNISAは、短期的な利益のための投資ではなく、将来資金が必要になるタイミングを想定して活用するものです。そのまま運用していれば、再び値上がりする可能性があるため、引き出すタイミングによっては大きく損をしてしまうかもしれません。
そのため、つみたてNISAの引き出しのタイミングは、計画的に考えておく必要があります。
複利効果が得られなくなる
複利効果が得られなくなることも、つみたてNISAを引き出す前に注意したいポイントです。複利効果とは運用で得られた利益を再投資することで、利息に利息が付き、元金のみを投資し続けるより大きな利益が得られる効果のことです。
つみたてNISAは何度でも引き出せるからと、利益が出るたびに引き出してしまうと、複利効果は得られなくなります。
現金化には数日から1週間ほどかかる
つみたてNISAは、インターネット上の手続きだけで簡単に引き出せますが、実際に現金化できるのは手続きから数日から1週間ほどかかります。
即日現金化できないため、すぐに資金を手元に用意したい場合には、つみたてNISAを引き出すのは適していません。
つみたてNISA(積立nisa)を引き出す前に考えたいこと
積み立てが苦しいときの解消法として、引き出し以外の方法はありますか?
「全額」引き出すのではなく、積立の停止や積立金額を減らすなどで続けてみる方法があります!
つみたてNISAの引き出しは計画的に行うことが大切です。しかし、どうしても引き出したい場合はつみたてNISA口座を解約してしまうではなく、一部の商品を売却するようにしましょう。
前項で説明したとおり、すべて売却してしまうとタイミングによっては元金を割り込む可能性があるからです。
また、家計状況の変化などで積み立てが苦しいと感じる場合は、つみたてNISAを全額引き出すのではなく、以下の方法で対応しましょう。
- 積立金額を減らす
- 積立を停止する
- 一部売却する
つみたてNISAは途中で積立金額を減らしたり、積立を停止したりすることもできます。積立金額を減らせば続けられそうだと感じたら、まずは金融機関のサイトから積立金額の設定変更を行いましょう。
積立自体が難しい場合は、毎月の積立を停止できます。停止は解約とは異なり、それまで運用してきた商品はそのまま運用され続けます。一時的に停止し、余裕ができたら再開することも可能です。
まとめ
つみたてNISAは、手数料0円で自由に引き出せます。しかし、信託財産留保額という解約手数料がかかったり、タイミングによっては元金を割り込んだりすることもあります。
つみたてNISAを将来のための資金準備として活用するためには、引き出しについても計画的に行うことが大切です。また、積み立てが苦しくなった場合は、まずは積立金額を減らす、積立を停止するといった対応を検討してみてください。
どうしても引き出さなければいけない場合は、一度にすべて解約するのではなく、一部だけを売却するのがおすすめです。
つみたてNISAを上手に活用して、将来への不安に備えましょう。
- ※2023年4月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
大木 千夏(おおき ちなつ)
独立系FP、金融ライター。もともとは臨床検査技師として病院に勤務、その後フリーランスライターとして独立した。ライターとして活動するうち、金融業界に興味を持ちAFP取得後、独立して横浜に事務所開設。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP。