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30代独身・夫婦の平均貯金額はいくら?必要な費用や貯金のポイントも解説
2024.10.17年代別×貯金方法〜これからの時代の資産形成
まずは、40代の人たちが平均的にどの程度収入があるのか確認してみましょう。ここでは国税庁の「民間給与実態統計(令和4年分)」より、40代前半と後半に分けてそれぞれの年収の平均値を紹介します。
41〜44歳の平均年収は、491万3,000円(2022年分)です。男女別では、それぞれ以下のとおりとなっています。
45〜49歳の平均年収は521万1,000円(2022年分)で、41〜44歳と比べて約30万円高くなっています。男女別では、それぞれ以下のとおりです。
ここからは、40代の貯金額に注目していきましょう。
金融広報中央委員会の「令和5年(2023年)家計の金融行動に関する世論調査」によると、40代の平均貯金額は811万円です。とはいえ平均値は、集計するデータのなかに飛び抜けて大きいまたは小さい数値があると、その影響を受けやすくなります。必ずしも実態を反映した結果とはならないため、貯金額が普通より多いのか少ないのかを知りたいときには中央値を参考にしましょう。中央値とは、調査データを大きいほう(または小さいほう)から順に並べたときに中央にくる値のことです。
同調査結果では40代の貯金額の中央値は180万円です。
貯金額は、世帯人数や年収によっても変わるでしょう。そこで、ここでは単身世帯と2人以上世帯それぞれで40代の貯金額を確認してみましょう。
【40代の平均貯金額と中央値】[注1]
下の表は横にスクロールできます
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
単身世帯 | 559万円 | 47万円 |
2人以上世帯 | 889万円 | 220万円 |
なお、先ほど紹介した貯金額(平均値・中央値)は貯金(金融資産)がないという世帯も含めたものです。貯金(金融資産)がない世帯を除いた場合の貯金額は以下のとおりです。
【金融資産を保有していない世帯を除いた40代の平均貯金額と中央値】[注2]
下の表は横にスクロールできます
平均額 | 中央値 | |
---|---|---|
単身世帯 | 964万円 | 500万円 |
2人以上世帯 | 1,236万円 | 500万円 |
続いて、年収別の40代の貯金額の平均値と中央値を紹介します。
【年収別・40代の平均貯金額と中央値】[注3]
下の表は横にスクロールできます
年収 | 単身世帯 | 2人以上世帯 | ||
---|---|---|---|---|
平均値 | 中央値 | 平均値 | 中央値 | |
収入なし | 156万円 | 0円 | 9万円 | 0円 |
300万円未満 | 206万円 | 0円 | 170万円 | 0円 |
300〜500万円未満 | 730万円 | 263万円 | 289万円 | 100万円 |
500〜750万円未満 | 1,128万円 | 800万円 | 833万円 | 310万円 |
750〜1,000万円未満 | 2,041万円 | 2,350万円 | 1,016万円 | 630万円 |
1,000〜1,200万円未満 | 500万円 | 500万円 | 2,169万円 | 1,155万円 |
1,200万円以上 | 0円 | 0円 | 3,538万円 | 1,620万円 |
貯金をする際は、ライフイベントで必要になるさまざまな費用の目安を知っておくことも大切です。40代以降では、一般的に以下の費用が必要になります。
40代ではまだまだ教育費の準備が必要な人も多いでしょう。文部科学省の「子供の学習費調査(2021年度)」によると、幼稚園から高校までの学習費総額の平均は以下のとおりです。[注4]
大学費用は進学先や専攻する学部によってばらつきも大きいですが、文部科学省のデータを参考にすると、大学(昼間部)に4年間通った場合の費用総額(入学料・授業料・施設設備費等)の目安は以下のとおりです。[注5][注6]
40代では子どもの成長とともにマイホームの購入を検討する人も多いです。購入を検討する際は不動産価格や諸費用だけでなく、不動産取得税なども含めて資金計画を立てることが必要です。住宅購入に必要な資金額は地域や購入する物件などによって異なりますが、実際にマイホームを購入した人の平均額を参考にするのもよいでしょう。住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」によると、購入時に要した費用の平均は物件種類ごとに以下のとおりです。[注7]
緊急予備資金とは、病気や事故、災害、失業などで収入が途絶えた場合の生活費として備えておくお金で、年代に関係なく必要です。最低でも生活費の3〜6ヵ月分を目安に確保しておきましょう。
40代になると老後資金の準備も本格的に進めていくことが望まれます。老後に必要となる資金額の目安を知り、計画的に準備していきましょう。金融庁の「高齢社会における資産形成・管理(2019年6月)」によると、夫65歳以上、妻60歳以上の無職高齢夫婦では、公的年金以外で老後に必要となる資金は1,300万〜2,000万円程度とされています。
老後必要資金の目安を紹介しましたが、実際には一人ひとりの老後生活に対する希望によっても必要額は変わります。以下で紹介するポイントをイメージしながら、自分の家庭で必要となりそうな老後資金額の目安を計算してみましょう。
まずは、リタイアした後に必要となる出費額を計算してみましょう。生活費だけでなく、生活費以外で必要となる出費も見積もっておくことが大切です。例えば、自宅のリフォーム資金や子どもの結婚や出産、入学など、さまざまなイベントでかかる費用を援助することがあるかもしれません。
これらの発生しそうな出費を書き出し、どの程度かかるのか計算してみましょう。その金額を老後の生活費に足せば、老後の出費額の目安がわかります。
次に、退職後に見込まれる収入を確認してみましょう。その際、退職金などの一時的な収入と年金などの継続的な収入に分けたり、受給できる時期(年齢)も確認したりすると資金計画を立てやすくなります。
自分の年金額がわからないという人は、日本年金機構のWEBサイト「ねんきんネット」を利用するのがおすすめです。現状での年金額や60歳まで加入し続けた場合の年金見込み額などを確認できますので、ぜひ試してみてください。
退職後の収入見込み額から退職後の出費額を差し引くと、老後までに貯金しておくべき金額がわかります。すでに退職後のために確保している資産がある場合は、その金額を必要な貯金額から差し引いて調整することができます。
このとき考慮しておきたいのが、老後の理想的な貯金額です。老後の理想は人それぞれですが、公益財団法人生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(2022年)」によると、経済的にゆとりのある老後生活を送るためには、最低日常生活費以外に月額平均14万8,000円が必要だとされています。
この上乗せ額の使い道は、旅行やレジャー、日常生活費の充実、趣味や教養、身内とのつきあいが多くなっています。最初に書き出した生活費以外の出費にこれらの費用が含まれていない場合は、あらためて月15万円程度のゆとり費用を加算しておくことが望まれます。
40代の中にはまだ子どもや住宅購入のための費用がかかり、老後資金準備の余裕があまりないという人も多いかもしれません。このような場合でも、老後に向けて少しずつでも堅実に貯金することが望まれます。以下のような方法で老後資金準備に取り組んでみましょう。
まずは普段のお金の使い方を確認し、無駄な支出がないか確かめましょう。無駄な支出があればできるだけ削減し、その分を貯金に回します。少しずつでも継続することが大切です。普段から家計簿や預金通帳、クレジットカード明細などで支出管 理をする習慣をつけましょう。
クレジットカード利用などで積極的にポイントを貯め、貯めたポイントを必要な支出に利用しましょう。そうすると、実際のお金による出費を減らすことができます。
とはいえ、ポイントを貯めるために無駄な買い物をするのは本末転倒です。ポイント還元率が高いカードを選んだり、買い物時に還元率がアップする店舗を選んだりして支出額を増やすことなく賢く貯める工夫が大切です。
通信費やサブスクリプション、保険料など毎月一定額を支払う固定費を見直しましょう。これらの費用を削減できれば、その後も効果が続くため、効率的に節約できます。特に保険の場合、公的保障の保障内容との重複がないか、また子どもの成長にともない、保障内容が現在の状況に適しているかを確認することをおすすめします。
さまざまな工夫で節約できても、節約で浮いたお金を貯金しなければ、結局は別の支出に使ってしまう可能性があります。確実に貯金できるように、先取り貯金を始めましょう。先取り貯金とは、収入を得たらすぐに一定額を貯金に回すことで、確実に貯蓄を増やす方法のことです。残ったお金で生活費のやりくりをすることで、自然と支出を抑える習慣が身につきます。
効率よくお金を増やしていくためには、新NISAとiDeCoなど税制優遇制度の利用もおすすめです。それぞれの違いを理解しておきましょう。
下の表は横にスクロールできます
新NISA | iDeCo | |
---|---|---|
年間投資上限額 | 360万円 (つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円) |
公的年金制度の区分等により、 14万4,000円〜81万6,000円 |
投資方法 |
|
積立 |
運用商品 |
|
定期預金、投資信託、保険商品 |
税制メリット | 運用益が非課税 |
|
資金の引き出し | いつでも可能 | 原則60歳まで不可 |
途中解約 | いつでも可能 | 原則不可 |
先取り貯金には新NISAのつみたて投資枠の利用もおすすめです。つみたて投資枠では金融庁が定める基準を満たした投資信託およびETFを定期的に積立投資できます。年間最大120万円までの積立が可能で、運用益が非課税になります。一度申し込めば、定期的に一定額の投資信託が自動的に購入されていくため、購入のタイミングを計る必要がありません。
また、対象となる投資信託は販売手数料がかからず、信託報酬が一定以下の長期・積立・分散投資に適した銘柄に限定されており、リスクが低めのものも多いため、投資初心者でも投資に取り組みやすいメリットがあります。
新NISAについて詳しく知りたい方は、「新NISAとは|これまでの制度との違いや注意点をわかりやすく解説!」もぜひお読みください。
iDeCoは個人型確定拠出年金の愛称で、公的年金を補填する目的で作られた制度です。
自分で運用する商品を選び、定期的に掛金を拠出し、原則65歳まで運用します。受給開始年齢は60〜75歳の間で、自分が受け取りたいタイミングで受給することができます。拠出できる金額は加入している公的年金の種類や職業、会社の企業年金制度などによって上限額が決められています。
原則60歳まで引き出しができないため、老後資金準備がしやすいメリットがある一方で、途中解約も原則できないため、家計の状況をよく確認したうえで始めることが大切です。
iDeCoについては「iDeCo(イデコ)とは?〜基本の仕組みや特徴を理解しよう〜」の記事で詳しく説明しています。ぜひお読みください。
40代で資産運用・投資を始める人は、以下の3つのポイントを心がけましょう。
資産運用の目的を明確にしましょう。例えば、子どもの大学進学資金や老後資金などです。目的を定めることで、目標金額や運用期間の設定がしやすくなり、毎月の積立額や適する運用商品を決めやすくなります。
資産運用・投資の安定性を高めるために、長期・分散・積立を意識した運用を心がけましょう。運用期間が長くなるほど、利子に利子がつく複利効果が高まり、効率的にお金が増えていきます。少数の商品や銘柄に集中的に投資するよりも、できるだけ多くの商品や銘柄に分散することで全体的なリスク軽減につながります。一括で投資するよりも積立投資をすることで、購入タイミングを分散でき、リスク軽減につながります。
長期・分散・積立を実現するには投資信託の積立投資をする方法もあります。
資産形成では、貯金するお金と資産運用・投資に回すお金のバランスを取ることが大切です。資産運用や投資には、株式や投資信託など価格が変動する商品が含まれます。これらは高い収益の可能性がある一方で元本が保証されておらず、市場の状況によっては損失のリスクがあります。資金が必要なときに金融商品の価格が下落する可能性も考慮して、貯金も確保しておきましょう。
貯金と資産運用のバランスを取りながら資産形成に取り組むためには、普段の支出や貯金残高、資産運用の状況などをきちんと管理することが大切です。そこで活用したいのが、三井住友銀行の金融総合サービスOliveです。カードの利用状況や預金口座の動き、資産運用の状況も1つのアプリで簡単にチェックできます。また、OliveからSBI証券の口座開設ができ、三井住友カードを使ってSBI証券の投資信託を積み立てるクレカ積立にも取り組めます。Vポイントも効率よく貯めることができるため、家計の節約にも役立つでしょう。
くわしくはこちらをご覧ください。
40代は、教育費や住宅購入資金など大きな出費が見込まれる一方で、老後に向けての準備も本格化させたい時期です。少しずつでも堅実に貯金を増やしていくためにも支出管理や固定費削減、先取り貯蓄に取り組みましょう。ポイントを貯めて活用するのもおすすめです。
効率よくお金を増やすためには、非課税投資ができる新NISAなども検討してみましょう。ただし、安全性の高い貯金と成長を目指す資産運用のバランスを取ることも大切です。資産管理をより効率的に行うツールとして三井住友銀行が提供しているデジタル口座のOliveの活用もご検討ください。支出管理や貯金の状況、資産運用状況が確認しやすくなり、資産づくりに役立ちます。
續恵美子
ファイナンシャルプランナー(CFP®、ファイナンシャル・プランニング技能士)
生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。
渡仏後は2年間の自己投資期間を取り、地元の大学で経営学修士号を取得。地元企業で約7年半の会社員生活を送ったあと、フリーランスとして念願のファイナンシャルプランナーに。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。