#02
使いやすさへの取り組み
デジタル初心者にも上級者にも使いやすいアプリへ。
三井住友銀行が歩みだした道のり。
2020.11.16
情報通信機器の世帯保有率の推移
2017年にパソコンとスマホの保有率が逆転
2010年以降スマートフォン(スマホ)が急速に普及。2017年には世帯保有率がパソコンと逆転し、幅広い世代にとって暮らしを便利にするツールとなった。
全社を挙げてデジタライゼーションに取り組む三井住友銀行では、ここ3年間でお客さまのデジタル利用率が飛躍的に上昇。約4割がインターネットバンキングを日常的に活用するまでになっている。
その牽引役となったのが、2019年にリリースした『三井住友銀行アプリ』。
「キャッシュレス化が進む中、暮らしに身近な金融機関である銀行は、お客さまにどんな体験が提供できるかを追求しました」と、開発デザイナーの堀は語る。2019年グッドデザイン賞を受賞した当アプリの開発ヒストリーと今後のビジョンを、リテールIT戦略部の安藤と堀に聞いた。
使いやすさに取り組む人
堀 祐子
(ほり・ゆうこ)
リテールIT戦略部
デジタル戦略
企画グループ
デザイン
コンサルタント
「銀行のサービスは難しい」から脱却すべく、
快適なアプリになるように
UXとUIの向上に力を注いでいる。
安藤里奈
(あんどう・りな)
同部
デジタル推進
第一グループ
部長代理
アプリを通して銀行サービスを
より心地よく便利に使っていただくため、
機能改善やレベルアップを行っている。
銀行のアプリは、
誰もが使いやすくあるべき
いつでも、どこからでも口座残高確認や振込ができるインターネットバンキング。便利である一方、銀行窓口やATMでの手続に慣れたお客さまにご利用いただくには、まだ大きな壁があった。
三井住友銀行では、2016年からインハウスデザイナー制※を採用。アプリのリニューアルプロジェクトでは、堀がUX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナーとして、また安藤が企画を担当し、2人が中心となって開発を進めていった。
※インハウスデザイナー:企業の中でその企業専門にデザイナーとして働く人のこと。「社内デザイナー」や「企業内デザイナー」とも呼ばれる。
堀:開発当時は、日本にキャッシュレス化の波が押し寄せた頃。モバイル決済等のサービスも多様化し、三井住友銀行のアプリも早急なレベルアップが求められていました。
とはいえ、銀行アプリという特性上、幅広い属性の人にとって使いやすいものでなくてはなりません。誰もが簡単に、そして安全に使えるようにすることは大前提でした。
安藤:「誰にも使いやすく」という点が、開発する上で一番難しかった点でもあります。「使いやすさ」は人によって感じ方が異なります。
全体的な操作感については、500名の一般の方に参加いただきテストを実施し、使用するアプリ内のアイコン、用語や表現、画面遷移の一つを考える上でも、多くの方の意見を参考にしました。
今あるアプリ画面の要素一つひとつに意図や理由があります。
自社所有インタビュールーム「YOUR VOICE」
一般の方がテストに参加いただく際に利用。
インハウスデザイナーが、
お客さまの理想の体験をカタチに
アプリの開発コンセプトは、キャッシュレス時代の「新しいお財布」。お客さまにどんな体験を届けたいかを考えるところからスタートしたという。
堀:私はUXデザイナーとして、お客さまにとって理想の体験を追求しました。海外アプリのベンチマークを徹底したり、ユーザーテストの結果からニーズを洗い出したり。お客さま目線で体験をデザインし、アイデアをカタチにしていきました。
安藤:サービスを利用する際のステップが複雑だと、お客さまが途中で挫折してしまうかもしれません。どれだけ操作をシンプルにできるかを大切にしました。
記載する文章も、表現の正確さが求められてつい説明が長くなりがち。銀行の専門的なサービスについて、どうすればお客さまに正確かつ分かりやすく伝えられるか、細かい部分まで徹底的に見直しました。
堀:また、お客さまは1つの銀行の口座だけを使っているわけではありません。決済方法も、クレジットカード、電子マネー、QRコード等多様化している状況。
そこで、私たちが目指したのが、キャッシュレス時代だからこその便利さを届けられる、“お財布以上のお財布”でした。
ただの財布の代わりでは満足しない。
お金全体が管理できる新しいお財布へ
2019年3月、リニューアルしたアプリをリリース。リニューアルとはいえ、まったく新しいアプリが誕生した。
安藤:残高照会や振込に加え、キャッシュレス生活に必要な新機能を追加しました。多機能ながら直観的に操作ができ、また初めて利用されるお客さまにも使いやすいアプリになったと思います。
おかげさまで、新規ダウンロード数は同時期3ヵ月間の前年比で1.8倍という結果を残せました。
堀:クレジットカード等の決済分野を事業とするグループ会社の三井住友カード(株)と一部を共同開発することで、ホーム画面では、口座残高とともにクレジット利用額も確認できるような仕組みとしました。
キャッシュレス決済は、「どれだけ使ったかが把握しにくいから不安」という声がありますが、同じ画面上で、入ってくるお金と出ていくお金がひと目で分かるようになれば安心を届けられるはず。
2019年にはグッドデザイン賞も受賞
安藤:さらに、家計簿アプリ「Moneytree(マネーツリー)」と連携することで、さまざまなキャッシュレス決済を活用しているお客さまが、SMBCグループ以外のあらゆる金融資産も含めたお金の流れ全体を管理できるようにしました。
堀:SNS等で「他の金融機関と口座連携できるなんて!」といったお客さまの喜びの声を見つけると、取り組んで良かったと感じています。
対面のコンサルティングのように、
今後はパーソナライズした情報も
アプリはリリースして終わりではない。アップデートを繰り返しながら、お客さまのニーズに応えられるようこれからも進化し続けていく。
堀:リリース後にお客さまから「アプリにミドすけ(三井住友銀行のキャラクター)がいなくて寂しい」という声をいただき、ミドすけの着せ替え機能を追加。“隠れミドすけ”を入れる等、遊び心も加えているんです。
安藤:アプリストアやSNSに届くコメントをまめにチェックし、できる部分から対応しています。外国語対応も、リクエストを受けたことで、英語、中国語、韓国語、ベトナム語の4ヵ国語に対応しました。
アプリストアの評価を見ると、期待を裏切らないように頑張りたいと身が引き締まりますね。
堀:オンラインでできることが増える一方、窓口ではお客さまと接する機会が減り、ご相談やお悩みに対応しにくくなっているという課題が出てきました。
そこで、電話やチャットで資産運用や住宅ローン等について相談できるサービスもスタートしています。今後は、対面で行っていたようなパーソナライズされたサービスの提供をアプリでもできるよう開発していく予定です。
安藤:2020年8月からは、アプリのホーム画面にお客さまに合わせたコンテンツをご案内するエリアを設置しました。
さらに今後は、お客さまの日常生活やライフプランの中で、真に必要な情報をタイムリーに提供していくことができるように、レベルアップしていきたいと考えています。
デジタル化が進む中、店舗の窓口以上に、アプリが銀行サービスの顔になる、そんな気持ちで今後も取り組んでいきます。
コロナ禍を経験し、行政手続をはじめ、暮らしに身近なデジタルトランスフォーメーションがますます加速することが予想されている。
三井住友銀行のアプリも、「誰もが使いやすい」アプリから、「あなたに役立つ」アプリへ。挑戦はまだまだ続いていく。
※2020年11月現在の情報です。
今後、変更されることもありますのでご留意ください。
デジタル初心者にも上級者にも
使いやすいアプリへ。
三井住友銀行が歩みだした道のり。
- 社内にインハウスデザイナーを採用し、
お客さまの理想の体験をデザイン - 目指したのは、三井住友銀行口座だけでなく、
SMBCグループやあらゆる金融資産を含めた
お金全体を管理できるアプリ - 今後は銀行窓口以上に
「アプリ」が銀行サービスの顔になるべく
パーソナライズを強化