#04

ライフラインを守る取り組み

大切なお金を毎日、安心してご利用いただくために。

ATMの「これまで」と「これから」。

2021.02.08

全国のATM設置数の推移

近年緩やかな減少傾向にあるものの、今も10万台以上が稼働

全国のATM設置数の推移

※全国銀行協会調べ(ゆうちょ銀行を除く)各年9月末現在

日常生活に関わる入出金や振込等を支えるATMは「お金のライフライン」ともいうべき存在。昨年はコロナ禍による緊急事態宣言下でも、各金融機関の努力によって、全国のATMが人々の暮らしを守る役割を果たし続けた。

しかし、インターネットバンキングやキャッシュレス決済の普及を背景に、近年は設置数が減少傾向にあるという。

ATMはどのような仕組みによって維持・管理されているのか。また、三井住友銀行が導入を進めているという「高機能ATM」は、お客さまや銀行自身にどのようなメリットをもたらすのだろうか。
チャネル戦略部の佐藤と、事務統括部の脊戸に聞いた。

安定のサービスを支える、
強固な仕組みと人の力

銀行にとって「窓口を代替する手段」であるATMは、窓口のスタッフが対応するのと同様に「いつでも安心・安全に利用できるもの」でなくてはならない。
三井住友銀行では、24時間365日体制のセンターで数十名のスタッフがATMの状態の把握に努めているため、不測の事態が起きたとしても、すぐに検知して対応することができるという。

佐藤:ATMにトラブルが生じた場合、すぐに当行のセンターや提携する警備会社へ通知されます。通知を受けた各社・各部署のスタッフは監視カメラの映像等で状況を確認して修理や通報等の対処を行い、復旧に取り組みます。

センターではATM内の現金に過不足を生じさせないため、常時モニタリングをしています。定期的な補充では間に合わないと判断された場合は、緊急的な補充を行います。

ATM備え付けのインターホンを通じてお問い合わせをいただいた際には、操作方法や手数料について、センターのスタッフがご案内しています。お寄せいただいたご質問の内容等は、定期的に行内の担当部署に共有され、サービスの品質向上に活かされています。

ATMで振込をする際、銀行名や口座番号を入力すると、振込先の口座名義が表示されますよね。あの機能は、振込先を誤ってしまうことを防ぐために国内多数の金融機関が協力して、ご提供できているサービスです。

三井住友銀行のATMには、暗証番号の変更や、磁気が弱くなってしまったカードを自動的に修復する機能※1も備わっています。かつては支店が開いている時間でしか対応できなかったことを、ATMで行えるようにしているわけです。
※1:2021年2月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

災害発生時への備えで、
万一の際にも安心と便利を

地震や台風等が発生した際にまず懸念される問題は、ATMに供給される電源が落ちてしまうことだ。その場合、お客さまにご迷惑をかけるのはもちろん、安心・安全にご利用いただくためのさまざまな機能も停止し、安定運用が妨げられるリスクも高まってしまう。

そうした万一の事態を回避するべく、三井住友銀行はBCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)を策定している。

佐藤:ATMへの電気の供給が途絶えたことが確認されると、警備や現金の輸送・装填の委託先である警備会社と、システムやハードの障害についての対策を委託しているメーカーに対して、当行のセンターから情報が共有されます。そして一時的にATMの稼働を停止し、盗難を防止するべく安全措置が取られます。

ATMに直接的な問題が発生していなくても、お客さまにご利用いただけなくなるケースもあります。たとえば、ATMのある拠点や施設付近の道が倒木で塞がれてしまうとか、ATMの設置された建物に火災が発生する等した場合ですね。そんなときはお客さまに代替手段をお知らせしたり、我々が実際に現地へ出向いたりし、ご不便をおかけしないための対策を講じます。

以前、台風で電線が切れたことによる漏電で、当行のATMが設置された駅舎に火災が発生したことがありました。現場は当行の有人拠点がない地域であり、電源が落ちたので、状況把握もできません。その上、周辺が封鎖されてしまったために、警備会社の警備員もATMの状態を確認することができなかったんです。

そこで私を含む数名で現地を訪れ、ATMに近づく人がいないか、24時間体制で見張ることに。消火活動が終わった後で黒焦げになったATMを確認したところ、中身の現金は無事だったので、ホッとしました。

こうしたエピソードからもお分かりいただける通り、当行がご提供するATMはシステムや技術力はもちろん、それらを運用する人間の力によっても支えられているのです。

ちなみに東日本大震災が発生して電力の供給が逼迫した際には、当行も節電への協力として、やむなく関東地方の全店舗外ATMの休止および支店ATMの時間短縮を実施することに。お客さまへの影響を最小限に抑えるために、代替手段となるコンビニATMの手数料優遇等を実施しました。

それでも「三井住友銀行のATM」再開を望むお客さまが多く、改めて、ATMがライフラインであり、私たち銀行員はその機能維持を担っているのだということを痛感させられましたね。

「脱・常識」で挑んだ、
ATMでの「税公金収納」

「税公金収納」は銀行にとって事務負担が大きく、そのためお客さまの待ち時間を長引かせる要因ともなっている業務だ。税金や公共料金は、自治体や収納企業が発行する“紙の納付書”を使用して窓口で支払うため、デジタル化が難しいとされてきた。

しかし三井住友銀行では、窓口の事務作業を軽減し、お客さまの待ち時間を短縮するために、税公金受付の簡易化が可能な、「高機能ATM」の開発・導入に踏み切った。

脊戸:税金や公共料金の納付には、口座振替やクレジットカードを利用されている方がいる一方、企業や自治体から送られてきた「納付書」で納付しているお客さまも多数いらっしゃいます。この“紙の納付書”による税公金収納は、金融機関にとってもお客さまにとっても、大変な手間とコストがかかります。

窓口では、受付した納付書を集約し、企業や自治体宛に振込を行うと同時に、書面を郵送します。納付期限を過ぎていた場合は、自治体宛に受付可否の確認等も必要です。
税公金の納付は実施時期が限定されるため、納付期間の窓口は混雑し、お客さまをお待たせすることになってしまいます。

このような状況を打開するには「ペイジー(Pay-easy)による電子納税にATMが対応できれば良いのでは」と考え、2017年より受付簡易化につながる「高機能ATM」の開発に取り組みました。

税公金納付以外に、一度に大量の紙幣・硬貨が取り扱える※2のも「高機能ATM」の特長の一つで、窓口の混雑解消につながっています。

このような「高機能ATM」は、2021年3月までに300拠点への導入を予定しており、その後も拡大予定です。コロナ下での非対面受付を望まれるお客さまにもご好評いただいています。
※2:紙幣なら900枚、硬貨なら500枚までの入出金が可能

高機能ATM

「高機能ATM」で進化する
コンサルティング

三井住友銀行では、以下のような「店舗改革」を過去数年にわたって推進してきた。

①店舗の在り方を変える ▶お客さま相談スペースの拡充
②事務プロセスを変える ▶各支店での作業から、専門部署への集約
③サービス提供方法を変える ▶窓口受付からSMBCダイレクトや「高機能ATM」へのシフト

この改革には、単なる業務効率化に留まらない、大きな狙いがあった。

脊戸:よく「銀行員は、1円でも勘定が合わなければ帰宅できない」といいますよね。これはお客さまの大切な財産をお預かりしている以上、当然のことです。窓口での現金授受により、銀行内では、残高確認等多数の業務が必要になります。私たち銀行員にとって、非常に重要であり責任も重い業務です。

しかし「高機能ATM」の導入により、それまでは窓口でしか扱えなかった取引がATMでも可能になりました。現金の取扱いをATMに集約することで、行員が現金に触れる必要のない環境が実現します。

もちろん、すぐに全店舗がそのような形になるわけではありませんが、お客さまへの運用相談等コンサルティングに特化した店舗では、順次このような環境の整備を推進する予定です。これにより、お客さまへご提供するコンサルティングのサービス内容について、一層の向上が期待できます。

もちろん、機械の操作に不慣れなお客さまへは、ロビーのコンシェルジュが操作方法を丁寧にご説明しますので、ぜひお気軽にお声かけください。また、ATM以外にも、SMBCダイレクト(インターネットバンキング)や、キャッシュレスのご利用もあわせてご検討ください。

佐藤:私たちが取り組んできた「店舗改革」の狙いは「コスト構造改革」と「お客さまへのサービス向上」です。お客さまにとって、より質の高いコンサルティングサービスとホスピタリティをご提供していきたいと思っています。

デジタル技術が進歩した今、銀行員は人にしかできないサービスに力を注ぎ、お客さまのニーズにお応えすることが重要だと考えています。ATMは、現金の入出金・振込・納付等の手続をする機械ではありますが、お客さまに三井住友銀行を身近にかつ便利に感じていただくための存在として、これからも改善していきたいと思います。三井住友銀行のさらなる改革にご期待ください。

※2021年2月現在の情報です。
今後、変更されることもありますのでご留意ください。

大切なお金を毎日、
安心してご利用いただくために。

ATMの「これまで」と「これから」。

  • 24時間365日体制のセンターを中心とする、万全のサポート体制
  • 災害発生時も「安心・便利」を守り抜く仕組みと、人の力
  • 税公金を取り扱える「高機能ATM」を各地の拠点に順次導入
  • 「店舗の改革」で、お客さまへのコンサルティング力を強化