個人投資家が
「ネイサンの逆売り」から学べること

約200年前に起きた「ネイサンの逆売り」と呼ばれる出来事は現代でも投資の世界では伝説とされています。
過去の出来事を振り返り、現代の資産運用を考えてみましょう。
ネイサンの逆売り
ナポレオン戦争は、フランスの第一執政期および第一帝政期の一連の戦争で1815年終結しました。
この戦争は、投資の世界でも伝説的な戦いと言われています。
当時はインターネットや電話が一般的ではなかった時代です。
イギリスの投資家たちは、優れた情報収集体制で知れ渡っていたイギリスの銀行家『ネイサン(1777〜1836)』の動向を注視しており、「ネイサンのとった行動に続けば、利益を出せる」と信じていたとまで言われています。
ナポレオン戦争時、イギリスは国債(コンソル公債)を発行することで戦費を調達しており、
「イギリスが戦争に勝てば国債価格は高騰し、逆にイギリスが負ければ暴落する」と考えられていました。
1815年のワーテルローの戦いの最中、ネイサンは青ざめた顔でイギリス国債を売り始めたのです。

ネイサンが国債を売却していること知った投資家達は、一斉に国債を売り始めたと言われています。
「イギリス敗戦」との情報が出回り、市場は狂乱的な売りとなりました。
しかし、実際の戦争の結果は逆でした。イギリスは勝利していたのです。
ネイサンは「イギリス敗戦」と見せかけ、国債の価格を暴落させた後、
値下りしたイギリス国債を密かに買い集め、全体の6割近くを買い占めたと言われています。
イギリス国債はネイサンが売却し始めた時より大きく値上がりし、ネイサンは莫大な利益を手にしました。
イギリス勝利・ナポレオン敗北という、本来はイギリス国債の「買い」の局面で敢えて「売り」を行い、価格が下がったところで「買い」に走ったこの行為は、「ネイサンの逆売り」と呼ばれています。
この投資界の伝説的な行為により、ネイサンの一族は世界の財閥ロックフェラーと肩を並べるまでになりました。
既にご存じの方もいるかと思いますがネイサンのラストネームはロスチャイルドです。
ネイサン・メイアー・ロスチャイルドのこの行動は、金融界を牛耳る財閥の神話的な誕生物語として、語り継がれています。

わたしたち現代の個人投資家が学べること
話を現代に戻します。
2016年に注目された政治イベントといえば、イギリスEU離脱国民投票とアメリカ大統領選挙です。
私(コラム著者)も当時のニュースを見て、イギリスはEUに残留するものと思っていましたし、アメリカ大統領選挙もヒラリー・クリントンの勝利と信じていました。
しかし、実際はどちらも逆の結果となりました。相場はサプライズを受け、2回とも大きく変動しました。
もし「ネイサンの逆売り」の再来だったら、と想像すると、興味深い出来事です。
無論、現代でデマ情報を流して相場を操るなど犯罪になりかねない行為なので、妄想に過ぎませんが。
これらのことから、私たち個人投資家が学べることは2点と考えています。
1点目は相場の変動に一喜一憂せず、長い目で運用をするということです。
平時の生活資金で運用をしてしまうと、大きな相場変動の際に慌てて解約せざるを得ない状況になるかもしれません。
そのために三井住友銀行では、お客さまの資産を色分けし、余裕資金で運用を始めることをお勧めしています。
2点目は投資には相場と連動せずとも利益を出す方法があるということです。
投資信託といっても、指数と連動することを目指すインデックスファンドのようなもの、相場にかかわらず利益を出すことを目指すヘッジファンドのようなもの等、用いられる運用方法は様々です。
2020年に、三井住友銀行でもヘッジファンドの運用方法を用いた投資信託を導入しております。
ヘッジファンドの運用方法を用いた投資信託について詳しく聞いてみたい方は、ぜひお近くの三井住友銀行へご相談ください。