Sakura News Release

平成12年12月29日


頭取年頭挨拶要旨


 明けまして、おめでとうございます。
 20世紀が終わり、いよいよ21世紀が幕を開けました。
 2001年、今年は当行にとりましても、まさに歴史的な一年となります。申すまでもなく、4月に我々は三井住友銀行として新しい歴史を築いていくことになります。
我々は、この統合により、世界的な大変革の時にあって、この変化をリードし、再び、世界を代表する金融機関にチャレンジするしっかりした基盤、資格を獲得しました。
 しかし、戦いはすべてこれからであります。年頭にあたりその戦いを視野に入れながら「変化への対応力」と「相互理解と企業文化の創造」というふたつのキーワードについてお話したいと思います。

1. 変化への対応力
   まず、進化論で有名なダーウィンの話をご紹介したいと思います。
 彼は、大きな環境変化が起こったときに生き残る種について研究して、非常に興味深いことを言っています。生き残りのキーワードは、「既存の種の中での競争力の強弱」や、足が早いといった「身体的な能力」ではなく、「変化への対応力」である、ということです。このキーワードは新銀行にとっても非常に重要な時代感覚を与えてくれていると思います。
 「失われた90年代」の反動として、今後10年、おそらく日本の政治、経済、社会は、これまで以上の、極めて大きな構造変革を経験します。
 我々は数年内にも事業基盤を根底から変えかねない大きな変化に晒されることになると考えています。変化は新銀行にとって大いなるチャンスです。21世紀初頭、不良債権問題を克服して、金融事業は産業として成長産業になりうると確信します。
 すなわち、長く規制の下にあった金融事業ほど、金融手法や商品、ネットワーク等の開発余地が大きい業種はありません。また、金融事業は、情報産業そのものであり、IT革命の恩恵を最も享受できる特性を持っています。潜在成長性が高く、ビジネスチャンスが大きい。これが「銀行」の今のポジションであり、そうであればこそ、この時期に、金融界に流通や情報通信事業から新規参入が相次いでいるのです。
 まさに環境が根本的に変わり、種の間の競争が激化する環境です。進化論者のいう「変化への対応力」という言葉を、我々はきちんと噛み締める必要があるのでしょう。
 構造変化の環境下では、動きの中で、変化に対応するしかありません。
 動きのなかで幅広く、先入観にとらわれず情報を収集・分析できる本物の「情報力」。
 物まねでなく「先行力とオリジナリティーある企画力」。
 まず企画を素早く実行し、トライアル・アンド・エラーを恐れず、最終的な成功にまで戦略を貫徹する「行動力」。
 そして何より、変化をリードするという経営、役職員の「意思」が重要であります。
 我々は21世紀の年頭にあたり特にこのことを肝に銘じたいと思います。

2. 「相互理解と企業文化の創造」
   中間決算の実績は、昨年度決算の実績が、さらに確実なものとして市場から高い評価を得ることができました。
 また一方で、マスコミなどの調査によりますと、三井住友銀行は、「親しみやすく」「最も先進性に富み将来性のある」金融グループとして評価されております。
これは、さくら銀行が、長年得てきた「親しみやすさ」という評価を、三井住友銀行が継承できるというお客さまからの力強いメッセージであります。また、ここ一、二年の間に当行が進めて来た、@BΛNKやジャパンネット銀行、さくらローンパートナーをはじめとするさまざまな新規戦略を評価する声でもあります。
 こうしたことを総合してみれば、客観的にみても、我々は、十分な戦力をもっている、といえます。
 そこで三井住友銀行での我々の最大の課題は、チームワークであります。全役職員にとって、最も重要ことは、まず互いの違いをしっかりと認識することです。「相互否定でなく、相互理解」は、全ての出発点です。相互理解、其の上で「新銀行基準」でものを考える。この積み重ねによって、最も早く新銀行の企業文化が構築できるのです。

 先日来日された、親しい銀行経営者であり、3度の大合併を成功させたJPモルガンチェースのハリソン頭取が、「合併は科学ではなく、アートである」とおっしゃっておられます。彼が、合併において、「人を大事にし、企業文化を創造すること」が、最も重要であるという、まったく同じ思いをもっていたことに、統合という人間の営みを成功させる普遍性を改めて痛感しました。
 三井住友銀行の経営理念である「思う存分にその能力を発揮できる職場」を実現できるよう、私も全力を尽くすことを約束したいと思います。

3. まとめ
   新銀行は、当局認可を得て、近々、組織や主要人事を発表し、事実上スタートいたします。新銀行は必ず成功させなければなりません。我々ひとりひとりが、改めてこの歴史的大事業に関われる誇りと喜び、責任の重さを深く噛み締めたいと思います。
「一年の計は元旦にあり」といいます。西暦2001年4月、三井住友銀行発足のその時を、「百年の計」の礎とできるよう、残された日々を、共に、全力で歩もうではありませんか。

以上


(なお、あわせて本年も、昨年に引き続き住友銀行の西川 善文頭取より、当行役職員に向けて新年のご挨拶をいただきました。)


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