藤島大の楕円球にみる夢
(2026/10/05)
ゲスト/廣瀬雄也選手(日本代表/クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
三井住友銀行(SMBC)ほかがラジオNIKKEI第1で提供するラジオ番組「藤島大の楕円球にみる夢」は、スポーツライターの藤島大さんが素敵なゲストを迎えて、国内外のラグビーや日本代表などの幅広い情報を詳しく伝えています。 10月5日放送のゲストは、日本代表、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ所属、廣瀬雄也選手です。
藤島スポーツライターの藤島大です。ゲストは日本代表、そしてクボタスピアーズ船橋・東京ベイの“センター”と言いたいですね。色々なポジションができます、廣瀬雄也選手です。よろしくお願いします。
廣瀬よろしくお願いします。
藤島プロフィールを紹介します。2001年4月生まれ、福岡県の出身の25歳。お父さんの友幸さんは、スタンドオフでしたけれども、福岡サニックスボムズでプレーをしていました。
小学1年から地元の玄海ジュニアラグビークラブで競技を始めました。あの強い強い東福岡高校に進んで、3年の時は共同キャプテン。
U17日本代表、それから高校ジャパンにも選ばれています。
高校ジャパンはちょうどね、パンデミック、コロナで遠征がなくなって。
廣瀬ウェールズへの遠征がなくなりました。
藤島ここが大事なんですけど、明治大学の100代目のキャプテン。なりたいからといってなれるもんじゃない。これはものすごいことですね。2023年度ですね。決勝が2024年の新年。その時は帝京大学と戦って準優勝でした。雪の決勝戦を覚えておられる方も多いと思います。そしてクボタスピアーズに入ります。昨年8月30日、カナダ戦でジャパンに入り、現在までキャップ数は10。ポジション、12番の印象が強いですけれども、ジャパンで13番をすることもあるし、スタンドオフ、フルバックももちろんこなします。 182センチ、97キロ。 弟の幹太さんもラグビーを。
廣瀬福岡工業大学でやっています。4年生です。
藤島私、福工大のファンなんですよね。昔からしぶとくていいチーム。これ、私事ですけど、家の近所のよく行く酒場のマスターが明治の卒業生で、ラグビーが大好きな人。昨晩、そこで一人ビールを飲んでいたら、明治大学の熱烈なサポーターで、、福岡に住んでいるのに自費で明治の試合に全部飛行機で来て写真をひたすら撮るある方とその仲間が入ってきました。3人の明治の人に包囲されて、私が「明日、廣瀬雄也にたまたま会うんだ」って言ったら、いい大人が「おお」って言っていました。
廣瀬嬉しいことです。
藤島その写真を撮る方は、カナダ戦のデビューの時仙台に応援に行って、明治のフラッグを出したらちゃんとこちらを見て目で挨拶をしてくれて、そういう人間なんですと半分泣いていましたね。
廣瀬いやいや、そんな。
藤島というように愛される人です。先にジャパンの話から聞いていきます。昨年の8月にジャパンに入って戦ってきました。ジャパンに入ってみてどうでしたか?
廣瀬いきなり「明日来れるか」と急な電話が入ってきて、怪我人も多かったですから追加招集という形で入ったんですけど、いざジャパンの練習に入るとやっぱりハードですし、日本のハイレベルな選手たちが多い中で練習するのもすごくしんどかったですし、自分の足りないところがもろに出たような合宿期間だったので、きつかったですね。
藤島あの強いスピアーズ、海外の一流選手もいっぱいいる。そこで練習してポジションを取っていて、それでもジャパンに入ると違うんですか?強度とか?
廣瀬強度もそうですし、日本代表として戦う覚悟というものが違いますし、僕は入りたての時はそこを持ちきれなかったというか。ラグビーってメンタルの部分もすごく大事になってきますので、そこの価値観の違いは最初ありました。
藤島でも実際ジャージを着てどんどん戦っていく。試合に出てみてどうでしたか?
廣瀬夢ではありましたので、昨年の8月30日、カナダ戦でジャージを着た時は今でも覚えていますし、父も当時見に来てくれたんですけど、嬉しい顔をしていました。
藤島それは人間だから嬉しいですよね。その後、フィジー戦は初めての先発でしたね。強いですか?
廣瀬まだ10試合しかやってないですけど、一番フィジーがやりにくいなって感じました。身体能力が高いですし、サイズも大きいので上でつながれたり、倒しても倒してもオフロードとかでどんどんつながれたりというのがフィジーの怖いところでした。うまく対処しきれなくてすごく反省したし、本当に悔しかった1日でしたね。
藤島その後ダブリンでアイルランドと。途中から出られましたが、どうでした?
廣瀬最初の国歌斉唱のところ、アイルランドのラグビーアンセムですよね、あれを聴いた時に「自分、世界に立ってんやな」ってすごく感じましたし、実際に体を当ててみてもアイルランドの選手たちとこれだけ差があるのかと実感しました。
藤島ぶつかって、例えば痛いとか重いとかそういう感じなんですか?
廣瀬それもありますけど、それプラス、アイルランドってすごくシステム化されていて一人ひとりのスキルもすごく高いです。もうなす術ないというか、今までやってきたことを見直すべきだなと感じました。
藤島きっと真面目な性格なので見直すじゃないですか。自分で工夫して一人で練習したりするわけですか。
廣瀬そうですね。 クボタに帰ると、去年で言うとスコット・マクラウド・コーチとか元オールブラックスのディフェンスコーチ、田邉淳さん、優秀なコーチがいる中で素晴らしい環境でやらせていただいているので、日本代表から帰ってきた時にこういうところが通用しなかったとかそういう話をして、ワンオンワンで付き合ってくれたというのはありました。
藤島自分で身に染みて、一人で強くなろうと思って、いい助言も受けて、一人で動いていくのはすごく身につくでしょうね。
廣瀬はい。実際にそこで戦わないと気づかなかった部分ではあるので、いい経験だったかなと思います。
藤島年が明けて、今度は正式に呼ばれるじゃないですか。これはやっぱり違う?
廣瀬最初から呼ばれるのは自信につながりましたし、シーズン通してクボタでも12番をつけて出続けることができたので、そこはしっかり見てくれていたのかなっていうのはありますね。
藤島イタリア戦、先発していいゲームでしたね。やっぱりセンターにキックが得意な人がいるとジャパンとしては戦えると思って。廣瀬優也、貴重だなと思ってますね。
廣瀬ありがとうございます。相手の12番もメノンチェッロ選手という素晴らしい選手、チームとしても一番警戒していた選手でありましたし、その選手をどれだけ止めることができるかにかかってました。メノンチェッロの選手の映像とかはあまり見ないようにはしていたんですけど、いざ目の前に立つと、この人だけは絶対抜かしちゃ駄目だってずっと考えながらやってました。
藤島あの試合の前日だったかな、会見があって、記者の前に廣瀬さんが出てきて、ワールドクラスのセンターをどう止めるのかという話になった時に、あまり個人のことは意識しないんだ、そうすると試合中一喜一憂しすぎちゃう、と。鋭いなと思ったんだけど、そういう気持ちでやったら、シャットダウンとまではいかないけれど比較的封じることができた。自信になりましたか?
廣瀬自分自身もそうですけど、あの格上のイタリアに勝てたのが嬉しかったですし、ファーストキャップのメンバーも多くて、10番で言ったら同じ明治の伊藤龍之介がその当時ファーストキャップでした。若手メンバー主体の中で「ジャパン大丈夫か」とか言われていましたけど、しっかり勝てたことは自信にもつながりましたし、本当にいい時間だったかなと思います。
藤島このまま聞きますけど、伊藤龍之介選手は後輩ですね。いくつ違いかな?
廣瀬僕が4年生の時の1年生です。
藤島まさかジャパンでこんなに早く。
廣瀬現役大学生ですから、まさか龍と10番、12番で組むとは思ってなかったです。大学の時も組んだことはなかったと思うんですけど、お兄ちゃんの伊藤耕太郎とよく10番、12番で組んでいて、兄弟でプレースタイルも似ていますし結構やりやすいです。
藤島あいつならこれぐらいやるよっていうような感じですか?
廣瀬大学に入ってきた時からずば抜けてスキルは多彩だったので。自分で持っていく力もありますし、スピードもありますし、サイズは小さいかもしれないですけど、そこを感じることないぐらい。ジャパンでも本当に肝据わっています。ミーティングでも喋りますし、練習中もキャプテンの次に発言してチームをまとめようとしてくれているので、後輩ながらも尊敬しています。
藤島現役のど真ん中にいる人だから、あまり論評はできないでしょうけど、ジャパン、どんな感じですか?
廣瀬エディー・ジャパンが始まって3年目で僕は去年からしか入ってないですけど、去年よりチーム力も上がってきていますし、チームの雰囲気というのも昨年に比べたら桁違いぐらいにいい状態になっていると思います。エディーさんも今年から選手主体にどうしていくべきなのか考える時間を増やしていて、選手だけのミーティングも多いですし、チームのコネクションがすごく良くなっているんじゃないかなと思いますね。
藤島この流れで聞きたいんですけれども、ジャパンに入ってみて、影響を受けた人はいますか?
廣瀬リーチ マイケル選手などはそうですけど、ワーナー(・ディアンズ)選手ですね。年下なんですけど「どんな経験をしてここまでの人間になってきたのか」っていうぐらいキャプテンとしての器も大きいですし、本当に背中で語る男というか 、プレーもすごいです。
藤島私の記憶では、大学から進む時にセンターでは少し小さいんじゃないか、スタンドオフの方が、という声があった。でもセンターで行っているじゃないですか。
廣瀬逃げたら負けだと思ってるので。ラグビーは体の小さい大きいとか足速い遅いとか関係ないスポーツだと思ってますし、(クボタには)ハルさん(立川理道)もいます。ハルさんから学べるものを学んで、どれだけ日本人のセンターが通用するか試したいというのはありました。
藤島立川理道選手はスキル、パスが上手くて接近したプレーができてスペースをつけるけど、結局強いですもんね。
廣瀬判断力も上手ですし。リーグワンとかテストマッチレベルのプレッシャーを感じると判断力は鈍っちゃうんですけど、常に冷静に出せるのがハルさん。
藤島昨シーズン準優勝で終わって、今、クラブとしてどう動いているんですか?
廣瀬もちろん優勝は必ず目指します。僕自身、高校、大学、中学校の時の福岡県選抜でも準優勝で日本一を経験していないので、クボタで日本一をとりたいです。
藤島廣瀬優也という人は、ビッグゲームの前は部屋を綺麗に片付ける。
廣瀬父から常に自分の部屋の周り、自分が使うものとかしっかりと整理整頓しなさい、 それがプレーの雑さとかにつながると言われてそれがずっと心に残っていて、今でも試合前、トイレからキッチンから洗面台から風呂から全部、大掃除のように一人で何時間もかけて綺麗にします。
藤島立派ですね。サッカーの岡田武史さんという日本代表の監督が横浜マリノスの監督になった時にインタビューしたとき、まずクラブハウスの玄関を綺麗にした、と。世界の超一流のクラブはどこもクラブハウスの玄関が際立って綺麗だ、絶対関係あると思ったと言っていました。やっぱり関係あるんですね。
では最後です。ジャパンのファン、それからスピアーズのファンに何か一言。
廣瀬一段階成長して、またグラウンドでプレーを見せられるようにしっかり頑張っていきたいです。スピアーズでは優勝奪還に向けて、自分自身としてはワールドカップのメンバーに入れるように、そしてワールドカップで目標のトップ4に入れるようにやっていきたいなと思っています。
藤島ありがとうございます。今月のゲスト、日本代表、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ所属、廣瀬雄也選手、本当に忙しいところありがとうございます。
廣瀬こちらこそありがとうございました。
10月5日ラジオNIKKEI放送
「藤島大の楕円球にみる夢」
text
by 松原孝臣
- ラジオ番組について:
- ラジオNIKKEI第1で放送。PCやスマートフォンなどで、ラジコ(radiko)を利用して全国無料にて放送を聴ける。音楽が聴けるのは、オンエアのみの企画。放送後も、ラジコのタイムフリー機能やポッドキャストで番組が聴取できる。動画版はU-NEXTで配信中。
10月5日放送分ポッドキャスト
http://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/rugby-radio/rugby-radio-261005.mp3
U-NEXTでは画像付きの特別版を配信
https://www.video.unext.jp/title/SID0100786