ペット保険市場は年々拡大。一方、加入率はわずか9%

ペットは、日常の中に癒しや潤いを与えてくれます。そんなかけがえのないペットを守ってくれるペット保険市場が堅調に拡大しており、2017年度にはおよそ600億円ほどと推定されています(アニコムホールディングス調べ)。市場規模は、ここ5年間でおよそ2倍へと急成長しています。
ペット保険市場のグラフ
  • 出典:アニコム損保HPより(三井住友銀行作成)
市場規模が拡大している一方で、ペット保険への加入は普及していないのが現状です。
ペット保険の先進国といわれるイギリスでは加入率が22%(2009年度、Datamonitor社調べ、犬猫飼育頭数約1,520 万頭を対象)であるのに対し、日本国内のペット保険加入は、わずか9%にとどまります(2018年度、アニコムホールディングス調べ、犬猫飼育頭数約1,800 万頭を対象)。日本においては、ペット保険の重要性について認知がまだ低いようです。

こんなにかかるの? ペット治療費は意外と高額

人間であれば、ケガや病気になって病院にかかった場合、健康保険制度が確立されているので、一般的に支払う金額は、実際にかかった医療費の3割だけで済みますが、ペットに健康保険制度はありません。治療費は全額自己負担となります。料金は動物病院によって決められているため、想定外に治療費が高額になってしまうケースもあります。
たとえば、骨折による手術1 回・入院7日間を行った場合、治療費は合計で約27万円かかります。

ペットの治療費のシミュレーション(骨折した場合)

初診料 1,620円
入院料(7日間) 68,040円
点滴 21,060円
血液検査 12,960円
レントゲン検査 11,880円
注射料 8,640円
麻酔 14,040円
手術 129,600円
合計金額 267,840円
  • 金額はあくまでも一例であり、医療水準を案内するものではありません。
  • 各診療項目別ごとの価格は動物病院によって異なりますので、ご了承ください。
また、人間と同様、ペットも加齢とともに病気やケガにかかるリスクが高まる傾向があります。例えば、犬であれば弁膜症や心不全といった循環器疾患にかかる割合は、0歳では0.3%ですが、12歳になると14.6%に跳ね上がります。病気にかかることが増えると、当然治療費の負担も重くなるので、家計への影響も考えておかなければなりません。
年齢による疾患発症の推移(犬)
そう聞くと、まだ若くて元気なペットを飼っている方は、もう少し保険に加入するのは後でも大丈夫と思われるかもしれませんが、病気の他に、よくあるトラブルが「異物誤飲」です。
下記のグラフを見ると、犬による異物誤飲は、0歳のときに最も頻繁に発生しています。飲み込んでしまったものによっては命にかかわるケースもあるので、迅速に動物病院で対処してもらう必要があるでしょう。
異物誤飲の年齢推移(犬)のグラフ
ペットの年齢を問わず、病院にかからなければならないトラブルが起こる可能性は十分にあります。万が一に備えるために、ペットを飼おうと思い始めた段階で、ペット保険についても比較検討を始めておくことをオススメします。
ペット保険は複数の保険会社から販売されており、商品によって特色があります。主流となっているのが、手術や通院・入院の費用をカバーする保険で、費用の50%や70%を補償するプランなどから選ぶことができます。
ただし、人間の医療保険と同様に、疾患があると加入できなかったり、加入できる年齢の上限が設けられていたりするので、加入条件や補償内容をしっかり確認しておきましょう。

ペット保険に加入すれば、心もお財布も安心

ペット保険に加入しておけば、ペットに不調のサインが現れた際も治療にかかる金銭的不安が軽減され、ペットの命を守ることにもつながるでしょう。
万が一、重篤な病気やケガにかかってしまうことがあっても、費用の高い高度医療を選択しやすくなり、治療法の選択肢が広がるかもしれません。
大切なペットと安心して一緒に暮らすためにも、ぜひペット保険の加入を検討してみてください。
  • 2019年10月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

シリーズの記事一覧を見る

関連記事

保険(そなえる)